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社長の道場
息子を後継者にするなら中学生時代に夢を語りかけよう!

もし息子を後継者にしたいのなら、息子が中学生のときに夢を語りかけよう。「自分が経営しているこの会社を君の代に大きくして、世間の人たちに知ってもらえる会社にしたい」と。いつしか息子には「お父さんの役に立ちたい」と思う心が芽生えるものだ。これが、息子を後継者にする第一歩である。

さかい・よしひさ 坂井義尚(さかい よしひさ)
平成4年、立教大学経済学部卒、ベンチャー・リンク入社。サンマルクをなどFCビジネスの経営指導、全国の中堅・中小企業の経営支援で豊富な実績を積み、現在は年間200本以上の講演を全国で展開する講師として活動

目次

「お父さんの役に立ちたい、一緒に夢をかなえたい」

「自分の仕事を継がせることで、息子の人生の可能性をなくしてしまうことはしたくない」と、息子を後継者にしたいと思う経営者がそのように考えることは、適切ではない。息子が中学生や高校生になるまでに、音楽や絵画などなんらかの特殊な才能を発揮していなければ、たいていは普通の人間である。いつかは生活のために就職しなければならない。

したがって息子に特殊な才能がなく、息子を後継者にと思うのであれば、中学生のころに父親は彼の可能性を引き出してあげるべきだろう。その方法は、夢をもって語りかけることである。

「自分が経営しているこの会社を君の代に大きくして、世間の人たちに知ってもらえる会社にしたい」

中学生の年代であれば「お父さんの役に立ちたい、一緒に夢をかなえたい」と思うようになるだろう。しかし多くの経営者は社業に忙殺され、息子の将来にまで気がまわらないのが実情だ。会社と息子を結び付けて考えるようになるには、息子が大学生になったころが大方である。

ところが、大学を卒業するころに「将来は会社を継いでもらいたい」とアプローチしても、手遅れであることが多い。「自分には自分の人生がある」と拒否されてしまう。これを説得して後継者にすえるのは難しい。だから、早くから語りかけることが大切なのである。

現役経営者の仕事の50%が後継経営者を育てること

かりに経営者が事業に成功して、"現役の"経営者としては100点満点の人生を送ったとしよう。しかし、それだけでは、経営者人生としての点数は50点でしかない。残りの50点は立派な後継者を育てててからもらえるのだ。

なぜか。それは、不適切な人材を後継者にすえることは、いわば会社を潰す準備をして引退することだからである。1,000人規模の会社をつくり上げても、潰れたら従業員や社会に迷惑をかける。そうなったら評価は0点だ。したがって息子など肉親に継がせたくとも、彼が経営者に適していなければ、後継者に据えてはいけない。

現役経営者の仕事の50%が後継経営者を育てることである。40代くらいまでに後継経営者を考えておかないと、人選が間に合わないことが多い。息子をすえたいのなら、息子が中学生のころから語りかけ、育成を始めよう。高校生になってからでは父親の話を素直に聞かなくてってしまう。

息子だから、経営者に必要な能力を身に付けられやすい

さて、誰を後継者に選んだらよいのか。ほとんどの場合、息子をできるだけ育成しておけば、息子こそがもっとも適切な人材である。それは、経営者に必要な能力を身に付けるチャンスに恵まれているからだ。さらに、息子ならほかの社員からライバル視されない、「社長の息子だから」というロイヤリティで社員がついてくる、などのメリットもある。

経営者に必要な能力とは、次の3つである。1.経営理念の実現に対する情熱・使命感、2.経営全般に関する専門知識、3.専門知識を実践に適応して得た経験。各能力を息子が身に付けやすい理由を説明しよう。

1.経営理念の実現に対する情熱・使命感

経営のベースになる理念の実現に対する使命感がないと、人はついてこない。また、自分よりも優秀な人材を使いこなすのは理念、情熱以外にない。父親の努力する姿を見ている息子は、それを身に付けるためのもっとも好ましい人生を生きている。

2.経営全般に関する専門知識

一般的なサラリーマンが経営全般に関する専門知識をもつことは難しい。大企業なら、さまざまな部署を経験することで専門知識が身に付くが、中小企業では難しい。しかし経営者の息子なら、後継者になる前提で育成できる。海外でMBAを取得することや、経営の実例を疑似体験で容易に学べる。

3.専門知識を実践に適応して得た経験

ほかの社員に対しては容易にはできないが、息子になら「子会社の社長をやってみろ」と実践経験を積ませることができる。

大切なのは、自分から父親に協力したいと思う心を育てること

次に、後継者に選んだ人物をどのような方法で育成するか。方法は主に3つある。

  1. 自社に入社させて、自ら実践の場で教育する自社に入社させて、いきなり幹部に据えれば、従来から在籍している幹部にとっては、突然なんの実績もない年下の上司が登場することになり、反発を集めることがある。息子が反発する社員を思いどおりに動かせるようになるため、実践の場で鍛えるのだ。
     ただし、この方法は社長が社内の業務をすべて掌握している場合のみ有効である。
  2. 自社に入社させて、番頭格の人物に教育を担当させる社長が社内の業務すべてに精通していなければ、ひと通りの業務を覚えさせながら、各部署の番頭格を教育係に据える。
  3. 他社に勤めさせて鍛えてもらう自社が中小企業で息子の教育環境としては不完全だと思うのなら、親会社やメーカー、商社、銀行などに就職させて組織の勉強をさせる。

このa〜cのどの方法でもよいし、各方法を組み合わせてもよい。30歳前までに海外留学をさせて、MBAを取得させる方法でもよい。仮に息子が後継者でない場合も同じ方法があてはまる。新卒(新入社員)の段階から素質を見極め、意図して10〜20年をかけて育成していくのだ。

最後に、息子を後継者に選ぶには「君は私の会社を継ぐのだ。だから、がんばれ」と語るのは押しつけになり、負担を与えてしまうので避けることを指摘しておきたい。大切なのは自分から父親に協力したいと思う心を育てることである。

「私はこういう会社をつくりたい。社員や社会にとってすばらしい会社にしたい。君も力を貸してくれるとうれしい」

このように語りかければ、息子は父親の役に立とうと自覚し、努力するようになるものだ。


掲載日:2007年11月 6日

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