トップページ  >  起業する  >  コラム・インタビュー  >  闘いつづける経営者たち  >  04.用品販売業からの脱却-顧客を待つだけでは市場の変化に対応できない

闘いつづける経営者たち
株式会社オートウェーブ【廣岡 等】

目次

この業界は一番遅れている

ep-fight-003-10.JPG 昨年11月、茨城県土浦市に風変わりなカー用品店がお目見えした。オートウェーブの新業態店舗「ブロッサム」だ。

 店内はピンク色をはじめとする明るいパステルカラーに彩られ、品揃えや店の雰囲気は従来のカー用品店とはまるで違う。1,300cc以下のコンパクトカーや軽自動車、女性客に的を絞った新たな店舗戦略だ。

 各種のメディアにも取り上げられ、業界の話題となった「ブロッサム」投入の狙いは何なのか。

 カー用品量販店の売り上げは、各社ともに伸び悩んでいる。若者のクルマ離れとともに、マイカーをドレスアップするユーザーは減少。自動車を単なる移動手段としてとらえる傾向が強まった。一時はカー用品の需要を押し上げたカーオーディオやナビゲーション類も、自動車メーカーの標準装備やディーラー装着に押され気味。

ep-fight-003-11.JPG 廣岡は「オートバックスの成功から何十年と経つのに、カー用品店は何も変わっていない。市場の変化に対応していないという点で、この業界は一番遅れている」と言い切る。

 「軽自動車から輸入外国車まで、幅広いユーザー層を画一的な店舗だけでカバーしていくのには限界がある。高級車やミニバン、スポーツタイプからコンパクトカーまで、車種に応じた専門店舗があってもよい」

 何年も前から広岡の頭のなかには、車種別の店舗構想というアイデアが存在した。車種が異なれば、用品サービスニーズも微妙に異なる。いつまでも大づくりの店舗に頼るわけにはいかない。ブロッサムは、それを具体化する最初の一歩でもあるのだ。

ニーズ対応からニーズの創造へ

ep-fight-003-12.JPG 「大量に品物を並べて、顧客を待つだけでは市場の変化に対応できない。事業の成長が足踏みしている現状は、悔しいけれども僕らの努力が足りないと考えるべき」

 とはいえブロッサム以外にも、廣岡の発想による新たな試みが次々と展開されている。子会社方式でFC展開しているオイル交換サービス専門店の「オイルボーイ」もその一つ。ドライブスルー感覚で簡単にオイル交換が済ませられる専門ショップだ。

 さらには車検と2年間のメンテナンスをパックにして安心感と割安感を打ち出した「カーケアクラブ」や、2年間のリースで最新のカーナビを使える「カーナビクラブ」など、従来の枠を超えた新サービスを考案。顧客ニーズを掘り起こす需要創造型の取り組みを相次ぎ打ち出している。

 そこにはカー用品販売というより、クルマの日常に関するさまざまなサービスを提供していこうとする姿勢がにじみ出る。

 「タイヤ交換なら喜んでやるが、ガラスの傷直しとか、エアコンの匂い取りなど手間の掛かることはやりたがらない。物品販売ありきの店側の都合で本当にお客様は喜ぶのか。カーライフをお手伝いする視点に立てば、やれることは山ほどある」

 目先の利益を追うことなく徹底して顧客満足と向き合い、需要を発掘していく方向性を掲げる。それはまた、ニーズに対応するというこれまでの路線から、ニーズをみずから創造していくという新たな挑戦でもある。

未完の大型店舗

ep-fight-003-13.JPG 晴海店の閉店のあと、同社最大の敷地面積を持つオートウェーブ美女木店(埼玉県戸田市)。JR東日本から東北・上越新幹線の高架下約1万坪の用地を借り受け、タイヤからオイル、オーディオ、用品、車検などの専門ショップをズラリと並べたユニークな出店形態をとる。

 オープンから5年近くが経過するが、店舗間の往来のしづらさも手伝って、当初の思惑通りに客足は伸びていない。同業他社の冷ややかな目もあるなか、廣岡はきっぱり言い放つ。

 「最初から完成型が作れるなどと思っていない。新業態のブロッサムも私から見れば今は50点の出来。カベや課題があるのは当たり前なのだ。美女木店も理想の店舗になる前の途上にすぎない」

 この春、国内最大の洗車機を米国から導入する計画だ。

 第1号店を大赤字から一転して黒字化したのと同様に、廣岡はどのような改革、改善を打ち出していくのか。

ep-fight-003-14.JPG 確かなことはブロッサムも美女木店も、単なる売上げの向上が目的ではなく、将来ニーズを探るための常識を超えた試みであるということ。

 廣岡の目は、既存のカー用品店では収まらない理想の店舗づくりをつねに見据え続けている。

廣岡 等 プロフィール

1939年三重県生まれ。1958年、大豊産業(株)(現・オートバックスセブン)入社。同社常務を経て1990年に独立、(株)オートウェーブを設立し、自ら理想とする2,000坪のカー用品・メンテナンス事業の第1号店を千葉市にオープンする。93年には1店舗での業界月間売上高日本一を記録し、2000年に店頭市場(現ジャスダック)に株式公開を果たす。現在、千葉県を中心に関東全圏で15店舗のオートウェーブ、専門店のオイルボーイ9店舗の指揮を取る。「商売よりも親切行為が先」という徹底した顧客本位のビジネス哲学が持論。

企業データ

株式会社オートウェーブ

〒263-0054
千葉市稲毛区宮野木町1850番地
TEL.043(250)2669(代表)

事業概要:カー用品販売及びカートータルメンテナンスサービス。
設立:1990年9月
資本金:839.4百万円
売上高:単体 18,354百万円、連結 24,893百万円
社員数:連結 796名、単体 638名(2007年3月末現在)

掲載日:2008年1月22日

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