D-2.個人事業主の為の青色申告入門
減価償却の考え方
![]()
青色申告を初めて行う方にとって、減価償却はなかなか分かりにくい考え方かもしれません。しかし、ビル・店舗などの建物、機械装置、車両など、時の経過などによって価値が減少していく資産(これらを減価償却資産と言います)を購入した場合の費用の計上方法ですので、きちんと理解して、より適正な費用の計上を行えるようにすることが必要です。
たとえば、新しく事業で使用するためにビルの1室を購入した場合、この支出は購入した年度に全額費用として計上すればよいのでしょうか。この部屋はこれから何年間か利用することになり、利用している間は、部屋も事業の活動に貢献していることになります。そのため、その購入金額を利用可能な期間に振り分けて必要経費に計上することになります。また、この部屋は使用している間に汚れたり壁に傷が付いたりしてしまうため、売却するとしても、通常、購入価額では売却することができません。これは、時の経過・使用・陳腐化によって資産の価値が減少してしまうためです。
このように、いくつかの会計期間にまたがって利益の獲得に貢献する資産の取得に要した金額をその資産の使用可能な期間(税法でいう耐用年数)に配分して必要経費として処理し、その必要経費として計上した価額を資産の取得価額から減少させていく方法を減価償却と言います。
![]()
資産には、減価償却できる資産(減価償却資産)とできない資産(非減価償却資産)とがあります。
| 【減価償却資産】 | ||||||||
|
*観賞用・興業用の生物を除く。
ただし、上記の減価償却資産のうち、使用可能期間1年未満または取得価額が10万円未満のもの(少額減価償却資産といいます)については、その全額を購入した年度の必要経費とすることができます。
また、一定の青色申告書を提出する方が、平成24年3月31日までに取得した30万円未満の減価償却資産については、取得価額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入できる特例があります。
ただし、その年の取得価額の合計額が300万円(その年が業務を開始した日の属する年またはその業務を廃止した日の属する年の場合には、300万円を12で割ってその年において業務を営んでいた期間の月数をかけて計算した金額)を超える場合には、その超える部分に係る減価償却資産についてはこの特例を適用できません。
| 【非減価償却資産】 | ||||
|
![]()
減価償却の方法は、資産によって次のように定められています。
事業所が2カ所以上あるときは、事業所ごとに異なる方法を選択することができます。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||
*1 建物については、すべて定額法。
*2 平成10年10月1日以後に締結するリース契約を目的としているものに限る。
*3 借手側・所有権移転外リース取引、平成20年4月1日以後に締結されたもの。
法定償却方法ではなく、許可が必要な減価償却方法を選択する場合には、
- 新しく事業を始めた場合…初めての確定申告書の提出期限まで
- 新しく減価償却資産を購入した場合…その資産を取得した年分の確定申告書の提出期限まで
に届出書を納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
今行っている減価償却方法を変更する場合には「減価償却方法の変更承認申請書」に減価償却の方法を変更する資産の種類を記載して、
- 個人事業主は変更しようとする年の3月15日まで
- 法人は変更しようとする事業年度の開始の日の前日まで
に納税地の所轄税務署に届け出る必要があります。
ただし、変更承認申請書を提出しても、税務署の承認がなければ変更することはできない(現在の方法を採用後、3年を経過していること、および合理的な理由が必要)ため、減価償却方法の選択・変更には十分ご注意ください。
また、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産は、資産ごとに、
- 法定耐用年数による償却
- 3年一括償却
- 少額減価償却資産の特例により全額損金算入(年300万円まで)
のいずれかを選択できます(詳しくは6章をご参照ください)。
![]()
減価償却資産の耐用年数
減価償却資産が何年間使用に耐え得るかは、資産の種類や人によって推定する年数が異なります。そこで、所得計算の公平を図るために、耐用年数は法令で次のように定められています。
| 【非減価償却資産】 | ||||||
|
減価償却資産の残存価額
減価償却資産の残存価額とは、耐用年数が全部経過したときに残しておく価格をさしています。この残存価額という概念が平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産から撤廃されました。これにより、備忘価額として1円を残して償却することが可能となりました。
平成19年3月31日までに取得した減価償却資産については、償却が完了した翌事業年度から5年間で均等償却することになります。
定額法・定率法の計算方法
3章で紹介したように、減価償却の方法には、
a.定額法
b.定率法
c.生産高比例法
d.取替法
e.減量率法
という種類があります。
ここでは、実務上もっとも多く使われている、「a.定額法」「b.定率法」の計算方法について、概要をみていきます。
a.定額法
耐用年数期間にわたって、毎年定額を償却費として計算していく方法です。定額法による減価償却費は、次の式で算出します。

*1カ月未満の端数切り上げ
b.定率法
減価償却資産の未償却残高(取得価額−前年までの減価償却費の累計額)に、毎年一定の率を乗じて償却費を計算する方法です。償却率は定額法の2.5倍になっています。
定率法による減価償却費は、次の式で算出します。

*1カ月未満の端数切り上げ
定率法は償却額が一定の金額になった事業年度を基準として、定額法に切り替えます。
* 一定の金額とは

この金額を簡単に計算するために法令では保証率を定めています。
![]()
定率法で計算した償却額 < 取得価額 × 保証率 となった事業年度から、定額法に切り替え、改定償却率を使用して1円の備忘価額が残るまで償却します。
1 | 2
D-1.経営管理から決算書の作成まで
- 経営管理の基本
- 会計の基礎知識
- キャッシュフロー経営の基本
- 必要な各種申告の手続き
- 決算書の作成
- 企業経営における税金対策
- 消費税の基礎知識
- 源泉徴収の基礎知識
- 販売・仕入管理業務をチェックする
- 労働時間管理の基本
- 個人情報保護法への実務対応
- 中小事業者が受けられる消費税の特例
- 財務分析(安全性)
- 財務分析(収益性)
- 財務分析(効率性)
- 財務分析(生産性)
- 財務分析(成長性)
- 財務分析(株主関連指標)
- 社内規定の整備:就業規則(正社員)
- 社内規定の整備:就業規則(非正社員)
- 社内規定の整備:退職金支給規程
- 社内規定の整備:旅費交通費支給規程
- 社内規定の整備:慶弔見舞金支給規程
- 社内規定の整備:育児休業・短時間勤務規程
- 社内規定の整備:介護休業・短時間勤務規程
