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こんなときどうする?

給与の差押命令について

先日、社員の給与差押命令書なるものが裁判所から送られてきました。どうやら消費者金融への借金の返済が滞ったことによる法的措置のようですが、実務上、会社としてはどのように対応すればよいでしょうか?(愛知県 L社人事課長)

社会保険労務士 富岡英紀(とみおか・ひでき)
経営・労務に関するコンサルティングのほか、ベンチャー企業への助成金コンサルティングや就業規則によるリスクヘッジなど付加価値の高いサービスにとくに力を入れている。
社会保険労務士 加藤美香(かとう・みか)
労働基準監督署労働条件相談員、労働時間短縮アドバイザー、就業規則普及指導員等公的業務の経験を生かし、企業への人事労務コンサルティングに力を入れている。

回答

まずは社員への告知と事実確認を。差押命令に従って給与を差押え、弁済(または供託)します。

解説

銀行や消費者金融等の貸金業者は、債務者の返済が滞っている場合に、給与の差押えという法的手段を用いることで債権の回収を図ります。裁判所から社員の給与差押命令書を受け取った会社は、給与をそのまま社員に支払うことができなくなります。
 ただし、給与全額を差押えてしまうと社員も生活ができなくなってしまうため、差押えをしてはいけない範囲が定められています。具体的には、給与支給総額から税金や社会保険料等を差し引いた額(手取額)の4分の3に相当する額は、差押えることができません。

つまり、差押えの効力が及ぶのは、原則として手取額の4分の1ということになります。ただし、給与が比較的高い社員で、手取額が44万円以上の場合、33万円を超えた額が差押えの対象となります。

差押通知は債務者である社員のもとにも送られますが、給与に関係する話なので、社員とも十分に話をすることが重要です。その際に、

  • 債権者と交渉して、差押えを取り下げてもらえる余地がないのか
  • 差押えの対抗手段として自己破産や個人民事再生等を考えていないか
  • 取立ての違法性を訴えて、命令の取消・変更を求める異議申し立てを起こせないか...

いろいろな可能性を検証してみてください。

差押えた給与は、債権者に直接支払うか、法務局に供託することになります(差押命令書が2通以上ある場合には供託となります)。

以上、給与の差押えについて回答してきましたが、多重債務問題に関しては、あくまでプライベートな問題なので、会社が介入するにも限界があります。金策に走りまわって業務に支障をきたしたり、同僚からも借金をしたりといった事態へ発展しないよう、社員が早めに相談できる体制づくりを推進していきましょう。

用語の説明

 ●供託
 供託とは、金銭や有価証券などを国家機関である供託所(法務局・地方法務局など)に提出し、その管理を委ね、最終的には供託所がその財産をある人に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度です。

 ●自己破産
 自己破産とは、保有する財産を処分し、支払い不能となっている債務について免責してもらうものです。
 現時点で保有する財産を処分しても債務が残り、生活を維持しながら返済を続けることができないと判断された場合に、免責されるものです。
 ただし、破産した原因がギャンブルなどの場合には免責されないこともあります。

 ●個人民事再生
 個人民事再生とは、債務の返済が不能になる前に、債務者が弁済計画を立てて裁判者に申し立て、法的に債務を圧縮する方法です。この方法を使えば、破産することなく債務整理を行うことができます。
 個人民事再生には、サラリーマンを対象にした「給与所得者等個人再生手続」と、そのほかの個人を対象にした「小規模個人再生手続」があります。
 このうち、給与所得者再生手続は、住宅ローンを除いた債務が3000万円以下であること、債務を圧縮すれば、返済をしながら生活を立て直せる見通しがあることなどを条件に、債務額を5分の1(下限100万円、上限300万円)に圧縮することが認められるという制度です。

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