水やりの軽減システムで農業の活性化を目指す【生物環境科学研究所】
会社員時代に考案した作物の自動水やりシステムで退職後に起業した松浦一穂氏。ガーデニング用の小型製品から始まった事業は、いまや本格的な施設園芸向け製品の開発・販売にまで発展している。
松浦代表は創業塾のビジネスプランコンペで事業プランが最優秀賞を受賞したことから、創業塾仲間らと事業を立ち上げたという |
有限会社生物環境科学研究所 代表 松浦一穂(まつうら・かずほ) 京都府生まれ。製薬メーカーの研究所で農薬開発に携わり、定年退職後の2000年4月、作物への灌水と施肥を自動化したシステムを開発・販売する事業で起業。 |
ビジネスプランコンペで優勝し、起業を決意
- ――御社の社名は「生物環境科学研究所」ですが、具体的にどういった事業をされているのでしょうか?
- 作物を育てる際に必要な水やりと肥料やりを自動化した「灌水施肥制御装置」の開発・販売を行なっています。タイマーを使い定期的に灌水する装置はこれまでもありましたが、当社の装置は、土壌の水分量を感知したうえで、適量の水を自動的に灌水するという点が特徴です。
- ――松浦代表は、定年退職後にこの研究所を立ち上げられたと伺っていますが、起業のキッカケを教えてください。
- 起業をする前は、製薬メーカーで農薬の開発に携わっており、実験に使う農作物も育てていました。実験には均質な農作物が必要で、当時から均質な作物を効率的に育てるための機械化を進めており、その中で「灌水施肥制御装置」の仕組みを考えつきました。退職後は、これを事業化したいと思い、大津市商工会議所が主催した創業塾に参加、そこのビジネスコンペで最優秀賞をもらったことから、起業を決めた次第です。
ガーデニングから施設園芸まで、水やり作業を軽減
スタンド型製品の「ヴィバルディ」。土台部分の液槽からポンプでくみ上げられた養液は、台上の栽培槽の植物に供給され、余った分は配水管を通って液槽に回収される仕組み- ――「灌水施肥制御装置」にはどのようなものがあるのですか。
- 土壌水分を水分センサーで感知し太陽発電でシステムを駆動させる"水やり当番"や"ガーデンシャワー"のほか、手軽に植物栽培ができる"小庭ちゃん"、オフィスや玄関向き四季の花飾りスタンド"ヴィバルディ"、室内でワサビ栽培が楽しめる"Myワサビ"などを製品化しました。これらは家庭菜園向けの小型の製品で、旅行などで留守になる家庭向けにネット通販で販売しています。一方、農業試験場やJAと共同で、トマト、菊、メロン、キュウリなどの施設園芸に使う大型のシステム「ときめき」も開発しました。こちらは、300〜600坪のビニールハウスで利用できる本格的なものです。
- ――これまでの販売実績を教えてください。
- 「ときめき」はこれまでに20台納品しました。小売価格は23万円なので、まだ大きな売り上げにはなっていませんが、これを使うことにより、水やりの作業時間が従来の20分の1に削減できるだけでなく、農作物の良品率も10%アップしたという実証実験の結果も出ており、生産性向上という面で農業に貢献できる有望な商品と考えています。
農業用中心に展開。他社との提携も視野に
「ときめき」はビニールハウスでのトマト、キュウリ、メロン、菊の栽培に利用される。灌水と施肥を機械化することで、労力が削減するだけでなく良品率も向上するという- ――事業展開上の課題は何ですか。
- 営業力が弱いという点ですね。現在、滋賀県や愛知県の農業試験場と共同で実証実験を行っていますが、他府県に入るためにはそれぞれの地域の農業試験場での試験などが必要になるため、展開エリアを拡大するには時間がかかります。
- ――今後の事業展望を教えてください。
- 農作業の軽減という点で効果があることがわかったことから、今後は、とくに施設園芸用の製品の販売にウェイトを置いて取り組んでいく方針です。ただし、当社のスタッフは4名だけなので、大がかりな営業活動は難しいため、今後は、技術供与という形で他社との提携も検討していきたいと考えています。
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