自分だけのワインを作るバレル・オーナーシップ
| 全米でいちばん人気があるアルコール飲料はビールだそうだが、ニューヨークではワインが絶大な人気を誇る。ワインに詳しい愛好家も多い。そんなワイン好きに受けているのが「バレル・オーナーシップ」というニュービジネスだ。 |
プロと一緒にマイ・ワインを作ろう
悪いぶどうを選り分ける作業「バレル・オーナーシップ」を始めたのは、マンハッタンの「シティー・ワイナリー」というレストラン(08年11月下旬オープン)。バレル・オーナーを募集したところ、すでに予定の半数が売れたという。
このサービスは、「マンハッタンで一流のワイン職人といっしょに自分のワインを作るとうユニークな体験を提供する」というのがコンセプト。客はバレル(樽)単位でワインを購入し、ワイン作りのプロのアドバイスを仰ぎながらぶどうの種類などを自分で選び、プロと一緒にワインを作って熟成するのを待って味わおうというもの。
ニューヨークのワイン愛好者を相手にするからには、半端なワインではビジネスにはならない。そこで、ワイン通の舌を満足させるべく、ぶどうは世界各地から選りすぐりの原料を調達。ぶどうの種類を選んであとはすべてプロの任せてもいいし、ワイン作りを実際に体験したければ、ぶどうをつぶすところからボトル詰めに至る工程の一部、または全部に参加してもいい。
料金は年間7000ドルから
オーナーになるとワイン作りの工程に参加できるコースは3通りあり、最もポピュラーな「ベーシック・バレル・オーナーシップ」の料金は、オーナーシップの年間費用が5000ドルと、ぶどうやバレル、ボトルのラベル(自分でデザインすることができる)などの実費で、7000ドルから1万1000ドルになる。59ガロン入りのバレルひとつで276本分のワインができるので、ワイン1本あたり25〜40ドルになる計算(ただし、できたワインを売ることはできない)。気に入ったワインができれば、1本あたりこのくらいの価格は高くはない。自分のオリジナルワインをちょとしたギフトにしたり、ほかのバレルオーナーたちと、それぞれのワインを交換して、テイスティングをするのは楽しそうだ。
このサービスを考えついたシティー・ワイナリーの創業者でCEOのマイケル・ドーフ氏は、ニューヨークで人気のニッティング・ファクトリーというライブハウスをプロデュースしたこともでも知られる人物。4年前にワイン職人といっしょにワイン作りをした経験からこのアイデアが生まれた。「しかも、ワイナリーで好きなミュージシャンのライブコンサートができたら、さらに楽しいだろう」と話す。
ライブ音楽を楽しみながら自分のワインを味わう
ぶどうの圧搾機で液体を絞り出すシティー・ワイナリーは一流どころのミュージシャンのライブ音楽を聴きながら、タパス形式の食事を楽しむことのできる、ステージのあるレストランバーにワイナリーを併設。ワインが中で熟成するバレルは、レストランのインテリアの一部にもなる、という趣向。
バレル・オーナーは、レストランで自分のワインがどの程度熟成したかときどき味見してワインの熟成の過程を楽しむこともできるし、もちろん、ボトルキープならぬ、スケールが大きいバレルキープで、自分のワインをゲストにふるまうこともできる。バレルオーナーはレストランの常連になるであろうし、自分のワインをふるまうべく、ゲストを連れてくるであろう。
景気後退でニューヨークのレストランは以前に比べ、20%も客足が落ちているなか、バレルオーナービジネスは、効果の高い常連客獲得法としてレストランに大きな付加価値をもたらしそうだ。
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