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社長の道場
公正な人事評価なくして懸命に働けない

貴社では社内の雰囲気がよく、社員1人ひとりがモーレツに仕事に取り組み、さらに仲間たちの仕事を支援し、協力しあっているだろうか。それは人事評価制度次第と申し上げても過言ではない。人事評価制度の策定について解説しよう。

さかい・よしひさ 坂井義尚(さかい よしひさ)
平成4年、立教大学経済学部卒、ベンチャー・リンク入社。サンマルクをなどFCビジネスの経営指導、全国の中堅・中小企業の経営支援で豊富な実績を積み、現在は年間200本以上の講演を全国で展開する講師として活動。

目次

人事評価制度は教育制度、賃金制度にも関連

貴社では社内の雰囲気がよく、社員1人ひとりがモーレツに仕事に取り組み、さらに仲間たちの仕事を支援し、協力しあっているだろうか。1人ひとりが将来の会社の中枢を担おうと勉強に励んでいるだろうか。そういう会社には人事評価制度ができているものである。

制度がないのに社員が頑張っている会社では、社長自身が人事評価制度に代わる役割を果たしている。1人ひとりに目配りをして、社員はロイヤリティをもって「この会社をよくしよう」と思い、行動する状況ができている。しかし、会社の規模が拡大すると人間関係が希薄になりがちで、社長が的確な人事評価を行うことが困難になってくる。

そこで、社員が心を1つにできるような、公正で公平な人事評価制度が必要になってくるのである。人事評価制度は社員の評価だけではなく、社員をどの方向に教育していくかという教育制度や賃金などにも関係してくる。まず人事で起こりやすい問題を整理しておこう。

人事に関して発生しやすい5つの問題

1.十分な給料を払っているはずなのに、社員がやる気を出さない

経営者サイドは同業界の同規模の会社に比べて、より高い水準の給料を支払っていると思っているが、社員は他の業界と比べて給料が低いと感じ、社内で不満を口にする。原因は、正しい見識を社員に与えられる人事評価制度がないことにある。

2.管理者が相応の能力を身に付けてくれない

「なかなか管理者が育たない」、「所長に任命しても所長の仕事ができない」などの問題は、本人よりも社長の責任である。きちんとした教育制度、人事評価制度がない場合、所長の仕事が明確になっていないことが多く、所長になっても従来どおりセールスに従事するにとどまってしまう。所長としての仕事を明確にし、教育し、評価したうえで給料を決める制度が必要である。

3.自社の問題を他人事のように受け取り、危機意識がない

自ら危機意識をもたず、会社が何とかしてくれるだろうと考えてしまうのは、自分の役職としてやるべきことができているのか、それが評価されているのかが分からないからである。いつ後輩に追い抜かれて降格されるかもしれないという意識があってはじめて、本当の危機意識が生まれるのだ。自分に危機意識があれば、会社に対しても危機意識をもてる。

4.現状に安住してしまい、挑戦する意欲がない

将来のために、新しいことにチャレンジする人を高く評価して給料を上げる制度が必要である。そうすれば意欲が生まれる。

5.命令に頼り切り、指示されたことしかやらない社員が多い

自分で主体的に組織の問題点を見つけ出し、改善すると、給料が上がって昇進するという制度が必要である。

このように、社員が育っていないのは人事評価制度の問題である。適切な人事評価制度がなければ何年たっても社員は育たないと覚悟すべきである。

5段階で取り組む人事評価制度の策定

人事評価制度は、昇進・昇格制度、賃金制度、教育制度のすべてが整備されて、はじめて健全に機能することを認識していただきたい。では、人事評価制度の策定手順について解説していこう。

1.人事評価制度診断の実施

人事評価制度、昇進・昇格制度、賃金制度、教育制度に対して、経営陣がどのように接しているか、どのように考えているかをチェックする。その結果をふまえて、社員がどのように思っているか――公平に評価されているか、賃金は適切か、昇進・昇格は納得できるか、など――をヒアリングして、会社の問題点を見極める。診断すると問題点がはっきりするので、人事評価制度の方針が見えてくる。

2.人事評価制度策定方針の検討

1の診断結果に従って方針を決める。

3.人事評価制度の策定

人事評価制度の策定では、評価の要素によって社員の努力する方向性が決まり、それによって5年後、10年後の会社のあり方を変えてしまうことにもなる。策定作業は簡単ではない。社員100名程度の会社でもコンサルタントに人事評価制度の策定を依頼すると、2,000万円ぐらいのコンサルタント料がかかる。もしも300万〜400万円で策定してくれるコンサルタントがいたら、有能なコンサルタント会社でないと思った方がよい。

評価シートを作成すればそれで完了ではない。半年に一度評価するのか、1年に一度評価するのか、また評価をどのように賃金や昇進・昇格に反省させるのか、処遇制度も含めた広義の人事評価制度の策定が必要になる。そして人事評価がどのように賃金、昇進に反映されるかによって、賃金体系や昇進・昇格制度まで見直す必要がある。

4.人事評価制度の導入準備

策定しても、すぐには導入できない。すぐに導入すると賃金が急変するケースがあるので、半年から2年をめどに暫定的な措置を行う。

5.人事評価制度の定着とメンテナンス

定着させると同時に、毎年、経営環境の変化に合わせて人事評価制度のメンテナンスをしなければならない。年に1度見直して会社の方針や方向性を変えなくてよいかを見直すことで、評価シートの項目を見直すメンテナンスが必要になる。


掲載日:2007年12月 4日

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