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建築設計のスパイスを目指す!【株式会社ワサビ】

建築不況が続くなか、あえて独立の道を選んだ設計士もいる。ワサビの笹岡周平社長もその一人だ。仕事の大きさよりも"やりがい"を大切にしたいという笹岡氏は、建築設計業界の"ワサビ"となることを目指している。

株式会社ワサビ 代表取締役社長 笹岡周平(ささおか・しゅうへい)
1978年高知県生まれ。大阪工業大学工学部建築学科を卒業後、インターメディウム研究室(IMI)へ入学。IMI在学中の2001年に設計事務所に就職し、飲食店や小売店などの内装を手掛ける。06年6月に同社を退職し、フリーランスとして活動開始。翌07年5月に(株)ワサビを設立。

顧客の夢の実現をサポートする設計事務所

「もちろん収益を得ることは大切だが、受ける仕事は、規模の大小ではなく、自分がしたい仕事かどうかを重視したい」という笹岡周平氏
「もちろん収益を得ることは大切だが、受ける仕事は、規模の大小ではなく、自分がしたい仕事かどうかを重視したい」という笹岡周平氏
――「ワサビ」というユニークな社名ですが、その由来を教えてください。
「ワサビ」という名称は日本古来の美意識とされる「侘び」「寂び」という言葉からとりました。表層的な豪華さや刹那の流行を追って本質的に価値の無いものを作るのではなく、独創的でユーモアがあり、かつクライアントの利益につながるものを作ることで、社会全体の利益に貢献したいという思いからこの名前を付けました。
――御社は建築設計やインテリアデザインを手掛けておられますが、事業の特徴を教えてください。
具体的な事業内容は建築設計やインテリアデザインですが、単にお客さんがイメージした建物や内装を作るだけではなく、お客さんの夢の実現に必要なさまざまな要素をパートナーとして提案しながら進めていくことを心がけています。
――具体的に言うと?
たとえば、「カフェをやりたい」というお客さんに対しては、店舗のデザインだけでなく、借入金や経営ノウハウからキャッチコピーやロゴマークまで、起業に必要なさまざまなことの相談に乗ります。また、自分たちの利益に反することであっても、お客さんのメリットになることであれば提案することもあります。
たとえば、建物を新築して開業を考えていたお客さんに対し「まずは改装で開業し、余裕ができた時に建て直したらどうか」という提案をしたこともありました。当社の売り上げだけを考えれば新築の方が大きくなるのですが、お客さんの利益を考えると改装の方がリスクが低いため、あえて改装を勧めたのです。

成長できる環境を求めて独立

古いビルの5階にあるワサビのオフィス。白と黒を基調にしたデザインはカフェのようだ古いビルの5階にあるワサビのオフィス。白と黒を基調にしたデザインはカフェのようだ
――就職した設計事務所を5年ほどで退職し07年にワサビを設立されました。なぜ起業しようと考えたのですか。
設計でずっと生きていくには設計技術もスキルアップしていくことが必要ですが、勤務先の設計事務所にはその仕組みがなかった。だから、仕事をしながら設計技術も向上できるような環境を自分で作りたいと思ったのです。加えて、"経営する"ということにも興味があったので、自分で組織を作ろうと考えました。個人事務所から法人に替えたのは、法人の方が社会的な信用が得やすいと思ったからです。
――法人化に際し、必要な知識や情報はどのように集めたのですか?
関連書籍を読んで情報を集めました。また、仕事でお付き合いがあった経営者の人たちにもいろいろと教えてもらいました。ただし、聞いた話をうのみにするのではなく、書籍などで得た知識と照らし合わせ、自分で必要だと判断した情報を採用するようにしました。
築80年の楼閣風の建物を使った京都の結婚式場。この建物のコンセプト策定と内装デザインを笹岡氏が手掛けた(写真:太田拓実氏撮影)築80年の楼閣風の建物を使った京都の結婚式場。この建物のコンセプト策定と内装デザインを笹岡氏が手掛けた(写真:太田拓実氏撮影)
――資金調達はどうされましたか。
最初の資本金の200万円は、自分と妻とで半分ずつ出資しました。その後の増資では、親が出資してくれました。普通、親族が出資者だと配当は求められないのですが、当社の場合、ちゃんと毎年配当も求めてくるので、経営者として気が抜けないですね(笑)。
――顧客の開拓はどうされましたか。
勤めていた時に取り引きがあった工務店の人が新しい仕事を紹介してくれたり、お客さんだった人が知人を紹介してくれたりといった形で、徐々に仕事が増えてきました。独立して最初に手掛けた大きな仕事は京都のウェディング施設です。参加したデザインコンペで選ばれ受注できました。

プロ集団の組織を目指す

今期はオリジナル家具の商品開発も手掛ける予定だ今期はオリジナル家具の商品開発も手掛ける予定だ
――サラリーマン時代と独立してからとでは仕事に対する意識は変わりましたか。
引っ込み思案ではなくなりましたね(笑)。かつては、「言われたことをきちんとこなすことが仕事だ」と思っていましたが、独立してからは、お客さんの立場に立った提案ができるようになりました。お客さんにとって大切なことは、たとえ言いにくいことでも言わないといけないと思うので、「本当にこの案でお客さんが来ると思いますか?」といった厳しい質問もできるようになりました。
――仕事をする上でこだわっていること、心がけていることはありますか。
事業が存続するためには、もちろん収益を上げることは大切ですが、単に大きな売り上げにつながる仕事をしたいとは思いません。その仕事が面白いか、自分にとって取り組む価値があるかということを重視したいですね。
――これまで大変だったことなどはありますか。
おかげさまで独立以来、コンスタントに仕事はあり、資金繰りに困ったといったような経験もありません。ただ、"当社のサービスをどうしたらより多くの人に伝えられるか"ということが課題ですね。不特定多数の人に当社のサービスを分かってもらうために、HPの構成や内容なども吟味して作っているのですが、これまでウェブからの注文はなく口コミがほとんどです。今後、PRをどう行っていくか検討していく必要があると思います。
――今後の事業展望を聞かせてください。
これまでは建築設計や内装の仕事が中心でしたが、4期目となる今期は、オリジナル商品の開発にも取り組む計画です。長期的には、ワサビのスタッフが自分の名前で仕事をとってこられる状況を作りたいですね。今は代表である私の名前で仕事をすることがほとんどですが、将来はそれぞれの名前で仕事ができるプロ集団になりたい。
そして、これはさらにもっと先の夢なのですが、都会から離れた田舎など、自分がどこにいても仕事が入ってくるような環境作りたい。仕事をしながら世界を旅するなんていうことができたら本当に理想的ですよね(笑)。

会社概要

企業名 株式会社ワサビ
設 立 2007年5月
所在地 大阪市中央区北浜東1-29-5F
電話 06-7655-3464
URL http://www.wasab.jp/

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