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新事業発見!

発売から約1年で販売数が4000組超

子どもでも気楽に将棋の基本を味わえる。母親も一緒に楽しめる。難しそうな将棋の間口を広げたのが、日本女子プロ将棋協会(東京都北区、以下LPSA)の「どうぶつしょうぎ」だ。

女性・女の子の将棋人口の少なさが開発のきっかけに

女流棋士の中倉彰子氏(左)と藤田麻衣子氏(右)女流棋士の中倉彰子氏(左)と藤田麻衣子氏(右)

2008年2月、初めて「どうぶつしょうぎ」のデザイン案が出来上がる以前から、LPSA(07年5月設立)は女の子の将棋人口の少なさを深刻に捉えていた。大ヒット漫画「ヒカルの碁」(集英社)の影響もあってか、女の子は将棋より囲碁に集まる傾向があった。

なぜ将棋は不人気なのか。LPSAで初心者に将棋を教えていくプロジェクトのリーダー・中倉彰子棋士は指摘する。「まず覚えなくてはならない駒の数が多い。駒の名前が堅苦しくて、難しいイメージがある」。一方、核家族化で、子供に将棋を教えてくれるおじいちゃんのような存在も少なくなった。

さらに女性の将棋人口は1割未満。世の中にこれだけ楽しいものが溢れる時代に、母親は自分の子供に将棋を勧めない。「自分が母親になって初めて、女性の需要喚起の必要性に気付いた」と「どうぶつしょうぎ」のデザイナーであり、女流棋士の藤田麻衣子氏は語る。将棋好きな母親が増えなければ将棋の普及はままならない。そんな危機感を持った。

かくして「子供と女性に親しまれる将棋」の開発が始まる。まず事業部では、将棋の駒を動物マスコットにする案が出た。見積もりを出すと、なんと1組20万円。この額に一旦は動物駒作成の案はたち切れとなる。そんな時、藤田氏が初心者用の紙の盤駒を作成するために動物のイラストを考案。40枚の駒を使用する本将棋バージョンで試作品を作り上げた。

同じ頃、小さい盤と小さい駒でシンプルかつ面白いゲームを作りたいと考えていた北尾まどか棋士が3×4の升目の将棋を考案。

試作品の段階では9×9の本将棋だった。ねこやうさぎ、いのししなど多くの駒がつくられたが、駒数がしぼられて今の形に試作品の段階では9×9の本将棋だった。ねこやうさぎ、いのししなど多くの駒がつくられたが、駒数がしぼられて今の形に

二人の案が融合し、シンプルかつデザイン性のある「どうぶつしょうぎ」が誕生することとなった。ロット数を上げられないので外注が難しく、当初の100組は一個一個藤田氏が手作業で木材にやすりがけをしていた。時間がかかり注文に追いつかず、木を研磨して駒にする作業は障害者団体に依頼。動物のシールを藤田氏が駒に貼っていく「家内制手工業」のような製作体制で、コストを抑えた。

試作品はまず、08年8月のゲームの会合で見せてみた。「かわいいだけじゃなくて、おもしろい」と反応は上々。初めて販売したのは08年の11月だった。東京おもちゃ美術館(新宿区)に5セット持って行き、1時間で完売。保育士さんが買っていく姿を見て手応えを感じた。

12月からネットで通販を始めるが、月に約100組の売り上げが続く。それが09年4月ぐらいからマスコミに取り上げられると、1日に100件もの受注が来るようになった。スタッフだけの「家内制手工業」が受注に追いつかなくなり、一時期、商品の販売をストップする事態に。夏を迎えた頃には、商品化したいと20社以上からオファーが来ており、9月に外部で商品化することを決意した。

ルールは簡単。相手のライオンの駒をとるか、相手の陣地(空か森)に自分のライオンの駒が進めば勝ち。きりんの駒は縦横に一マス、ぞうの駒は斜めに一マス進める。ひよこは前に一マス進めるだけだが、相手の陣地に入るとにわとりに成長。斜め後ろ以外はどのマスにも進めるようになる。

ルールは簡単。相手のライオンの駒をとるか、相手の陣地(空か森)に自分のライオンの駒が進めば勝ち。きりんの駒は縦横に一マス、ぞうの駒は斜めに一マス進める。ひよこは前に一マス進めるだけだが、相手の陣地に入るとにわとりに成長。斜め後ろ以外はどのマスにも進めるようになる。

■商品概要

どうぶつしょうぎ
木製の棋盤と駒の市販化版(幻冬舎エデュケーション製)が書店や玩具店で販売中。1500円(税込み)。
LPSAのサイトから通販でも購入可能(送料500円)。また通販では、棋盤が紙製の元祖「どうぶつしょうぎ」1200円(税込み)や、棋盤のハンカチ500円(税込み)も販売中

アナログな商品化へのこだわり

それぞれの駒に色をつけて、駒の名前にふりがなをつけた型。LPSAは将来的にこの型を普及させたいと考えているそれぞれの駒に色をつけて、駒の名前にふりがなをつけた型。LPSAは将来的にこの型を普及させたいと考えている

注目すべきは、LPSAが木製の「どうぶつしょうぎ」にこだわった点だ。オファーしてきた企業の中で、木製の将棋のまま商品化したいと言ってきたのは2社のみ。他の企業はすべて、デジタル・コンテンツとしての商品化を提案してきた。しかし、LPSAがまず初めに取り組んだのは、あくまでアナログ製品だった。

「知育の商品、ものを触って子供が何かを覚えていく商品であってほしかった」(藤田氏)
 駒を手にした子供たちが、あるいは親と子供が、向かい合って知恵をひねる空間こそがこの商品の魅力なのだと中倉氏は語る。

「子供やお母さんに将棋という言葉を覚えてもらうだけでもいい」。そんな思いを胸に、藤田氏は今でも自家製の「どうぶつしょうぎ」をつくり続けている。

会社概要

団体名 日本女子プロ将棋協会
所在地 東京都北区中里2-6-9-102
電話 03-3915-0931
URL http://www.joshi-shogi.com/

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