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今からでも遅くない!

"今"の流行をとらえ、急成長する繊維メーカー【宇仁繊維】

定年退職後、繊維メーカーを立ち上げた宇仁龍一氏。低迷する業界にあって年々売上高を伸ばしている秘訣は、弱者の生き残り策として選んだ"今"のニーズに応えるスピード経営にあった。

「いろいろ手掛けるより、ひとつの分野に絞り、そこでトップになることが大切」と語る宇仁龍一社長「いろいろ手掛けるより、ひとつの分野に絞り、そこでトップになることが大切」と語る宇仁龍一社長
宇仁繊維株式会社
代表取締役 宇仁龍一(うに・りゅういち)

昭和12年1月生まれ。兵庫県出身。高校卒業後、祖父が創業した桑村繊維に入社。役員定年の62歳まで44年間勤務した後退職。平成11年に宇仁繊維を設立。

旧友との交流資金確保のために起業

各事業所には、1万種類の見本が置いてあり、顧客はこの中から色や柄を選んで発注する。納期は、一般的な企業の場合の半分以下なので、今売れているものを今作って提供できる各事業所には、1万種類の見本が置いてあり、顧客はこの中から色や柄を選んで発注する。納期は、一般的な企業の場合の半分以下なので、今売れているものを今作って提供できる
――平成11年に宇仁繊維を設立される前は別の繊維メーカーに勤めていたそうですね。
昭和30年に高校を卒業した後、祖父の設立した桑村繊維に技術者として入社しました。その後、大阪事業所に異動、以来、営業畑を歩き、62歳の役員定年まで勤めました。私が入社した当時は、繊維産業の全盛期でしたが、その後、オイルショックや「プラザ合意」以降の円高の進行などから輸出は低迷し、国内市場も、海外からの低価格品に押されて厳しい状況に追い込まれていったのは周知の通りです。
――そうした厳しい繊維業界で、しかも、定年退職後に起業したのは何か勝算があってのことだったのでしょうか?
いやいや、そんなものは全然ありませんでした。桑村繊維時代、国内外を仕事で飛び回るうちに、あちこちに友達ができた。そうした友達と定年後もお酒を飲みたいと思い、その資金を稼ぐために会社を興したわけです(笑)。当初は桑村繊維の商圏の一部を譲りうけ、販売代行のようなことをやっていましたが、だんだん自社製品を作るようになり、現在に至ったというわけです。
――小遣い稼ぎで始めたとはいえ、平成11年の設立以来、着実に売上高を伸ばし、また、東京や上海など国内外に5カ所の事業所も開設しています。低迷する繊維産業にあってこの成功の秘訣は何なのでしょうか。
当社は、薄手のエレガンス素材の繊維メーカーで、大阪・東京・名古屋・京都のショールームには1万種類余りの在庫ストックを常備し、いつでも全商品の見本を見ることができます。また、染色なら注文から3日、プリントなら7日でお届けすることができます。これは一般的な納期の半分以下です。こうしたスピードがお客さんに評価され、業績にもつながっているのだと思います。

弱者の生き残り戦略が功を奏す

――こうした戦略は起業当初から考えておられたのですか。
いいえ。戦略に基づいて事業を展開してきたというより、むしろ、生き残りのために選んだ対策が結果として成功についながったという感じです。小遣い稼ぎで始めたとはいえ、始めた以上は生き残らないといけない。資本力もない後発の小さい会社が生きていくためには、あれこれやっても勝ち目がない。ならば、一点集中しようということになり、薄手のエレガンスでいこうと決めたのです。
短納期を実現したのも弱者ならではの発想です。桑村繊維時代、お客さんは注文を出しながら柄はなかなか決めず、そのために納期に間に合わなかったのに、「納期遅れ」だとクレームをつけてきました。この経験から、「お客さんの言うことを聞いていたら商売できない。お客さんに振り回されずに販売できる環境を作ろう」と思い、たくさんの見本から選んだ色・柄を素早く提供できる体制を作ったのです。
――そうした体制を作るには製造現場の協力が欠かせませんが、製造はどうしているのですか。
桑村繊維時代、北陸の産地にも知り合いができました。あそこもメーカーの海外移転が進んだ結果、仕事を無くした工場が多い。そこで、そうした工場に当社の製品を製造してもらうことにしたのです。その際、依頼先を絞り、集中して注文を出すことにしました。こうすることで、当社の仕事を優先的にしてくれるため、短納期も実現できるようになったのです。

見えない先より、今の流れに乗る

――御社は女性スタッフの割合が高く、彼女たちが会社の急成長を支えたと聞いています。
これも桑村繊維時代の経験からなのですが、低迷する繊維産業には男子も短大卒の女子もなかなか来てくれなかった。そこで他社があまり取りたがらない大卒の女性を採用したところ、この人たちが素晴らしい働きをしてくれたのです。こうした経験から、当社では専門学校か大学を卒業した女性を中心に採用しています。
特に当社のような小さな会社ではデザイナーを雇う余裕もありませんから、洋服が好きな女子を雇って自分が着たい洋服の生地をデザインさせています。すると、採用した社員は、好きな洋服のことだから一生懸命取り組み、結果、2年も経つと立派な戦力になるのです。
――長期的な視点で戦略を立てて実行するというより、とにかく目の前の課題の解決に力を注いだことが成功につながったという感じですね。
我々が携わっているファッションというのは、日本語で言うと流行、つまり、流れゆくものです。したがって、遠い先を予測してもそれが当たるとは限らない。であれば、今の流れに乗ったほうがいい。3日で染色し3日で縫製すれば1週間で店頭に並べられる。そうすれば売れ残りのリスクも小さくなる。我々は、見えない先の計画を立てるより、今の流れに乗れる方法を考える道を選んだのです。
――その発想からすると、あまり意味がないこととかもしれませんが(笑)、今後の事業展望を教えてください。
薄手のファッションが人気ということも追い風になり、薄手のエレガンス素材はまだまだ伸びる可能性があるので、とりあえずは、この分野でできる限りのことをやるつもりです。先の計画はありません。さまざまな変化にどう対応するかは、その時々に考えていきますよ。


宇仁繊維株式会社のホームページ

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