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遊び心あふれる連想ゲームで商品開発【時代屋グループ】

掛谷大介氏 掛谷 大介(かけや だいすけ)
1974年東京都生まれ。早稲田大学第1文学部で東洋史を専攻。94年、大学在学中に、父親とともに総合リサイクル書店「ブックマート」の1号店を出店。直営店の店舗管理、商品管理、システム開発などを担当。97年、大学を中退して事業に専念。経営管理、店舗開発、FC事業を担い、全国100店舗超の書店グループに育てる。06年2月、時代屋グループの代表取締役に就任し、本の街である神田(東京都千代田区)に「時代屋」の1号店を開店させる。江戸文化歴史検定2級を取得している。
午前6時30分 自転車通勤
デスクワークは集中して午前中に片づける。午後はなるべく時間に余裕をもたせ、来客に備えるデスクワークは集中して午前中に片づける。午後はなるべく時間に余裕をもたせ、来客に備える
掛谷大介社長は起床するとリンゴをかじり、愛用の英ローバーの自転車にまたがる。川崎市の住まいから東京都千代田区の会社まで90分間、ゆったりしたペースでのサイクリングだ。
掛谷社長が率いる時代屋は、「歴史時代書房」と銘打った専門書店。歴史ものというと堅いイメージがあるが、コミック、ゲーム、DVD、雑貨なども扱い、遊び心いっぱいの店づくりをしている。
和服で接客する従業員は「手代」、「奉公人」、女性の店長は「女将」。従業員からの提案も「直訴」と呼ぶなど、時代がかった表現で知的好奇心を刺激し、斬新なアイデアを引き出す工夫をしている。
掛谷社長自身の発想の源は、遊び。通勤に使う自転車もその一つで、ほかにサッカー、フットサル(ミニサッカー)、乗馬、旅行、将棋、マージャン、競馬、カジノ、歌舞伎、バレエと多彩な趣味をもつ。遊びから得られる発想と大好きな歴史を結び付け、新たな企画を生み出すことを率先して楽しんでいる。
8時に会社に到着すると、午前中は電子メールのチェックと返信、報告書の確認、決済を要する書類の確認など、デスクワーク(事務仕事)を集中して片づける。
午後0時30分 ランチと雑談
「新撰組USBメモリ」(5500円・税込み)は、07年10月に限定200個を発売したところ、あっという間に完売。追加生産を検討中だ「新撰組USBメモリ」(5500円・税込み)は、07年10月に限定200個を発売したところ、あっという間に完売。追加生産を検討中だ
昼食はいつも社員3〜4人、多い時は7〜8人と一緒に、近くのレストランへ行く。
 「社員の自由な発想が出てくるよう、あえてくだけた話を心がけています。オリジナル商品の『新撰組USBメモリ』が生まれたのも、そんな雑談からでした」(掛谷社長)。この日本刀の形をしたパソコン用外部記憶端子は大ヒットした。
「書店の必需品であるハタキが、弓なりに反って鍔(つば)が付いた日本刀の形なら時代屋にふさわしいのでは」と社員が切り出したことをきっかけに、創意工夫により形を変えて誕生した。当初、ハタキのメーカーに商品化をもちかけたところ最小生産単位は1,000本と言われ、ハタキがそんなに大量需要があるとは思えずリスクが大きい。そこで知恵を絞った。まさに遊び心あふれる連想ゲームだ。日本刀の刀身と鞘(さや)のように2つに分かれる文具ならば、ボールペンなどたくさんある。
時代屋が取り扱うにふさわしい商品は何かを突き詰めて考えたところ、USBメモリにたどり着いた。
 「そもそもが雑談だから、連想ゲームのようにアイデアが広がっていくのです」(同) 歴史好きが集まる時代屋では、歴史書や関連グッズを扱う仕事は社員にとっても趣味の延長線上にある。社員たちのアイデアを引き出すため、掛谷社長は常にコミュニケーションを大切にする。「これはいい」と思ったアイデアは即断即決。
物理学の公式と同様に、ビジネスにおけるパワーも「質量×速度」で決まり、まだ小粒な時代屋が大手書店に立ち向かうには速度が重要だと考えているからだ。商品構成や集客イベントなど、雑談が盛り上がって実現した企画はいくつもある。
午後2時 来訪者への対応
