ファーストクラスの気分を味わえる豪華なコンパクトホテルとは?
| これまで「ありそうでなかった」のが、ビジネスホテルとカプセルホテルの中間に位置する宿泊施設。しかし、実は「ありそうでなかった」のではなく、「出来そうで出来なかった」というのが実態のようだ。 |
進化して逆輸入されたホテル
フロントエリア。スムーズなチェックインでそのままキャビンへゆったりと睡眠をとるには十分なスペースの、カプセルホテルとは違う快適空間──。そんなこれまでありそうでなかったホテル「FIRST CABIN」を展開するファーストキャビン(東京都千代田区)が話題だ。
同社の強みは親会社が、大手建築設計事務所のプランテックグループ(東京都千代田区)であること。会長は建築業界でも著名な大江匡氏で、ホテルの建設・改修の経験も豊富。
その事務所が「お客さまのホテルを設計するだけでなく、自分たちでもやってみよう」と考えたのがそもそものきっかけ。ロンドン・ヒースロー空港にあるコンパクトなホテルで、日本のカプセルホテルをモデルに作られたといわれている「ヨーテル」をヒントに、全く新しいホテルの企画・運営に着手。そこで、現社長の小俣満理氏に白羽の矢が立ったという。
小俣社長は「事務所はコンパクトながらラグジュアリーなホテルの展開を考えており、私はラグジュアリーホテルの経営に関心があった。お互いの考え方を融合させて、新しいコンセプトのホテルに発展させていった」と語る。
そして完成したのが1室4.2平方メートルのキューブ型ホテル「FIRST CABIN」。いわばカプセルホテルの進化した逆輸入版だ。
放置されていた空白域を埋める
小俣満理社長小俣氏は2008年の7月にファーストキャビンを立ち上げた。ホテルのコンセプトは「カプセルホテルより1000円高く、ビジネスホテルより2000円安い」空白域。 「この両者に仕方なく泊まっているお客さまがおり、中間に満たされていない需要がある。カプセルホテルの利用客にとっては、通常料金に1000円をプラスすれば快適なサービスが受けられるイメージ」(小俣氏)
社名には「ファーストクラスのようなおもてなしをする」という気持ちが込められている。ここにラグジュアリーな要素を持ち込めたのは、建築事務所ならではの妙技だ。既存のカプセルホテルの4倍の容積で、実際に入ってみてもまったく圧迫感はない。
コスト削減も怠りない。初期投資は極力抑えるために、元の躯体をできるだけそのまま利用する。共有部分のコストは抑える。例えば、09年4月にオープンした「FIRST CABIN 御堂筋難波」においては、元の建物の天井を黒く塗っただけ。「統一感をもってシックにスタイリッシュに作るが、初期投資にコストをかけないことに一番注力している」(小俣氏)。
一つのキャビンを作るには、8個のL字形の部品を既存の建物に運び込んで組み立てるだけ。部材のFRP樹脂はユニットバスと同じ素材だ。古い建物にも対応すべく、部品はそれぞれが11人乗りエレベーターに乗るように設計されている。
また、「輸送回数を減らすために、何トントラックで何回運べば済むかまで計算して設計されている。そのために、部材はL字形で8個が最適だという結論になった」(小俣氏)という。
1号店「FIRST CABIN 御堂筋難波」に続いて、今年度内には3店を出店する予定。今後5年間で50店出店するのが目標だ。運営方式は「フランチャイズ」「運営委託」「直営」の3種類。1号店はフランチャイズだが、店長は同社から派遣中。連日ほぼ満室で、経営状況は極めて良好だ。同社は今後もできるだけ運営に関与する形で出店を増やすことを方針にしている。ちなみに1号店の初期投資額は約3億円で、起案から開業までの期間はわずか半年。普通のホテルでは考えられない低コスト、短期間での開業を実現した。景気低迷下の昨今、空室物件には事欠かない。
予想以上に女性に好評
コンパクトながら十分にくつろげる広さのキャビン1号店は111キャビン中12キャビンが女性専用だが、これが人気を博している。アンケートの結果では「女性専用エリアがあるのが嬉しい」「セキュリティが高いので安心できる」との声が多く、現在、男女比率の変更を検討中だ。
「これほど女性からの反応が大きいとは予想していなかった。2号店以降は、男女比率をより柔軟に変えることができる設計にしていく」(小俣氏)。また、ビジネスだけでなく、レジャー客の利用があることも予想外だったという。
将来的には高速道路のサービスエリアや空港に設置することも検討中で、実際に先方と交渉を進めている。このような仮眠を前提とする施設には、従来のキャビンより小型の2.5平方メートルの「ビジネスクラスキャビン」も開発中。この場合はファーストクラスキャビンよりも、利用料を1000円下げる予定だ。
男性を主に想定すれば女性からも評判が良く、ビジネス客を想定すればレジャー客からも支持される。加えて幅広い年齢層からも支持を得れば、顧客層は際限なく広がる可能性がある。
ではなぜこれまでこのような施設がなかったのか?
「実はこれまでも進出を図った企業はある。ただし、多くの業者が『建築基準法』『消防法』『旅館業法』によって行政が求める高い水準をクリアできなかった。当社は建築事務所として長年蓄積したノウハウと折衝能力があったので、この壁をクリアできた」(小俣氏)とのこと。
「ありそうでなかった」のではなく、「出来そうで出来なかった」ことが遂に実現したのが「FIRST CABIN」の実像だと言える。。
| 企業名 | ファーストキャビン |
|---|---|
| 所在地 | 東京都千代田区紀尾井町3−6 |
| 資本金 | 1000万円 |
| 売上高 | (非公表) |
| 従業員 | 13人 |
| 電話 | 03-3237-8720 |
| URL | http://www.first-cabin.jp/ |
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