起業家教育で目指す地域の雇用創出
| 起業家教育に特化した事業展開で注目を集める株式会社セルフウイング(東京都新宿区)。独立行政法人中小企業基盤整備機構が開催している「JAPAN Venture Awards 2008」において中小企業庁長官表彰も受賞している。 |
起業家教育にフォーカスし注目される
代表取締役の平井由紀子氏独立行政法人中小企業基盤整備機構が開催している「JAPAN Venture Awards 2008」において中小企業庁長官表彰を受けた株式会社セルフウイング(東京都新宿区)は、起業家教育を主たる事業として展開し注目を集めている。同社は2000年に設立され、小学生から一般社会人までという幅広い層に対して、早稲田大学と共同研究した独自の起業家教育プログラムを提供している。
「起業家教育を主たる事業としている会社は少ない」と同社代表取締役社長の平井由紀子氏がいうように専門的に取り組むには難しい事業を展開し、2000年の設立以来起業家教育専門企業として9年目を迎えている。
キーワードは「教育」「雇用」「地域」
同社を理解するキーワードは「教育」「雇用」「地域」である。3つのキーワードは起業家教育をとおして雇用創出に貢献し、地域の活性化を成しとげたいという平井社長の理念に直結している。
事業内容は、「起業家教育事業」「教育機関サポート事業」「CSR事業」「地域活性化事業」の4つからなる。
起業家教育プログラムの模様。実体験型のプログラムである。写真は資金調達のため銀行を訪問する子供たち「起業家教育事業」では、小学生から一般社会人までを対象に起業教育プログラムを提供。「教育機関サポート事業」では、起業家教育を軸にした様々な提案を行ない、「CSR事業」では、戦略的社会貢献の推進として、社員が地域の子供たちの指導者となり地域の次世代育成のための起業体験プログラムを実施する。
「地域活性化事業」では、起業教育プログラムのノウハウを活かし、地元の特性を活かし、フリーターを対象に農業から起業へ結びつけるプログラムの実施などを行なっている。
特に話題となっているのは、核となっている起業教育プログラムだ。地域の特産品や農産物などをテーマに「会社をつくり、事業を興す」一連の流れをベースに目的や地域にあわせたプログラムを提供する実体験型企業教育が好評で、平井氏は、主な対象となる小・中・高校生には、「会社作りの流れを体験し、チームワークやお金の大切さ、自分の考えを評価されることで自信を身につけ、他人の良いところを評価し尊重する気持ちを学んでほしい」と語る。
参考に「JAPAN Venture Awards 2008」の中小企業庁長官表彰選定コメントを紹介する。「2000年セルフウイング設立。小学生から一般社会人までという幅広い層を対象に、大学と共同研究した独自プログラムを展開。“会社をつくり、事業を興す”という一連の流れをベースに、目的に応じて地場産業や、農業活動など、多様なプログラムを確保、特に若年層向けの起業マインド育成には重点を置いている。また、プログラムの効果は、発達心理学に基づき開発した効果測定ツールにより客観的に把握している。今後、指導者の育成等にも積極的に取り組む方針」(JAPAN Venture Awards 2008 ホームページより)
豊富な海外ビジネスの経験から体感した教育の重要性
起業以前の会社員時代、欧米各国から後進国や政情不安を抱える国まで幅広い海外勤務経験を持つ平井氏が痛感したのが「起業家教育の重要性」だという。治安の悪い地域ではふとしたことですぐに失業し、失業者が増えることでさらに治安も悪化していく。そのような状況では個人の尊厳も守られない。そこで必要なものは何か、考えて行き着いたのが教育だった。
起業家教育での起業を目指す平井氏は、「会社を設立し、起業家教育を事業として市場に打って出るにはどうすべきか」考え、産学連携による専門性の高いプログラムの開発が必須との結論に達し、早稲田大学大学院に入学しプログラムの産学共同開発に着手した。
完成したプログラムは専門性の高さが評価され、いまでは地方自治体や商工会議所、学校、企業において導入されており、年間契約を結びノウハウを提供していくことが多い。顧客からの信頼は厚く、これまでの受講者数は累計で6000人を超える。
小泉純一郎元首相が06年の中東訪問で打ち出した「平和と繁栄の回廊」構想に始まる対中東支援では、教育分野において同社が主要な担い手となった。財団法人中東協力センターの交流事業の一環として07年に行なわれた、両国の高校生が交流しての起業家教育の企画などを担当したものだ。日本が世界への人的貢献を図る場面においても、海外で平井氏が体感した「教育」へのニーズはやはり高いものだったのだろう。
プログラムの対象は小学生から一般社会人と幅広いが、小学生の反応はストレートで面白いという。キッズへの起業家教育プログラム実施にあたっては、役割分担、チームで機能させることを重要視する。小学生は会社を設立し、扱う商品を決め、販売、決算まで一連の流れを学んでいくなかで、個人の能力差や考え方、性格の違いから様々な問題に直面するが、「いがみあっていては会社がつぶれてしまう」というポイントは小学生にもわかりやすいという。
平井氏は、教育に関わる動機も目的も明確だ。「最終的な目的は、雇用の創出による地域のインキュベーション(設立して間がない新企業に経営技術・金銭・人材などを提供し、育成すること)。具体的には新規事業ということになる」
疲弊する地方経済の現状についても同社が成すべきことがあると語る。
「地方から人材が流出してしまうのは、雇用がないからでしょう。地元にいたくてもいられない事情がある。事業を発展させられる人材、新規事業をつくる人材が育てれば、雇用を創出できる。それが地域の活性化につながる」
最後に今後の展開についてうかがった。「今後はこれまでのノウハウをもって新規事業支援をつうじた地域のインキュベーションを進めたい。また、大学というインフラを一層活用した起業家教育を展開したい」
「採算面では“浅く広く”を推し進め、財政事情の苦しい地方自治体や関連団体にもさらに有効に弊社のノウハウを利用していただけるよう、ビジネスモデルの進化にも力を注ぎたい」
外連味(けれんみ)ない印象の平井氏。起業家教育をとおして地域雇用の創出に邁進してほしい。時代を経てもやはり豊かな国の実現には“米百俵”が要なのだから。
| 会社名 | 株式会社セルフウイング |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区高田馬場下町60 第2暁ビル2F |
| 設 立 | 2000年3月 |
| 代表者 | 平井由紀子 |
| 資本金 | 4700万円 |
| ホームページ | http://www.selfwing.co.jp/award.html |
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