すっかり和服姿が板についている従業員と談笑。従業員が何でも話しやすいように、率先してくだけた雰囲気を作り出しているすっかり和服姿が板についている従業員と談笑。従業員が何でも話しやすいように、率先してくだけた雰囲気を作り出している
午後の時間は、社員とのコミュニケーションや集客イベントの実施のほか、来訪者への対応に充てている。作家、出版社、オリジナルグッズ製造会社、さらには旅行会社の担当者などがやって来ては、打ち合わせをする。外部から持ち込まれる企画は、すべて実現させるのが基本方針だ。
例えば、はとバス(東京都大田区)から、江戸情緒を堪能する日帰り旅行の途中に時代屋の2階にある茶屋で一服したいともちかけられ、ツアー客を受け入れたこともある。
 「せっかく時代屋を盛り立てようと考えてくださるのですから、どのような提案でも何とかして実現させたいと思っています」(掛谷社長)
社員が発案した企画に限らず、取引先や他業種の企業からの提案にもすべて前向きに応じ、「いける」と判断したらすぐに動くのが掛谷流。「3割は空振り」と掛谷社長は苦笑するが、こうした積極的な取り組みにより一般書店との差別化を図っている。
午後4時 部門ミーティング
週1回の定例ミーティングは、書籍、雑貨、茶屋、メディア(ビデオ、DVDのソフトなど)の部門ごとに行なう。この席では、営業成績の報告のほか、社員からの「直訴」(提案)も行なわれる。全社的な意思統一のために欠かせない会議だ。
 「ミーティングでの公式の意見、ふだんの雑談から生まれる斬新なアイデア。この2つが経営の両輪となっています」(掛谷社長)
年4回、全社的な親睦会も開催する。これも遊び心いっぱいで、衣装を貸してくれるカラオケ店を会場に、歌唱大賞だけでなく衣装賞や仮装賞も贈る。ボウリング大会は、コミュニケーションが密になるよう2人1チームで行う。こうした親睦会以外でも、社員たちは頻繁に連れ立って遊びに行く。
仕事は、午後8時には終えるようにしている。その後は、自転車で新橋、新宿、渋谷あたりへ出向き、学生時代の友人とマージャンやボウリングをすることも少なくない。そんな日は時計の針がいつしか零時をまわり、自転車で帰途に就くのは午前1時頃。遊びにはどこまでも貪欲だ。
就寝前は読書。肩の凝らないミステリーを読む。「三上」の故事では、文章を練るには馬上、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)がいいとされる。掛谷社長は自転車に乗って社員の士気向上策を考え、枕元にはあえて歴史と無関係の本を積み、1日の疲れを癒やしながら深い眠りに落ちていく。

「女将」や「手代」が和服姿で接客歴史をテーマに雑貨も置く新刊書店

時代屋は、歴史関連の専門書店。書籍ばかりでなく、歴史関連のオリジナルグッズもそろえて、歴史好きの顧客から熱い支持を受けている。

店内には朱に塗った木橋を模した階段がしつらえられ、2階には団子などを出す茶屋もある。いわば「歴史のミニテーマパーク」だ。商品だけでなく知識豊富な社員のサービスが目当ての常連客も多い。例えば「○○さんと新撰組の話で盛り上がりたい」と、お気に入りの社員の勤務時間帯を確認して通ってくる常連客もいるという。

07年12月期は売上高が前年度比130%増の4億円と大きく伸びた。フランチャイズチェーン(FC)展開に積極的に取り組んでおり、07年は新百合ヶ丘オーパ店(川崎市麻生区)に加え、長野県松本市と東京・台場にFC店を出店した。08年から年10店舗のペースで拡大し、5年間で50店舗の出店を目指す。

会社概要

企業名 時代屋グループ
資本金 3,000万円
従業員 35人
売上高 3億円(07年12月期)
URL http://www.jidai-ya.com/
電話 03-3294-5460
所在地 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2−3−12 小川町ビル

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