トップページ  >  起業する  >  コラム・インタビュー  >  闘いつづける経営者たち  >  01.カフェテリア方式を知って給食事業を決意した

闘いつづける経営者たち
シダックス株式会社【志太 勤】

目次

3種類しかない定食

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 志太は我慢ならなかった。失敗を経て、ようやくありついた給食事業の世界も早3年。社員食堂の定食メニューが、3つしかないというお粗末な給食の現状に嫌気がさし始めていた。

 「商売で日本一になる」ことを目指したものの、20歳代の志太にとって給食事業はあまりに魅力の乏しい世界だった。義父の知人が志太に社員食堂を任されたのが、給食事業に係るキッカケだった。

 そんな志太の事業欲に火をつける情報が飛び込んでくる。たまたま参加した米国視察で全米2位の給食会社副社長のM・ケネリー氏から、カフェテリア方式の将来性を力説されたのだ。

 ケネリー氏は若い志太に「カフェテリア方式は産業発展のためにも重要な役割を担っている。今後、この優れた方式が給食産業の主流になっていくだろう」と熱っぽく語りかけた。

 「好きな料理を自由に選べるカフェテリア方式は、質素が当たり前の日本人の食習慣を一新するにちがいない」。志太はこのとき、企業が自社運営する社員食堂が、アウトソーシングされる時代の到来をしっかりと見据えたのだ。「給食事業で日本一になろう」。若き志太はそう心に決めた。

キング・オブ・マウンテンズ

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 カフェテリア方式は必要な時に必要なだけ料理を補うという意味では、自動車の"ジャスト・イン・タイム"と同じ考え方だ。とはいえ導入するために何から手をつけたらよいのか、志太の周囲には専門家もいない。

 そんなある日、日本で開かれたシンポジウムで、サガ・アドミニストレィティブ社のW・P・ラックリン会長が「食材やコックは日本で調達する。対日進出で米国から持ち込むのはシステムだけ」とあいさつした。志太は「この会社と提携すれば実現できる」と直感した。

 提携は想像以上に難航を極める。M社が突然、資本参加を要求したのだ。志太は外資を受け入れることは現代版の"トロイの木馬"になりかねないとみて、要求を拒否する姿勢を崩さなかった。志太の一歩も引かない粘り強い交渉で資本参加は白紙となり、提携は見事に実現した。志太の燃えるような熱意がサガ社幹部の琴線に触れたのである。

新宿の飲み屋で学んだフードビジネスのジャスト・イン・タイム

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 料理の品切れは許されないのがカフェテリア方式の鉄則だ。しかも自前でシステムを動かすノウハウを習得することが事業化の絶対条件だった。大皿に盛った数々の料理の減り具合と料理を補給するノウハウ。しかも大量の売れ残りも許されない。

 試行錯誤の末、志太が目をつけたのが新宿の通称、「思い出横丁」だった。社員と横丁の飲み屋通いが日課となった。目的はただ一つ。カウンター上に並べられた料理の出し入れからノウハウを学び取ることにある。どうしたら食材を無駄にすることなく、豊富なメニューを作り出せるのか。

 横丁に実験店を出店し、食材のロス率低下を図るため、コンピューターを駆使して利用状況履歴を数値化する地道な作業を続けた。志太はこの事前準備に、3年の歳月を費やし、ようやく独自のカフェテリア・ノウハウを習得したのである。そして日本初のカフェテリア方式の1号店が武蔵野美術大学に開店した。1970年のことである。

 カフェテリア方式の1号店の開店―。しかし、志太のビジネス哲学を知るにはもう少し過去にさかのぼらねばならない。次回は、「どんなに失敗してもあきらめない」志太のルーツに迫る。(敬称略)

志太 勤 プロフィール

1934年静岡県生まれ。県立韮山高校在学中に大衆食堂を始める。1959年1月、24歳で現在のシダックスを創業。「大志」「的面の今」を座右の銘とし、人生2回論を実践する。グループ企業の代表取締役を務めるかたわら、日本ニュービジネス協議会連合会会長(2008年6月12日より顧問)として、またe-連携フォーラム代表として中小・ベンチャー企業の支援に腐心する。趣味はワイナリーと大型クルーザーで大海原を走ること。
1993年藍綬褒章、 2006年旭日重光章受章。

企業データ

シダックス株式会社

〒150-0041
東京都渋谷区神南1丁目12番13号
TEL.03(5784)8881(代表)

事業概要:フードビジネスに関する企業の株式を所有する持株会社。子会社に対する経営指導、管理業務などが主な事業。
設立 :2001年04月02日
資本金:8,930 (百万円)
売上高:175,150 (百万円)
社員数:11,000(23,042)(名)

掲載日:2007年10月12日

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