トップページ  >  起業する  >  コラム・インタビュー  >  闘いつづける経営者たち  >  03.アルビレックスは地域スポーツ経営のモデル。総合型クラブへの発展を目指す

闘いつづける経営者たち
株式会社アルビレックス新潟【池田 弘】

目次

「おらがチーム」という意識の芽生え

ep-fight-009-14.jpg アルビレックス新潟は2008年シーズン、Jリーグの13位と苦戦を強いられた。チームの成績不振を反映したせいか、昨年は一時的に赤字経営に陥った。しかし、ビッグスワンでのサポーターの熱狂ぶりを見て、池田は「新潟県民の一体感に手応えを感じる」と目を細める。

 「アルビレックス新潟という地域ブランドが、新潟県民が地元を見直すきっかけになったのではと思っています。これを1つのステップとして新潟の人々が楽しく、豊かに、そして世界に飛び出していける基盤を作っていきたいです」

 サッカーを通じて街おこしが定着しつつあるのは事実。とはいえ、やはり目指すはJリーグのチャンピオンだ。そのためにはチーム力の底上げが不可欠とあって、選手の育成にも力を入れている。

ep-fight-009-15.jpg トップチームを頂点にユース、ジュニアユース、スクールという3つのカテゴリ、それにフットサル、女子チームまでサポートする。草の根活動から世界を目指す強化活動まで、将来の日本サッカーを支える人材育成の場を提供し続けている。

 「現状、世界に目を向けると残念ながらまだまだ遅れをとっていることは事実です。将来的にはトップチームで頂点を目指して活躍し、さらにはナショナルチーム入りできる選手を育て上げたいと考えています。最近ではU18などのユースの日本代表に選手を送り込むまでになっています」

バスケットに野球、スキー、ランニング、チアリーダー
"オールアルビレックス"ブランド

ep-fight-009-16.jpg 新潟にはアルビレックスの名を冠するプロチームがサッカー以外にもいくつかある。

 日本初のプロチームとして2000年に誕生した「バスケットボール」、企業スポーツの形態と地域密着型の運営を取り入れた「ランニングクラブ」(陸上)、北信越BCリーグで好成績をおさめ続ける「ベースボールクラブ」、04年に結成されたアスリート集団「スキー・スノーボード」、そしてこれらのチームを応援する「チアリーダーズ」だ。

ep-fight-009-17.jpg それぞれが株式会社形態で、独立採算により運営しているが、池田はサッカーでの経験を生かして、バスケットボールのbjリーグではアドバイザーも務めている。

 「これらのスポーツチームもサッカーと同様、地域に密着した広くて薄い支援の輪を広げていきたいと思っています。例えばベースボールクラブではシーズンオフ時の就業斡旋を行うキャリアサポーター制度を構築し、選手たちの収入面と地域共生の場所の提供という両面から基盤の確立を図っています」

 いずれもサッカーのJリーグほど知名度は高くないが、バスケットボールは05年にbjリーグがスタートし、年々、チーム数が増えつつある。

ep-fight-009-18.jpg また野球は新潟、長野、富山、石川、福井、群馬の6県で独立リーグを編成し、転戦している。いずれプロ野球のドラフトにかかる選手が出てくるかもしれないし、スキーチームには世界的なスキーヤーの皆川賢太郎が所属する。陸上チームは実業団女子駅伝への出場を目指している。

日本初の総合型クラブへ。理想は「FCバルセロナ」

ep-fight-009-19.jpg 池田には理想としているクラブチームがある。スペインの強豪「FCバルセロナ」だ。クラブ世界選手権で優勝に輝いたことのあるサッカーをはじめ、ハンドボール、バスケットボールなどのプロチームを市民クラブが運営する。

 FCバルセロナは10万人を超す「ソシオ」と呼ばれる会員が2万円ほど(15歳以上の場合)の年会費を払ってサポートしている。クラブ組織のスポーツが市民に根付いている欧州と、企業がスポーツを支援してきた日本では土壌が違う。それだけに日本で総合型のクラブを作り上げるのは並大抵のことではない。

