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新事業発見!

抜け毛・薄毛対策に役立つ高級シャンプー

アンファーが抜け毛や薄毛に悩む男性をターゲットに開発した薬用シャンプー「ヘアメディカルスカルプD」が売れている。発毛・育毛クリニックで吸い上げた患者の声を出発点として、皮膚科、形成外科、精神科などの専門医が参加して商品開発を行ない、4800円という高価格ながら愛用者を着々と増やしている。

波間隆則(はま・たかのり)氏 波間隆則(はま・たかのり)氏
1969年長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、大手製薬メーカーに就職。その後、美容外科クリニックに転職し、医療知識を深める。01年アンファー株式会社に入社。医療知識を生かした商品開発を手がける。

髪ではなく頭皮に焦点を絞り
独特の使用感でファンを獲得

「頭皮の皮脂を取る」要望に応えた脂性肌用シャンプー。ほどよい泡立ちで、頭皮がすっきりさわやかな感覚を得られる。「頭皮の皮脂を取る」要望に応えた脂性肌用シャンプー。ほどよい泡立ちで、頭皮がすっきりさわやかな感覚を得られる。

1本4800円。アンファーが2005年3月に一般発売した「ヘアメディカルスカルプD」は、一般的なシャンプーの市販価格の約10倍にも上る高価格だ。にもかかわらず、すでに累計50万本(08年9月末時点)のヒットを飛ばしている。同社商品開発部の波間隆則氏が売れ行き状況を語る。

「発売当初の売上高は1カ月当たり30万円程度でした。現在は、薬用スカルプDシリーズとして3種類のシャンプーとコンディショナーを販売していますが、頭皮ケアのシャンプーとしては驚異的な売り上げを記録しています」

開発コンセプトは明快そのもの。「髪ではなく、頭皮を洗って抜け毛や薄毛を防ぐシャンプー」だ。頭髪にまつわる男性のコンプレックスに応える商品である。シリーズの基本商品は脂性肌用と普通肌・乾燥肌用の2種類で、独特の使用感がある。手に取ると、いずれも着色料などが入っていないことがひと目で分かり、同時に薬草を思わせる自然な香りがする。

髪につけると、脂性肌用はすぐに泡立ち、自然に髪よりも頭皮に指が触れやすくなる。ていねいに頭皮を洗って流すと、いつものシャンプーとは違い、頭皮がすっきりさわやかという感覚が長く残る。

もう一方の普通肌・乾燥肌用を試すと、あまり泡立ちがなく、これで頭皮と髪の汚れが落ちるのかと不安になるほどだ。しかし、地肌にやさしく、とても刺激が少ない。頭髪のトラブルの原因となる頭皮の炎症を起こしにくいという特性が、実際の使用感に表れていると感じられた。

どちらも一般大衆向けシャンプーとしては個性が強すぎて使用しづらいが、その独特の使用感にこそ、スカルプDシリーズが高価格ながら爆発的ヒット商品に成長した理由があると、波間氏は指摘する。

「一般的なシャンプーを、真ん中のボリュームゾーンとします。そうした時、脂性肌用と普通肌・乾燥肌用は、それぞれが両極端に位置します。私どもはトイレタリー(洗面・化粧用品)を手がける会社としてはまったく無名です。大手メーカーとは企業体力や知名度などで歴然とした差があります。だから、高価格でも買いたいと思わせる、ある意味で普通ではないシャンプーを作ることが、私たちの使命だと思いました」

大手メーカーが力を入れることができない、ニッチ(すき間)市場での商品開発と販売促進に専念したのである。

1500人のヒアリングから
確かな顧客ニーズを抽出した

ヘアメディカルスカルプDシリーズはシャンプー2種とコンディショナー1種の構成。ほかに女性用もある。ヘアメディカルスカルプDシリーズはシャンプー2種とコンディショナー1種の構成。ほかに女性用もある。

アンファーには、ニッチ市場を開拓する商品を生み出す体制が整っていた。商品づくりのノウハウを得るため、5つの頭髪クリニックと情報交換を行なっているのだ。いずれも開設から10年以上経ち、6万人以上の患者を診察してきた実績のあるクリニック。スカルプDシリーズの商品開発には、その莫大なデータとノウハウが最大限に活用されている。これが、頭髪の悩みに応える商品という、ニッチ市場とはいえ伝統的に競合も多い分野でヒットを生んだ背景にある。

波間氏が説明する。「頭髪治療にあたっている皮膚科、形成外科、精神科など各分野の専門医師の意見が商品に盛り込まれています。単純にニッチ市場を狙うという発想ではなく、頭髪クリニックの現場から生まれた商品なのです」

クリニックの顧客のなかには、発毛効果が表われる人と、なかなか効果が出ない人がいる。そこで、毎日のように使って症状の改善につながるものはないかと模索し、シャンプーの開発に行き着いた。「全国の1500人から、シャンプーについてのアンケート調査を行ないました」(波間氏)

その結果、浮かび上がったシャンプーのニーズが次の3つだ。(1)頭皮の皮脂をしっかり取る。(2)頭皮にやさしい。(3)脱毛予防、育毛効果がある。

「髪の汚れを落としたい」「髪にツヤを出したい」といった一般的な人たちのニーズとは明らかに異なる。だが、(1)の皮脂を取ることと、(2)の頭皮にやさしいことは、同一商品としては相いれない。そこで、(1)に応えるための脂性肌用と、(2)に応えるための乾燥肌・普通肌用の2タイプを並行して開発することにした。

大手ホームセンターで
売り上げ第1位を獲得

販売を開始すると、スカルプDシリーズは小売業界からも歓迎された。消耗品であるシャンプーにしては高価格なため、販売側のメリットが高くなるからだ。東急ハンズ(東京都渋谷区)のヘアケア部門では売り上げ1位に輝いた実績がある。店頭販売や広告の効果で知名度が高まるにつれて、インターネット販売も好調の波に乗り、現在では売り上げの約80%がネット経由による。また、2度、3度と購入するリピート率も非常に高い。

08年4月には女性用の「スカルプDレディース」も投入した。女性用の愛用者は「実は男性用の普通肌・乾燥肌用を使っていました。敏感肌なので頭皮にやさしいシャンプーを探していて見つけたのです。女性用の発売はうれしいですね」と語る。

08年6月には富裕層に向けて1本1万290円という高価格シャンプーを発売、こちらも好評を得ている。香水にも使われる高級な香料を使用し、脱毛抑制効果のあるノコギリヤシエキスが入った商品だ。スカルプDシリーズで手応えをつかんだアンファーは、今後もヘアケア部門のラインナップを充実させていく構えだ。

会社概要

企業名 アンファー
本社 〒104-0061 東京都中央区銀座3-5-8
設立 1987年10月
資本金 1525万円
売上高 12億9800万円(08年3月期)
従業員 25人
事業内容 オリジナルドクタープロダクツの研究開発及び企画・販売業、専門医師監修によるアンチエイジング化粧品・サプリメント・健康食品などの研究開発および企画・販売・卸業務
URL http://www.angfa.jp

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