D-4.マーケティング・販売促進
ワン・トゥ・ワン・マーケティングを導入する
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1960年代以来、長らく続いてきたマスマーケティングの時代は顧客を大衆として捉え、同じ製品を大量に生産し、販売するというものでした。その後、1980年代にはセグメント化された対象に向けてそれぞれのニーズに応える商品を提供するというセグメントマーケティングの時代へと変わってきました。
ところが、1990年代後半には、消費者ニーズは十人十色ではなく、一人十色とまでいわれるようになり、企業がこれまで用いてきた単純な顧客属性からは顧客のニーズが読みとれない状況となりました。こうしたなかで生まれてきたのがワン・トゥ・ワン・マーケティングです。
ワン・トゥ・ワン・マーケティングとは
ワン・トゥ・ワン・マーケティングは、企業が顧客と双方向のコミュニケーションをとり、個々の顧客のニーズを理解するということを基本として成り立っています。そして、このマーケティングのポイントは、
企業は、個々の顧客ニーズにあった商品・サービスを提供することで、
当該顧客と継続性のある取引を実現し、
その顧客との生涯にわたる取引から得られる生涯価値(LTV=ライフ・タイム・バリュー)
の最大化をめざす
というものなのです。
ここでワン・トゥ・ワン・マーケティングを新しいマーケティング手法と捉える理由は2つあります。1つ目はワン・トゥ・ワン・マーケティングが顧客との双方向のコミュニケーションをとり、顧客との共創を意識しているという点です。
そして2つ目は、マーケティング目標の重点を市場シェアから顧客シェアへと移しているという点です。マスマーケティングの時代からセグメントマーケティングの時代においては市場シェアの拡大が最大の目的でした。しかし、ワン・トゥ・ワン・マーケティングにおいては、
その顧客の人生における消費のどれだけの部分を自社が占めることができるか
という顧客シェアの拡大が最重要課題
となっているのです。
ワン・トゥ・ワン・マーケティング導入へ
こうした背景のもとで、企業の間では個々の既存顧客との関係性を重視する取り組みが始まりました。このように、
多くの企業では既存顧客は重要な経営資源であると認識しており、
ワン・トゥ・ワン・マーケティングが実践されています。
その際にもっとも重要なことは、顧客を個々に捉えるということです。たとえばCS(顧客満足度)プログラムを実施するにしても、そのプログラムに最大公約数的な全体最適化を求めるのではなく、個々の顧客の満足度をいかに高めるかという考え方に基づいて設計する必要があるのです。
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ワン・トゥ・ワン・マーケティングは、一人ひとりの顧客と強固な関係を作り上げ、長期にわたって多くの種類の商品・サービスを購入してもらうことをめざした手法です。ワン・トゥ・ワン・マーケティングを実行する企業は他の企業に対してさまざまな優位性をもち、競合企業のマーケティング活動から顧客を守ることができます。次に、こうしたワン・トゥ・ワン・マーケティングのもつ主要なメリットについて検討してみます。
顧客維持率の向上
ワン・トゥ・ワン・マーケティングは商品・サービスを差別化するのではなく、顧客との関係のありかたを差別化するマーケティングです。そのため、
企業と顧客との関係は強固なものとなり、
競合企業が現れても顧客を奪われる可能性が低くなります。
なぜなら、自分のことを理解してくれる企業から他の企業に取引を移すときには、顧客にとって大きな不安が生じるからです。多くの女性が美容院を利用する場合に、一定の技術をもったなじみの担当者ができると簡単には店を変えないことからも理解できるでしょう。
ワン・トゥ・ワン・マーケティングを実践できる企業は、自社にとって重要な顧客と緊密な関係を結ぶことで顧客維持率の向上を実現しているのです。
追加販売による収益拡大
緊密なコミュニケーションによって、
顧客のニーズをつねに把握しておけば、関連商品を販売したり、
買い換え需要にも応えることが可能になります。
また、点検・修理といったアフターサービスまで、追加販売の一部であると考えれば、取引拡大のチャンスは大きく広がっていきます。顧客のニーズや環境の変化を読みとり、追加販売を行うことによって1人の顧客から長期にわたって大きな収益を拡大することも可能になります。
新規客の紹介引き出し
ワン・トゥ・ワン・マーケティングによって、
顧客の満足度が高まると、
新たな顧客を紹介してくれる可能性が高くなります。
しかも、企業にとってLTVの高い顧客が紹介してくれる顧客は、一般の新規客と比べLTVの高い場合が多くなっています。
ワン・トゥ・ワン・マーケティングによる満足度の向上は、
継続的なリピートを生むだけでなく、
顧客の紹介という形でさらなる価値を企業にもたらします。
実際、ワン・トゥ・ワン・マーケティングを行う企業のなかには新規顧客紹介を導くために、既存顧客に対するインセンティブ制度を導入している企業も少なくありません。
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