 しかし街おこしがそこまでいけば大したものだ。それが実現した時は、新たな"新潟の奇跡"と呼ぶに値する。

 「ビジネスでもスポーツでも文化でも、新潟を世界一と呼ばれる都市にすることが夢です。一度は訪れてみたいと思われる街、住みたいと思わせる街、そして住んでいる人が誇りを持てる街にしていきたいです」

ep-fight-009-20.jpg 池田が理想とする形にはまだ相当の距離がある。「まだ一合目にも到達していない」―池田はきっぱりと言い切る。このため、「それぞれのチームが自立して、最後に連合すれば良い」と、じっくり腰を据えて取り組む構えだ。

 まずは自分が社長を務めるサッカーチームの基盤を強化すべく、社会貢献・地域貢献として支援してくれる企業や「おらがチーム」と一喜一憂してくれる県民、市民に対して、一段と広く支援を呼びかけていく構えだ。

 「個人や地元企業にとって負担が重くならないよう、1万円とか2万円という会費で広く薄く支援を呼び掛けていくスタンスは変わりません」

 2000年以降、アルビレックス新潟は黒字経営企業に転換した。それとともに池田は「人材流出ストップ・ザ東京」を加速させる。翌年、スポーツに限らずビジネスや文化の面で若者を育成、起業を支援する取り組み「異業種交流会501」を創設した。

街おこし、それがライフワーク

ep-fight-009-21.jpg 「経済人である渋沢栄一氏は、死ぬまでに500社を創ったと言われています。だからそれを超える501社の起業支援を目標に力を入れています」

 新潟から全国に発信していけるような企業が誕生すれば、地域の活性化にもつながる。そのために、一社でも多くの起業、さらには公開上場企業を排出する支援のシステム・地域づくりのシステムが501会というわけだ。

 池田が自ら手掛ける教育分野での取り組みは、人づくりという面で大きな効果をあげている。次はこの501会で、その育てた若者を新潟に定着させ、雇用の促進につなげるという狙いがある。

 「人が集まればそこにエネルギーが宿ります。そのエネルギーを生かすステージの基盤づくりが異業種交流会501というわけです」

 ハードとソフトの両面から新潟を変えていくー。池田の次のステージの狙いが定まった。

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池田弘プロフィール

1949年新潟市生まれ。県立新潟南高等学校卒業後、國學院大学にて神職養成講座を受講し、東郷神宮等で実習を重ねる。1974年に実家の神明宮(新潟市鎮座)、そして77年には愛宕神社の宮司となり、同年に従兄弟と新潟総合学院を開校、理事長に就任。2000年に学校法人新潟総合学園(新潟医療福祉大学)理事長、06年には事業創造大学院大学総長と教育業界において数多くの要職に就き、新潟県内を中心に29の専門学校、大学院大学、大学、高等学校、医療法人、社会福祉法人、学習塾、資格取得スクールなどからなるNSGグループを展開。1996年、地元サッカークラブチーム「新潟イレブン」のプロ化に伴い株式会社アルビレックス新潟代表取締役に就任し、観客動員数を国内トップクラスに押し上げる。03年にはJ2リーグ優勝、J1昇格を成し遂げ、地域を巻き込んだ盛り上がりで新潟に新たな活力を生みだしている。

企業データ

株式会社アルビレックス新潟

〒950-0954
新潟市中央区美咲町2-1-10
TEL:025-282-0011(代表)

事業概要:プロサッカーチーム運営、サッカー各種イベントなどの企画運営・管理、競技者の養成、指導
設立:1996年4月
資本金:7億1,275万円(171企業・団体)
売上高:28億円(06年12月期)
従業者数:80人


NSGグループ

〒950-8063
新潟市中央区古町通2-495
TEL:025-224-2650(代表)

事業概要:専門教育事業、高等教育事業、大学教育事業、医療・福祉施設等
設立:1976年11月
従業者数:2,400人

掲載日:2008年12月16日

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