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大病をきっかけにイタリア食材専門店開業【チプレッソ】

自分らしい仕事をしたいと考え、起業したシニアにエールを送るコーナーです。 サラリーマン人生をまっとうするつもりだった南野さんに、定年を待たずして転機が訪れました。

南野利夫代表 南野利夫(みなみの・としお)
昭和23年生まれ。2002年、大病を患い、翌年末会社を早期希望退職。04年、イタリア旅行で<血管の掃除屋さん>と言われるオリーブオイルと出合い、05年3月、大阪にオリーブオイルとバルサミコ酢の専門店『チプレッソ』をオープン。おいしくて身体に良いほかのイタリア食材も開拓中。

身体に良くて美味しい商品を取り揃える

――坪の店内にはオリーブオイルとバルサミコ酢※がぎっしり並んでいますが、どのくらいありますか。
メインのオリーブオイルは20種類、バルサミコ酢は10種類ぐらいを常時取り揃えています。スーパーなどで売っている物と比べると少し値は張りますが、産地やメーカー名はもちろん、オリーブの品種、どういう絞り方をしたか、酸度、農薬の有無、手摘みか機械落としか、受賞歴の有無、オリーブの含有量などをすべて説明できる商品ばかりです。
※バルサミコ酢… 成熟したブドウの果実を搾り、煮詰めて発酵させたシロップ(調味料)。樽を何度も変えながら熟成させる手法によって濃厚で深みのある香りが出る。熟成期間の長いバルサミコ酢はポリフェノールを多く含み、疲労回復や生活習慣病予防、老化防止に効果がある。イタリアではオリーブオイルとともにサラダにかけるほか、アイスクリームやイチゴにかけたり、魚料理や肉料理の隠し味として用いられる。
――売り方にも特徴があると伺いましたが。
高額商品以外は、オリーブオイルもバルサミコ酢もテイスティング(味見)をしてから買っていただけます。ですから、お気に入りの味を見つけて日々の料理にたっぷり使っていただきたいですね。“身体に良い店”をテーマに、エクストラバージンオリーブオイルやシチリアの天然海水塩の量り売りもしています。イチヂクシロップやアルガンオイル※なども販売しており、身体によくて美味しい商品、イタリア食材にも手を拡げたいと思っています。
※アルガンオイル…モロッコ固有の高級植物オイル

大手術がなければ定年までサラリーマン人生をまっとう

――『チプレッソ』を開店されたきっかけを教えてください。
アパレルメーカーに勤務していた2002年春、会社の定期健診で肺がんが見つかり、その後の精密検査で食道がんも判明。夏に両方とも切る大手術を受け、1年ぐらい重役出勤させてもらいましたが、翌年から早期退職の募集が始まりまして、会社に残るか辞めて何か店でもしようかと悩んでいたら、嫁さんが「昔から『何かしたい』って言ってたやろ。この際、やりたいことをやったら?」と助言してくれました。
――もともと起業家志望だった?
いえ、発病しなければ定年までサラリーマン人生をまっとうしたと思います(笑)。ただ、商売をしていた親の影響もあって、昔から人ごとみたいに「一生サラリーマンで終わるのは嫌だ。何か商売したいなあ」とは言ってたんです。それで助言もあって会社を辞め、翌春イタリア旅行に行ったところ、今のメイン商材であるオリーブオイルとの出合いがありました。
――偶然の出合いが運命を変えたということですか。
現地の人が「イタリアは日本ほど医療に恵まれないので、皆病気にならないようオリーブオイルを飲んだり大量に使います」と言う。病気の僕には「え、嘘でしょ?」という感じで非常に強く印象に残りました。  病気に良いという漢方薬はべらぼうに高いため、「価格が安くて、身体のためになるような物はないか」と代わりの物を探していたこともあり、オリーブオイルのことが頭を離れませんでした。
――お知り合いのイタリアンレストランのオーナーにも商売の可否を尋ねられたそうですね。
彼は「中途半端はなく、成功か失敗かがはっきり分かれる。でも非常におもしろい商売やな」と言ってくれました。その後、ハローワークで紹介されて創業セミナーを受講し、当初「雑貨店でもしようか」と思っていたのですが、具体的に事業計画を組み立てるなかでオリーブオイルのことを思い出して、「身体に良い商品を提供したい」と専門店をすることを計画しました。
――開店準備などはスムーズにいったのでしょうか。
店舗は、たまたま以前の取引先があった駅で下車してブラブラしていたら、駅前に「募集」の張り紙のある店舗を見つけ、スンナリ決まったのです。オイルは最初に勉強も兼ねて国内の見本市で600本100万円で仕入れました。好評で完売しましたが、後で本体価格は30万円で残りは手数料だったとわかり、食品に詳しい通訳でないとダメだと痛感しました。
――現在どんな状況ですか。
開店当初だけチラシ2,000枚を新聞に折り込みましたが、後はクチコミだけです。お客さん10人が来てくれたら、半分はリピーター、半分は新規客というところです。実際は1日の来店客は7人ぐらいかな。一人2,000〜3,000円ほど買ってくれますが、贈答用にオイルとバルサミコを一緒に買ってくれる人も多くいます。それだと一人5,000円ぐらいも買ってくれますね。
――独自ブランドの開拓にも取り組み中と伺いましたが。
本当は直接イタリアへ買い付けに行きたいのですが、それは体力的に難しいので、今後提携できそうな組織と一緒にオイルの発掘や交渉などを進めていこうと考えています。それはすでに進行中です。ただ、ユーロの為替レートの高低が仕入れ額に即影響するのが辛いですね。
 初年度売り上げは500万円、2年目の今年は600万円。最終目標は1,000万円ですが、僕の試算では一人でできる限界は800万円なので、そうなるといろいろ課題も多くなると考えています。

店舗外観。『チプレッソ』とはイタリアに多数ある糸杉のこと。日々の生活の中でホッとひと息つける場を作りたいとの想いからつけた

「一人でする店だから3坪もあれば十分」と巡りあった阪急電車の駅前に店舗を構える

イタリア食材コーナー。つねに新しい食品を開拓しており、中には日本初お目見えのものも

有限会社チプレッソのホームページ

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