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今からでも遅くない!

細やかなサービスで顧客の心をとらえる貸衣裳店【舞夢】

自分らしい仕事をしたいと考え、起業したシニアにエールを送るコーナーです。 お客さんに喜んでもらえる店をつくりたい。そんな思いから、50歳を過ぎて貸衣裳店を開業した中井和美さん。メイクや写真撮影の技術も身につけ、低料金で最高のサービスを目指す。

「定年退職を前に三重県名張市で田舎暮らしを創めた夫には、“定年になったらそちらで一緒に暮らすので、それまでは好きな仕事をさせて”と言い、了解をもらった」という中井さん。「定年退職を前に三重県名張市で田舎暮らしを創めた夫には、“定年になったらそちらで一緒に暮らすので、それまでは好きな仕事をさせて”と言い、了解をもらった」という中井さん。
貸衣裳 舞夢
代表 中井和美(なかい・かずみ)

奈良県出身。生命保険会社に8年勤務した後、請われて呉服会社の貸衣裳部の店長に。1年で退職し、2年後に自宅で貸衣裳業を開業。4年後、夫が田舎暮らしを始めたのを機に、現在の店舗へ移転。

“貸衣裳業は天職”と、起業を決意

――2002年4月に貸衣裳店「舞夢」を開業されましたが、起業のキッカケを教えてください。
奈良県田原本町のメインストリート沿いにある「舞夢」の店舗。奈良県田原本町のメインストリート沿いにある「舞夢」の店舗。
保険会社に勤めていたとき、知り合いの呉服店から「貸衣裳部門の店長をやってくれないか」という話があり、引き受けることになりました。お客様に喜んでいただける品揃えや価格でサービスを提供しようと思っていたのですが、経営者との方針の違いを感じ、1年で退職し、自分で店を開きたいと考えたのです。
――店長としての経験があったとはいえ、50歳を過ぎての起業に不安はなかったのでしょうか?
店長時代にはひとりで店を切り盛りしており、1年間店の運営も体験し、自分なりに勉強させてもらっていましたから、特に店を始めることへの不安はありませんでした。また、家族も協力的だったので、思い切ってやってみることにしたのです。
――開業の費用はどれくらいでしたか?また、それをどのように工面されたのですか?
衣裳を揃えるのにだいたい250万円くらいかかったと思います。当初、自宅を店舗にしていたのですが、借家で家賃も払わなければならなかったため、早朝にスーパーの品出しをしたり、夜、飲食店の皿洗いをしたりなど、いろんなアルバイトをしながらやり繰りしました。その後、現在の店舗に移転した際、店舗の内装や電気・水道などの設備に400万円ほどかかりましたが、こちらは、地元の銀行や国民金融公庫、信用保証協会などの融資で賄いました。
――なぜ、アルバイトまでして店をやりたいと考えたのですか?
もともと、私は着物が好きで自分で着付けもできましたし、若いころは美容師になりたかったので、髪をセットすることも得意でした。ですから、貸衣裳業というのは好きな着物が扱えて自分の得意分野も活かせる“天職”のように思えたのです。
これまでもいろんな仕事をしてきましたが、どれも生活のためで、とくに自分の好きな仕事というわけではありませんでした。ようやく好きな仕事が見つかったのだから、何とかやれるようにしたいと思ったのです。貸衣裳の売り上げもありましたが、それはすべて衣裳の購入費用に充てたかったので、それ以外はアルバイトで賄おうと思ったのです。たしかに時間の余裕はなかったかもしれませんが、好きな仕事ができることがうれしくて、大変だということはあまり感じませんでしたね。

小回りの利くサービスでリピーターを増やす

――貸衣裳はどんなイベントでの利用が多いですか?
アルバイトなどをしながら徐々に揃えたという貸衣裳は和装・洋装合わせて約400着。お宮参りから結婚式まで、さまざまな冠婚葬祭の需要に対応している。アルバイトなどをしながら徐々に揃えたという貸衣裳は和装・洋装合わせて約400着。お宮参りから結婚式まで、さまざまな冠婚葬祭の需要に対応している。
一番多いのが成人式で、次が卒業式、その次が七五三ですね。お宮参りに利用してくれた人が七五三でもまた来てくれるといった具合に、人生の節目のイベント毎に利用してくれるお客様も増えています。
――貸衣裳業としては後発といえますが、他店との違いをアピールするために、どんなことに力を入れていますか?
「着物はあるので、小物だけ借りたい」といった要望にも応えるなど、個人経営ならではの小回りの利く店づくりを心がけています。メイクや髪のセットなども私が行なうので費用もかからないため、料金も抑えられます。
最近は、一眼レフのカメラを買って撮影方法を勉強し、ここで写真も撮れるようにしました。さすがにプロカメラマンのような技術はありませんが、「手ごろな料金で衣裳が借りられ、着付け・メークもしてもらえ、さらに写真まで撮ってもらえる」と、お客さんにも喜んでもらっています。
――開業から7年ほどですが、業況はいかがですか?
手作りのチラシをポスティングするなど、小さな広告宣伝しかしてきませんでしたが、クチコミのお客さんやリピーターなど、お客さんは毎年少しずつ増えてきました。また、売り上げも年々増え、内装費用の返済などを含めても、なんとか黒字化は達成できています。ただ、金融危機の影響もあり、今年はかなり厳しい状況になる見込みです。

神社や地域の他店と協力し、挙式サービスも提供

――起業してよかったと思えるときは、どんなときですか?
月並みですけれど、お客様が喜んでくれたときが一番うれしいですね。また、お客さんとのコミュニケーションも楽しい。成人式の衣裳を借りにくる男の子に、「おかん」とか「おばちゃん」とか呼ばれることもあるんですよ(笑)。これからも、貸衣裳店の店長といった堅苦しいイメージではなく、貸衣裳屋のおばちゃんという気取らない感じでやっていけたらと思っています。
――今後の店作りについて教えてください。
最近は、七五三は写真屋さんで写真を撮るだけ、結婚も、式は挙げずに入籍するだけといった人たちが多くなっていますが、やはりそれだけだと寂しいですよね。七五三というのは、本来、健やかな成長を願って神社にお参りすることですし、結婚も、神様の前で報告するとか、人前結婚式をするとか、式を挙げた方が思い出になります。ですので、近くにある鏡作神社やお花屋さん、仕出し屋さんなどと提携して、低価格の結婚式や七五三のプランを始めました。費用をかけなくても思い出になる七五三や結婚式ができることをアピールしていきたいですね。
それから、もっとたくさんの人に着物を着る機会を持ってもらいたいので、着付け教室も考えています。ただ、年齢のこともありますので(笑)、あれこれと手を広げるのではなく、お客さんに満足してもらえるサービスを無理のない範囲でやっていければと思っています。


貸衣裳 舞夢のホームページ

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