食品選びの新たな基準 同じ品質なら「フェアトレード」
| ニューヨークのスーパーの店頭で、オーガニックの認証マークに次いで目につくようになったのが、フェアトレードの認証マーク。おいしくてヘルシーなのはもはや当たり前。同じクオリティならフェアトレードの商品を買おうという機運が高まっている。 |
自分と社会に優しい食物選択基準
フェアトレードをPRするカフェのサインこの5年ほど、アメリカでは食品に求める価値がどんどん多様化している。Organic Processing Magazineというウェブマガジンによると、食物に関するトレンドには、大きく2つの流れがあり、それぞれ4つのポイントがあるという。
1つは「better for me」。つまり、自分の健康や嗜好、ライフスタイルのニーズに応えてくれる食品で、抗酸化などの機能性、グルメやプレミアム、アレルギー体質などの人のための代替食品、低糖やGI値、遺伝子組み換えでないものなど。
(※GI値:グリセミック・インデックス。GI値が低い食物は食後に血糖値が上がりにくく、空腹感をあまり招かない。結果的にダイエットにつながることがある)
フェアトレードの認証がついたコーヒー豆もう1つは「better for world」で、消費行動で世界を変えようという消費者のモチベーションに応えるもので、フェアトレード、ヒューマン(動物福祉の観点から飼育された家畜などを示す)、地元生産、そしてもちろんオーガニックだそうだ。
こうしたキーワードの中でも、フェアトレード(公正貿易)は、アメリカではこの1年ほどで認知度が高まった。市場価格が変動しても、一定の適正価格で取引して生産者の生活を支え、自立をサポートすることを目的にヨーロッパで始まったムーブメントで、代表的なものはコーヒーやカカオなどだ。
フェアトレード商品の好調な売れ行き
フェアトレードをセールスポイントにしているチョコレート「ディーンズビーンズ」は15年前からフェアトレードのオーガニックコーヒー豆の卸を行っているが、クチコミだけで取引先が増え、特にこの7年間は毎年20%ずつ売り上げが伸びているという。また、「イコール・エクスチェンジ」という生協が4年前に発売したチョコレートも売り上げが好調で、去年の売り上げは230万ドル、今年は300万ドルを予想している。
チョコレートのパッケージの裏にはカカオの生産者の顔写真ブランドネームからもフェアトレードの商品であることがうかがえるが、チョコレートの裏、さらに再生紙でできた包み紙の裏にはフェアトレードの詳しい説明が印刷されている。
では、なぜフェアトレード商品が売れるのか。イコール・エクスチェンジでは詳しい統計はとっていないが、フェアトレードであることももちろん理由の一つだが、オーガニックの原料を使っていること、味の好み、ブランドに対する信頼など、トータルな評価で売れているのではないかと見ている。
中間業者を介さず生産者と直接取引をしているので、小売価格はほかと変わらない点も重要だ。消費者は、クオリティや価格が変わらないならフェアトレードの商品を買おうという気になる。また、「ディーンズビーンズ」では、フェアトレードの商品が売れるのは、消費者が自分たちの価値観に合った製品や企業を強く求めている結果だという。
市民団体が強力にサポート
フェアトレードがほかのトレンドと異なる点として、多くの市民団体や非営利団体がサポートしていることも目を引く。非営利団体「フェアトレード・フェデレーデョン」は、フェアトレードの製品だけを扱う団体で組織されているが、昨年だけでも65もの団体が新規加盟した。
ニューヨーク、ブルックリンにある生協では、フェアトレード委員会を組織し、組合員にフェアトレードのPRを行う一方、生協の枠を超えて、地域社会でもフェアトレードの啓発活動を行なっている。5月10日は「ワールド・フェア・トレード・デー」。70カ国の参加でさまざまなイベントが計画されており、これを機にフェアトレードはさらに認知度を高めそうだ。
日本においても、1990年代からフェアトレードに取り組み企業、イベントが生まれているが、その取引額はまだまだ少ない。しかし今後大きなトレンドとなることが期待されている。
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