出合った町屋を改装してパブ開業【パブッデッシャロ】
自分らしい仕事をしたいと考え、起業したシニアにエールを送るコーナーです。出張ロケもある商業写真の仕事が年齢的にしんどく感じるようになった宮前さんは、新規事業の一環として、大阪の町家を改装してパブをオープンしました。
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(株)スタジオデッシャロライト代表取締役 プロ写真家・パブッデッシャロ店主 宮前 律男(みやまえ・りつお) 昭和26年生まれ。20代半ばでカメラマンとして独立し、30年以上コマーシャルフォトを撮り続ける。平成2年会社設立。新規事業を模索する中で出合った町家を改装し、平成14年8月「パブッデッシャロ」オープン。来年には同時に借りた近くの町家で教室事業もスタート予定。 |
デジタル時代への切り替わりを機に新規事業を模索し始める
- ――今風に生まれ変わった町家が何ともオシャレな雰囲気を醸しだしていますね。
- 一番工夫したのは「気分のいいところで安く飲める幸せ」を日本で実現すること。コストと経費を大手の3分の1に抑えれば利益も3分の1でやっていけるだろうと考えたんです。
「からほり(空堀)」など地元の名を冠したドリンク約90種、食べ物約40種を用意していますが、素人が始めた店なので、“皆が集えるアミューズメント的なコミュニティのあるパブ”を目指し、ライブや合コンナイトなどのイベントを定期的に開いています。 - ――何と言っても『パブデッシャロ』という店名がユニークですね。
- フランス語と間違える人もいますが、じつは話を盛り上げるのに欠かせない相槌言葉である「そうでしょう?」を意味する大阪弁の「そうでっしゃろ?」のもじり(笑)。奥が深いうえ、一度聞いたら忘れない社名・店名にしたくて会社設立時にいろいろ考えましたが、なかなかこれというものを思いつかない。それで一番語呂のよい「デッシャロ」に決めました。
- ――店は全部ひとりでリフォームされたと伺いましたが。
- 業者を入れなかったのはおカネの問題もありますが、設計図を一切引かず自分の頭の中にある青写真で作ったから。人に頼むと説明が必要だし、絶対こちらの思い通りになりません。それなら時間はかかっても自分でする方がいいだろうと思いまして。前の仕事で時にセットを組み立てることもあって大工仕事に抵抗感はありませんでした。ただ、自分の中で青写真が描けない所、例えば玄関などは手間取りましたね。実は今も未完成なんです。
- ――カメラマンをされていたのに、急にパブを始められたのはどうしてですか。
- 今も撮影の仕事は続けています。パブは、写真からオリジナルアートを制作する「デッシャロライト」事業とともに会社のもう1つの事業部門という位置付けです。
僕は20代で独立してからずっと商業写真の仕事をやってきましたが、大きなスタジオをもっていたので人も雇わないといけないし、出張ロケもある。年齢がいくにつれてちょっとハードになり、またちょうど時代がデジタルに切り替わって新たに莫大な設備投資が必要になったのを機にスタジオを手放しました。「次は現金商売をしよう」と新規事業を模索するなか、当初スーパー開業を視野に入れて中国へ視察に行ったこともあります。 - ――異業種のパブを開かれるとは思い切った決断ですね。
- 「デッシャロライト」もそうですが、店を始めたのもスポンサーから与えられる仕事にちょっと飽きていたのかも。「自分がメーカーになってやりたい」という思いがありました。物件を探し始めて3カ月目に偶然この町家を見つけ、見た途端「ここにしよっ!」とビビッときた(笑)。改装は終わっていましたが、自分のイメージに合う店を作るためにまた一から手を入れました。目指したのは和洋折衷の大正ロマン。材料費だけでも200万円近くかかり、店を開くまで売り上げはないわけですからきつかったですね。
「店を盛り上げるには常に何か発信する必要がある」と語る宮前さん。ここで出会って結婚したカップルも多いとか
特注のアフリカの木を使った大テーブル。近所の人にも手伝ってもらい7人ぐらいで店内に運び込んだもう1つの町家で教室事業の準備中
- ――お店の宣伝などはどうされたのですか。
- 改装に10カ月もかかったのが一種の宣伝になり、周りの人たちが「ここは何を作ってはるんやろ?」と気にかけてくれたのと、この地域全体が大阪・空堀という町家ショップが集積する観光スポットになっていたことも大きいですね。あと、近所の人や仕事関係者、友だちを日を決めて招き、3日間オープニングパーティをしたのが唯一の宣伝です。それでもパーティには大勢のお客さんが来てくれました。
- ――現在どんな状況ですか。
- 企画段階では客単価3,000円、今頃は1日10万円の売り上げがある予定でしたが、現実はなかなか思ったようにはいきません。実際の客単価は1,300円ほど、1カ月の客数は400〜500人というところです。店としてそれなりに認知はされているけど半分喫茶店みたいな面もあり、あちこちに競合店ができて常連客が少なくなってきたのもあるかな。店構えの都合で、売り上げに大きく寄与する大きな予約を取れないのが一番辛いですね。
- ――最後に将来の目標を教えてください。
- 実は現在、近くにある別の町家を改装中で、そこはこの店と一緒に借りたので、もう3年越しで改装していることになります。一人でやっているのでなかなか進まないんですが、来年にはそこを教室事業としてオープンさせるつもりです。何か教えたい人たちに場所を提供し、受講者の皆さんとともに創る喜びや楽しさ、豊かさ、人との絆などを感じてもらえるスローライフ発信の拠点にできたらと願っています。
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