トップページ  >  起業する  >  コラム・インタビュー  >  闘いつづける経営者たち  >  04.2050年までに世界標準を獲る

闘いつづける経営者たち
株式会社ナビタイムジャパン【大西 啓介】

目次

すでに他社が真似できない領域に入った

ep-fight-014-14.jpg 「ナビゲーションエンジンで世界のデファクトスタンダードを目指す」

 大西は事あるごとに熱く語る。創業50周年の2050年までにはトータルナビゲーションエンジンの世界のデファクトスタンダードにする。大きな目標だ。

 経路検索のアルゴリズムは簡単に構築できるものではない。大西が"世界標準"にするというのも、「日本で最初に始めた時はコンペティターがいなかったし、携帯電話の機種が増えている現在、すべてにサービスを提供できるほどのベンダーは出てこない」という自信があるからだ。NAVITIMEのサービスは、すでに他社が真似できない領域に入っているといえる。

世界のどこでもナビの恩恵を受けられる

ep-fight-014-15.jpg ナビタイムジャパンのサーバには、米国、英国、中国、ハワイなど30カ国以上の国と地域の地図が収められている。さらに、全世界の地図を網羅する計画という。

 「全世界の人が1つの携帯電話によって、どこにいてもナビゲーションの恩恵を受けられるようにしたい」

ep-fight-014-16.jpg そう大西は考えている。携帯電話で世界が1つに結びつくというわけだ。すでに日本人の旅行者に対しては、中国の主要都市を含む29エリアで観光地のルート検索サービスなどを展開している。国内なら日本語で行き先を聞くことができるが、海外ではなかなかそうもいかない。それだけに日本語表示のナビゲーションには、旅行者から多くの感謝の声が寄せられているという。

 そしてNAVITIMEは、米国や欧州20カ国(日本・アジア数カ国を含めると24カ国)で徒歩、電車、クルマを組み合わせたナビゲーションが音声ナビゲーション(徒歩ルート)やカーナビゲーションで可能になった。世界中のどこの国でも対応できるのは「入力すべきデータこそ異なっても基本のアルゴリズムが変わらないため」だ。

 しかし、大西にも海外展開するに当たって悩みもある。国によって回線の普及度合いが異なるほか、各国の通信会社の手数料も異なっており、日本よりはるかに高額の手数料を求められるケースも多い。世界で普及させるためには「通信会社はこの利便性を十分に認知している。ユーザーにプラスになるような手数料体系を考えてもらいたい」と大西は指摘する。

環境に配慮したルート検索

ep-fight-014-17.jpg 「NAVITIMEはどんなものでもナビゲートできる」と大西は言う。今後の展開については多くを語りたがらないが、環境対策にも活用できると考えている。日本はCO2の総排出量を2020年までに90年比で25%削減する目標を世界に向けて公約したが、最適ルート検索が可能なことから、利用者がCO2の排出が最も少ないルートを選ぶことも可能になる。実際、歩行者ナビゲーションやカーナビゲーションでは、CO2排出量の少ない順にルートを案内するサービス「エコルート」を08年から提供している。これまでの「時間の短い順」「運賃の安い順」という検索条件に、「CO2の排出量の少ない順」という"地球にやさしい"検索条件を加えた。

ep-fight-014-18.jpg このサービスを日常のルーティンの行動にも拡大すれば、さらにCO2の削減を促す可能性がある。例えば通勤ルートを決める時にエコルートを用いたとすれば、CO2削減につながり、公共交通機関の利用促進にもつながると考えられる。

 また、エコポイントと結びつけるなども検討の必要があると大西は考えている。このほか、地震発生時の避難誘導など、防災にも貢献できるとみている。

経路検索ナビは"打ち出の小槌"

ep-fight-014-19.jpg 大西にとって経路検索ナビゲーションシステムはアイデアを生む"打ち出の小槌"のようなもので、社員からアイデアを募集した分も含めると常に300以上のシステムが引出しに入っている。これらは「世界のデファクトスタンダード」の源泉でもある。

 世界標準を握る。−この大きな目標に向かって着実に歩を進めている。"ナビタイムジャパン"。この社名には、いつか世界にサービスを提供したとき、日本発のサービスだとわかるようにとの思いから"ジャパン"を入れた。やがて世界標準を握った暁には、"ジャパン"を外してもいいのかもしれない。

大西啓介プロフィール

1965年生まれ。93年上智大学大学院理工学研究科 電気電子工学博士後期課程修了。同年、父親が代表を務める大西熱学に入社。研究室で環境試験装置の制御プログラムなどの開発を手がける。やがて菊池新(現・副社長)と二人でトータルナビゲーションの検索エンジン開発を始め、96年には社内ベンチャーとして経路探索エンジンのライセンスビジネスを立ち上げる。98年、電車・飛行機・クルマ・徒歩のすべての移動手段に対応したトータルナビゲーションを完成。2000年に(株)ナビタイムジャパンを設立し、社長兼CEOに就任。
KDDIなど大手通信キャリアにサービスを提供し、中国や米国の企業ともライセンス契約を結ぶ。目標は"ナビゲーションエンジンで世界のデファクトスタンダードを目指す"こと。

企業データ

株式会社ナビタイムジャパン

〒107-0062
東京都港区南青山3-8-38
TEL:03-3402-0701
事業概要:経路探索および地図配信のASP、経路探索エンジンおよび地図描画エンジンの開発・ライセンス、経路探索用データおよび描画用地図データフォーマットの開発・ライセンス、自社エンンジンおよびデータフォーマットをコアにした位置情報処理システムの構築
設立:2000年3月
資本金:1億7800万円
売上高:非公開
従業者数:300人

掲載日:2009年12月 3日

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