磯釣り好きが高じて紀伊半島最南端で民宿経営【スペース浪漫串本】
起業して自分らしい仕事をしたいと考えるシニアにエールを送るコーナーです。串本をこよなく愛する田代さんが提案するのは、自然を満喫するゆったりした趣味三昧ライフです。
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株式会社タシロ代表取締役 ぬくもりの民宿『スペース浪漫串本』オーナー 田代眞造(たしろ・しんぞう) 昭和24年生まれ。高校卒業後、塗装の世界に入り20代で独立、昭和62年に法人化。平成2年、和歌山県串本町に社員の福利厚生施設として家を購入。昨春、改修し、磯版田舎暮らしの拠点として“民宿スタイルのレンタル基地”事業をスタートさせた。広い天空(露天)風呂とひと続きの宴会場がウリ。アウトドアを中心に、陶芸などひと味違う田舎ライフが堪能できる。 |
民宿スタイルの遊びのためのレンタル基地
- ――早速ですが、『スペース浪漫串本』はどんな民宿ですか。
- 串本町という地の利を最大限活かした、民宿スタイルを取る遊びのためのレンタル基地という位置づけです。目の前が海なので、釣りをはじめ、ダイビング、ツーリング、サーフィン、カヌーなどが楽しめます。のんびりしたい人は、民宿には珍しい陶芸設備一式を備えているので、時間を気にせず心ゆくまで陶芸家気分を味わっていただけます。
- ――磯釣り好きが高じて民宿経営を始められたと伺いましたが。
- すべて串本に家があるのが出発点です。毎週のべつまくなしに釣りに行くようになったのは5〜6年前からですが、金曜に串本へ向かい月曜早朝に大阪へ帰ってくる強行軍で、趣味だから平気ですが、そんな時串本でたまたま新築の建て売り住宅を見つけて釣宿にしようと購入しました。「眠くて事故を起こしたら危ないやろ?」とか言って嫁を説得して(笑)。福利厚生施設ということで会社のお金で買い、自分の釣り宿にしていました。
- ――でも塗装の仕事と民宿経営の兼業は大変なのではないですか。
- 近頃は息子が営業や職人の段取りをしてくれるので、段々私の居場所がなくなってきました。それで次の仕事として家の有効活用を考え、スキューバダイビングのメッカ中のメッカであることから、最初は先生を雇ってスキューバダイビングの塾を開こうと思ったんです。ところが実際に潜ってみると、目も喉も鼻も痛くて息が苦しい。
- ――自分の得意でないジャンルで塾を開くのは難しそうですね。
- 結局、「万一何かあったらすぐ死亡事故に繋がるのは、私がするには危険すぎる」と断念。ところがすでに銀行からの借入金が500万円あったので、「これは何かせなあかん」ということになって、民宿にしたらと。すでに場所はあるのでちょっと手を入れたら済むだろうと思ったんです。「改修したら家もきれいになってちょうどエエやん」ぐらいの軽い気持ちでした。
- ――民宿準備などはスムーズに進んだのですか。
- 実際は消防法に合致するようクロスや畳を張替え、台所の流し台も三連にするなどものすごくお金がかかりました。お客さんが大きな道具を持参しても収納できるよう、釣道具小屋やろくろを回す小屋も作ってあります。それでも値段は非常に良心的で、素泊まり1人1泊わずか3000円です。それで、私はお客さんのいない平日は大阪で仕事をして、週末はお客さんがいてもいなくても串本へ行くという生活を続けています。
- ――磯の料理が楽しみで来られるお客さんもあるんでしょうね。
- もちろん、近くの料理屋と提携しているので食事付の宿泊もOKですし、豪勢な海の幸を使った宴会もできます。夏は子どもさんのプールになるような大きな露天風呂と、そこでの宴会も楽しめます。いわば自然のロマンを存分に味わいたい人のための民宿といったところで、ここを基地に好きなことを自由にしてもらえればと願っています。

民宿の外観。画家の知人が壁に鯨を描いてくれた。櫓の内側には天空風呂と宴会場がある。

天空風呂の一角。夏は子どもプールになるほど広い。

獲れたての伊勢エビや魚を堪能できる豪華な宴会メニュー例
団塊世代に特化した民宿になれば
- ――民宿経営を始めて大変だったことはありますか。
- 掃除や洗濯をするのは苦になりませんが、掃除機だけでは細かいゴミが取れないのでコロコロを転がすと髪の毛がいっぱいついてくる。自分の毛は許せるけど他人の毛はちょっと。シートをはがしながら「何でオレがこんなことをせなあかんねん!?」と思ったこともありますが、どのみち私が週末の釣宿にしているので、その時お客さんも来てくれたらいいなと。でも設備投資しているから、こんなことではあかんのですけどね。
- ――現在、事業としてはどんな状況ですか。
- まだ宣伝が十分できてないのでお客さんは多くありません。熊野古道へ行くついでに寄りたいという問い合わせもありましたが、日程が合わず実現しませんでした。やはり釣り仲間の利用が多いかな。人数は夏場に子どもさんを含めて18人泊まったのが最高です。布団が10組しかないので皆雑魚寝で、もらったのは3万円だけ。そんなだから経営はきつい。正直言って、今は本業があるからこんな民宿経営ができているので、これをどう軌道に乗せるかが今後の大きな課題です。
- ――同年代の人たちに向けて発したいメッセージがあるそうですね。
- 釣り人やアウトドア派が来てくれるのはもちろん嬉しいですが、本当は民宿をすることで私とはまったく違う仕事世界や趣味をもっている人が立ち寄り、いろんな話を聞かせてくれるのをすごく楽しみにしてるんです。逆に仕事しか知らずに来た人には、アウトドアの楽しみ方で私にわかることは何でも教えてあげたい。仕事を終えた同年代の仲間に、今までできなかった遊びの場を提供する“団塊世代に特化した民宿”になれば嬉しいですね。

近くのユズ農家で天然の味が楽しめる。
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