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社長の道場
法人を設立した際の届出と事務

12月に資本金300万円の株式会社を設立しました。登記はすべて完了しましたが、税金に関することは何もしていません。税務署へ届出を提出しなければならないと聞きましたが、どのような届出をすればいいのか教えてください。経理処理を始めるに当たり、帳簿などはどのようなものを作成すればいいのでしょうか。また、登記までにかかった費用はどのように経理処理すればいいですか。1年間にしなければならない税務にはどのようなものがあるのか、教えてください。

渡辺ゆかり(わたなべ ゆかり)
渡辺会計事務所所長。おもな著書に、「会社の数字早わかり」「連結決算を90分でおさらいする本」(いずれも共著、三笠書房・知的生きかた文庫シリーズ)がある。 URL:http://homepage2.nifty.com/ywatanabe/

法人の設立登記が完了した日から事業年度が始まります。所轄の税務署・都税事務所または、県税事務所や市役所へ事業開始の届出書を提出します。そのほかにも給与に関する届出書や青色申告をするための届出書などがあり、それぞれ提出期限がありますので、早めに手続きをしてください。
 法人が設立されると、その日から経理は始まります。帳簿の作成と年間の経理スケジュールを把握し、期限内に手続きができるように処理を進めることが大切です。

目次

税務署への届出

1.おもな届出

税務署へのおもな届出には次の4つがあります。

  1. 法人設立届出書
  2. 青色申告の承認申請書
  3. 給与支払い事務所等の開設届出書
  4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

a)の「法人設立届出書」は、言葉の通り法人を設立したことを届けるもので、法人設立後2カ月以内に登記簿謄本と定款を添付して所轄の税務署へ提出します。

b)の「青色申告の承認申請書」とは、法人税等の申告を白色申告ではなく、いろいろな特典のある青色申告で行ないたい場合に青色申告の承認を受けるために提出します。この申請書は法人設立後3カ月経過する日と事業年度終了の日のいずれか早い日が提出期限です。

c)の「給与支払い事務所等の開設届出書」は、給料を支払う場合に提出する届出です。はじめは給料を支払う予定がなくても、今後支払う可能性がある場合には提出しておくことをおすすめします。

d)の「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」とは、源泉所得税の納付の期限についての特例を受けるための届出書です。
 源泉所得税の納付については原則として、給料を支払った日の翌月10日に税務署へ納付することになっています。この届出書を提出することにより、1月分から6月分をまとめて7月10日に納付し、7月から12月分を翌年1月10日に納付することができます。この特例を受けることができるのは、給料の受給者が9人までの事業所に限られます。
 この特例は提出した日の翌月の給料の支払いから適用されます。

2.そのほかの届出

税務署へ届ける書類にはこのほかに、

  1. 棚卸資産の評価方法の届出書
  2. 有価証券の評価方法の届出書
  3. 減価償却資産の償却方法の届出書

などがあります。これらは必要に応じて届出書を提出してください。

3.消費税の届出書について

消費税は、資本金1,000万円超の会社は1期目から納税義務所になります。この場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を提出します。
 中小企業は消費税の特例制度がありますので、その特例を受ける場合には、「簡易課税制度選択届出書」を提出します。

ただし、業種によってはこの特例を受けないほうが有利な場合もありますので、消費税の届出をする場合には、専門家に個別にご相談することをおすすめします。
 税務署への届出用紙は国税庁のHPからダウンロードすることができます。

都税事務所や県税事務所、市役所への届出

法人設立等届出書

これはその都道府県や市町村によって提出書類の様式や提出期限が異なります。 法人設立後、早めに届出をしてください。この届出には、法人登記簿謄本と定款の写しを添付してください。
 上記の届出書は各都道府県及び市町村のHPからダウンロードすることができます。

法人設立の登記が完了しましたら、このような届出や金融機関で法人の口座を作成しますので、登記簿謄本と印鑑証明書を多めに取得しておきますと便利です。
 また、法人がスタートしますと、経理処理も始まります。帳簿の作成や領収書や請求書の管理も法人設立の日から新たに作成することになります

経理の開始

青色申告の承認申請書を提出した場合には、帳簿の作成義務があります。
 帳簿には

  • 現金出納帳
  • 預金出納帳
  • 売上帳
  • 仕入帳
  • 経費帳
  • 領収書綴り

などがあります。
 青色申告の申請が承認されると以下の特典があります。

  1. 決算で赤字になった場合、その赤字を7年間繰り越して利益と相殺することができる
  2. 貸倒引当金などの経費を計上することができる
  3. 特別償却や税額控除など優遇規定を受けることができる

など。また、帳簿の作成義務を怠ると、青色申告の承認を取り消されることがあります。
 上記の会計帳簿を毎期継続的に作成することが大切です。

会計帳簿は税法上、7年間保存義務があります。第1期が終わっても7年間は処分せず、会社に保管してください。

創業費と開業費

1.設立登記費用

創立時の設立登記にかかった諸費用は、「創業費」として処理します。

2.開業費

会社設立後、実際に開業するまでの間に、開業準備のために支払った費用は「開業費」として処理します。
 これらの「創業費」や「開業費」は繰延資産として支出の効果のおよぶ期間にわたり、数年間で経費にすることもできますし、支出した事業年度に一括して経費として処理することもできます。

給与の支払い

「給与支払い事務所等の開設届出書」を提出し、給与の支払いをする場合には、給与明細の作成のほかに、賃金台帳と源泉徴収簿の作成が必要です。賃金台帳は社会保険の加入や算定基礎届の際に必要で、源泉徴収簿は源泉所得税の管理のために必要です。

給与支払いの際に源泉徴収した所得税は、原則として給与支払い日の翌月10日までに税務署へ納付します。「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出した場合には、
 1月から6月分  → 7月10日まで
 7月から12月分  → 1月10日まで
に税務署へ納付します。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する源泉所得税の納付が半年後との2回で済み、事務的には処理が少なくなります。ただ、1カ月分ですと少額の源泉所得税も半年分になると金額は6倍になり、納付するときに資金繰りが厳しくなる場合があります。納付に時期に困ることのないよう、資金をプールしておくことが重要です。

年間の税務

法人が毎年行なわなければならない税務について簡単にご説明します。

1.1月末日までに行なう税務
税務の種類税金届け出場所
法定調書・合計の作成、申告 源泉所得税 税務署
給与支払報告書の提出 源泉所得税 市区町村
償却資産税の申告 償却資産税 市区町村
2.決算月の2カ月後(3月決算の場合→5月)
税務の種類届け出場所
法人税の申告 税務署
都民税・県民税・事業税の申告 都税・県税事務所
市民税の申告 市町村
消費税の申告 税務署

納税額が一定の金額を超える場合には、中間申告もあります。

3.12月に行なう税務

年末調整


掲載日:2008年1月22日

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