メディアを持つマンション販売会社
| 不動産経済研究所の調査によると、2008年現在のいわゆる「新築マンション在庫」は、首都圏だけで約1万戸超といわれ、売主は完成在庫に頭を悩ます。しかし、本当に欲しい人はいないのか、買い手と売り手の要求は一致しているのだろうか?7月24日にスタートし、テレビ放映等で注目を集める、インターネットを活用した新しいマンション購入マッチングサイト販売サイト「得住」はその問題にひとつの解決策を提示したようだ。 |
マンション販売会社がメディア媒体を持つという新しいスタイル
広島出身の馬水社長。7年の構想をかけた「得住」は順調なスタートをきった株式会社ビジョナリープレイス(東京都豊島区/代表取締役馬水茂男)は、インターネットを活用した新しいマンション購入マッチングサイト販売サイト「得住(tokusuma)」を7月24日リリースした。販売代理店が媒体を持ち、かつ媒体のプロであるという斬新なアイデアで話題となっている。
「得住」は、販売中の完成済み未入居マンションで、かつ最新値下げ価格や家具付きなど何がしかのプレミアム情報のある物件を部屋単位で戸別に掲載する。マンション購入を検討するユーザーは、同サイトに情報請求をしたのち郵送にてIDとパスワード(有効期限つき)を受け取り、インフォメーションセンターに電話で問い合わせし、プレミアム情報を受け取る。
案内された物件に興味があれば、住戸の見学を申し込む。気に入ればあとは販売スタッフが住宅ローンの申し込みや契約にいたるまで一貫してサポートする。販売価格以外の仲介料・相談料などユーザーの負担は発生しない。
「得住」のトップ画面これまでの一般的な物件情報サイトでは、販売会社とサイト運営会社は別となっているケースがほとんどで、掲載された物件に興味があれば問い合わせ先となっている販売代理店等に問い合わせ、進めていくスタイルだった。
これに対して「得住」は、サイト運営会社であるビジョナリープレイスが販売代理店でもあるため、物件の収集から契約にいたるまで一貫したサービス体制が可能となった。
従来の手法だけでは消費者のニーズにこたえられない
得住を運営するビジョナリープレイスの馬水社長は、広告代理店で不動産ポータルサイト事業の立ち上げや、不動産広告などを担当してきた。その経験から、「マンション購入希望者と物件はもっとハッピーな出会いができるはず」との考えにいたり、7年の構想ののち「得住」のスタートにたどり着いた。
マンション販売の現状を調査すると、過度の営業スタイルによって不愉快な思いをしたという声も多くきかれたそうだ。「いらないといったのに電話がくる」「知らない販売会社からDMが届く」などだった。
「得住」は押し売り的な営業は決してしない。基本的にサイト上で登録し、IDとパスワードを受け取り、電話で問い合わせしてきた顧客に対してのみ必要な営業を行なう。顧客情報についてもこの段階で売主に提供はしないなど厳しい体制を敷いている。
売主、買い手双方にベストな物件を
好評だった事業発表会。この後すぐテレビ放映され反響を呼んだマンション売主にとってもメリットは多い。2008年の「新築マンション在庫」は、首都圏だけで約5000戸といわれている。価格の高い商品で金利負担も大きいため、売主としては多少価格を下げても完売したいが、入居者への配慮からむやみに値下げ情報を公開することは控えたい。サイト登録、電話問い合わせのあった積極的で特定の購入希望者にのみ情報を公開する「得住」は売主にとっても利用価値の高いサービスだといえるだろう。
売れ残ったからといって、その物件が必ずしも魅力がないとはいいきれない。モデルルームとなっていて多少なり人の出入りがあったとしても、その分価格が下がったほうがよい場合もある。それこそ人それぞれニーズや考え方は様々である。要は購入希望者と売主のマッチングが大切であろう。
2008年3月に運営会社である株式会社ビジョナリープレイスを設立、7月24日に「得住」サービスをスタートさせ、現在では、公開登録住戸は102戸、プレミアム会員は116人となっている(8月26日現在)。116人もの本気度の高い購入希望者を“営業せず”に集めていることは、サービスが評価されていると見ていいだろう。
とはいえ、「得住」サービスの開発には様々な困難や不安もあった。特に不動産公正取引協議会とのやり取りには1年の歳月を費やしたという。同協議会は「不動産の表示に関する公正競争規約」および「不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」を運用するために昭和38年に設立された不動産業界の自主規制機関。
馬水社長は振り返る。「もっとも大変だったのが、不動産公正取引協議会の定めるルールを遵守することでした。不動産販売は高額な商品を扱いますから、お客様からの信用が第一です。情報の公平性や透明性、鮮度を保ちながら、お客様にとって使いやすいサービスモデルを作るのに試行錯誤しました。事務所のある九段には本当に何度も通いました(笑)」
不動産販売会社が媒体(メディア)を持つという斬新な発想で好スタートを切ったビジョナリープレイス社の「得住」。今期は200戸の契約で2億1千万円を目標に設定している馬水社長に今後の意気込みをきいた。
「マンション販売会社と消費者をつなぐ手法は、プリントメディア、広告、人的営業以外にこの20年間、変化がありませんでした。一方で消費者はどんどん進化しており、とくにIT化によって誰でも情報を手に入れることができる今日では、より適切で効果的な手法が求められつつありました。得住が提供する買い手と売り手の新しいコミュニケーションルートは、そのひとつの現われであると自負しています。得住がマンションの買い手と売り手双方にとって不可欠なサービスとして多くの方に愛され、定着することを願っています」
現在は首都圏での展開となっている「得住」だが、全国展開への要望が多く、近く全国展開を開始するとのことだ。
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