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座標軸のスタンダードを目指す"町の発明家"【NCプロジェクト】

交通標識のわかりにくさから、誰でもどこでも使える座標軸「Nコード」を確立した西岡徹氏。世界規模で使われる位置情報として普及することを目指し、59歳で起業を果たした。

堺市役所勤務の傍ら、町の発明家として、携帯用便座シートからNコードまで、さまざまなものを発明してきた西岡徹氏。Nコードは国内だけでなく、米国など海外でも特許申請中だ堺市役所勤務の傍ら、町の発明家として、携帯用便座シートからNコードまで、さまざまなものを発明してきた西岡徹氏。Nコードは国内だけでなく、米国など海外でも特許申請中だ
有限会社NCプロジェクト
代表取締役社長 西岡 徹(にしおか・とおる)

1944年生まれ。大学卒業後、民間企業勤務を経て、堺市役所に勤務。59歳で退職し、NCプロジェクトを設立。

世界地図からローカル地図まで使える座標軸

――西岡様が普及に力を入れているNコードとはどんなものなのでしょうか。
位置情報の基本である緯度経度を一般の人にも分かり易く、かつ専門的用途にも使える形に変換したものが、Nコードです。
 まず、東経170度を起点として地球を経線に沿って、60度ごとに6つのゾーンに等分し、1〜6の番号を付けます。さらに、60度の各ゾーンを経線に沿って36分間隔で帯状に100等分します。
次に、赤道を起点にして経度36分の幅と同じになるように南北半球にそれぞれ150本の緯線に沿った線を引きます。すると 150本目の線は極圏との境界線付近になります。このようにして南北半球に合計300本の緯線に沿った線を引き、100本ごとにA、B、Cの3つの部分に分けると、両極圏を除く世界が18のブロックに分割されます。そしてA〜Cに同じルールを適用し、北極圏をXブロック、南極圏をYブロックとします。
 ※詳しくはNコードの構造を参照
――Nコードを使うメリットは何ですか?
経度・緯度は誰もが知っていますが、度、分、秒と3つも単位があるうえ、60進法で桁数が多く、しかも、小数点表示ですから距離感覚も分かりにくく、一般の人には使いにくいのが現状です。
また、紙地図では、 A、B、C...、1、2、3...といったローカル座標が採用されていますが、これらは地図ごとに索引が必要で、しかも、その地図でしか使えないため汎用性がありません。これに対し、Nコードは10進法で表示するため、わかりやすく誰にでも使えます。さらに、数字で位置を示すため山林や海といった住所がない場所でも使え、しかも、桁数を変えることで世界地図からローカルな地図まで表示できます。加えて、表示された数字を比べることで位置関係やおおよその距離も把握できます。

交通標識の使い勝手の悪さから生まれたNコード

各ユニットの大きさは約50km四方なので、ユニット番号の数字の違いから各地点間の方向や概算距離を容易に知ることができる各ユニットの大きさは約50km四方なので、ユニット番号の数字の違いから各地点間の方向や概算距離を容易に知ることができる
――Nコードを発明された経緯を教えてください。
もともと私は"町の発明家"で、いろんなアイディアを具体化することを趣味にしていました。Nコードを発明したのは、交通標識が使いにくいと思ったのがキッカケでした。交通標識には現在地が表示されていないため、目的地との位置関係がわかりにくく、標識があっても役に立たないことが少なくありません。そこで、現在地を示すためのわかりやすい座標軸を考えた結果、Nコードが生まれました。
――そのNコードを普及するために堺市役所を59歳で退職され、NCプロジェクトを起業されたそうですね。
Nコードを道路地図業界に提案したところ、私の論文が機関誌に掲載されました。また、最終的にボツになってしまいましたが、三和総研(当時)では研究員の自主研究テーマとしてNコードを採り上げる話も進んでいました。これだけ評価が高いのであれば、実用的な座標軸として本格的に普及させたいと思い、自分で会社を興すことにしたのです。

無償提供で普及し、関連サービスの収益化を目指す

――これまでの導入実績は?
最初に導入されたのは核燃料リサイクル開発機構で、原子力発電所の立地場所を示す手段として採用されました。その後、堺市の水道局で全家屋の水道メーターの位置データ管理にも採用されたほか、兵庫県の防災地図にも採用されています。
――多方面で導入が進んでいるようですが、これに伴って業績も伸びているのでしょうか。
 それが実は全然で(笑)。核燃料サイクル開発機構で採用されていたときは、副業ができない公務員だったこともあり、無償でNコードの仕組みを提供したのですが、その後も結局無償提供を続けているので、事務所の家賃などの経費はすべて持ち出しなのです(苦笑)。
――それは、厳しいですね。
ええ。ただし、無償提供は将来を見込んで必要だと判断したからなのです。どんなことでもそうですが、広く使われるようになって初めて、いろんな有償の関連サービスへの需要も生まれるのです。そのために、まずはNコードを無償で使ってもらい、利便性を実感する人が増えることで位置情報のデファクトスタンダードとなることを目指す必要があるのです。
――今後、どのような形でNコードを事業化されていく予定ですか。
現在取り組んでいるのが、現在地のNコードを示す携帯端末の開発です。Nコードが表示された地図とこの携帯端末とを携行すれば、旅行先で道に迷ったり、山で遭難したりすることも減らせるのです。Nコードが座標軸として定着したら、こうしたNコード関連のサービスに対する需要も拡大すると思います。将来は、こうした関連サービスの販売で収益を得ていきたいと考えています。


(有)NCプロジェクトのホームページ

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