学生様御用達インソムニア・クッキー
| インソムニアとは不眠症という意味。深夜、勉学に励んでいておなかがすくと、ニューヨークの学生たちはインターネットでクッキーをオーダーする。 |
夜は夜食向け、昼間は職場にケータリング
大人の手のひらほどの大きさのクッキーは1枚90セント夜中におなかがすいたとき、デリバリーしてもらえるのはピザなどのおなかにもたれそうな食事ばかり。そういうものではなく、軽いクッキーが食べたいと思ったペンシルベニア大学の学生が、クッキーを焼いて友達に配ったところ、これが好評。
まさに味をしめて2003年、キャンパスの学生たちの夜食需要をターゲットとした「インソムニア・クッキー」が誕生した。現在では、ペンシルベニア大学のほか、ニューヨーク大学、コーネル大学などの大学キャンパス近くに出店、この9月には20店舗になる予定だ(半数は移動販売)。
商品はシュガー、チョコレートチャンク、ピーナッツバターなど7種類のクッキーとブラウニー、ミルク、水。クッキーは1個90セント。営業時間は店舗によって異なるが、ニューヨーク大学近くにある店舗は午前9時から深夜3時までの営業で、午後8時から午前2時半までがデリバリーを頼める時間帯に。学生の場合は友だちと一緒にオーダーすることが多いので、デリバリーの客単価は約10ドル程度で、ひと晩のデリバリーオーダーは70〜80件ほどにのぼるという。
クッキーはオーブンで焼き上げたあと、ウォーマーに移して保温される一方、昼間は予約注文で売り上げを上げる。近郊オフィスのミーティングなど向けのケータリングの場合は、1回の注文は平均50ドルほどになる。こちらは、学生がキャパスから消えて学生の数が減る夏場に、売り上げを3倍に伸ばしている。
もちろん、店に来て買っていく人もおり、この店舗では、デリバリーとウォークインの売り上げの割合はほぼ半々だという。
できたてで温かいクッキーが人気の秘密

07年の3月、ニューヨーク大学近くにオープンした「インソムニア・クッキー」
インソムニア・クッキーのもう1つの特徴は、できたてで温かいこと。毎日オーブンで中がソフトで外側がさくっとなるように焼き上げ、焼きたてのクッキーを特別注文のウォーマーに移し替えて保温。デリバリーの際は、ピザの配達に使うような保温性のバッグを使用するので、届いたときにもまだほんのり温かい。
できたてで温かく、しっとりと柔らかいクッキーはとてもおいしくて、スーパーで小売りされている箱入りのクッキーとはまったく別ものという感じだ。できたてのクッキーを温かいうちに配達する、というのがこのビジネスの成功のカギになっている。
宣伝の方法もユニークだ。あくまでもキャンパスにこだわり、学生をアルバイトで雇い、無料でクッキーやクーポンを配ったり、大学の新聞に広告を載せたり、大学のイベントのスポンサーとなるなど、広報担当者いわく、「グラスルーツ(草の根)・マーケティング」を行なった。
カウンターとクッキーの写真が張られているだけのすっきりした店内店舗だけでなく、車による移動販売の形態も採用しているのは、大学のイベントやあちこちで行なわれるフェスティバルなどでのクッキー販売も視野に入れてのことだ。ただし、ニューヨーク、マンハッタンの場合は、駐車スペースの問題や許可を取るのにお金がかかるなどの理由で移動販売は行なっていない。
もっともクッキーの売り上げが伸びるのはクリスマスシーズンから正月にかけて。学生たちが学年末試験でいつも以上に夜食需要が伸び、さらにギフト需要が加わるためだ。インソムニア・クッキーの今年6月までの1年間の売り上げは4〜5ミリオンドル、来年度は6ミリオンドルを目標としているという。
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