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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


家を浮かせて地震から守る“究極の免震構造”

巨大地震に見舞われる寸前に空へ―。そんなSFアニメに出てきそうな発想で、家を浮かせて地震から守る断震システムが脚光を浴びている。発想は大胆だが、実際は2センチメートルほど浮き上がるだけで遠目には分からない。東日本大震災で積層ゴムや滑り支承を組み込んだ免震建築の効果が実証されたが、浮かせて揺れを伝えない点で“究極の免震構造”ともいえそうだ。

【0.3秒で基礎ごと浮揚】

斬新すぎる技術・手法がなかなか受け入れられないのは世の常。2008年の初施工から3年間の実績は全国50棟にとどまっていた。だが、震災で状況は一変。2年間で新たに150棟の断震住宅が誕生している。システムを開発した日本AIR断震システム(茨城県土浦市)のモデルハウスには全国から見学者が引きも切らない。
 エア断震住宅のメカニズムはシンプルだ。コンクリートの人工地盤の上に底面が平らなコンクリートのベタ基礎を載せ、地震波を感知するとその間に圧縮空気を送り込む仕組み。わずか0.3-0.5秒で家が基礎ごと浮揚する。空気は流動性が極めて高く、家の基礎側につける吹き出し口は基本的に中央部1カ所だけ。最低でも数十トンの重さになる住宅が「パスカルの原理によりわずか0.1気圧(1平方メートル当たり約0.1ニュートン)分の付加圧力で浮く」(坂本祥一日本AIR断震システム顧問)というから驚きだ。

図:エア断震住宅のメカニズム

図:エア断震住宅のメカニズム

実際、断震システムに使われているコンプレッサーはホームセンターなどで日曜大工用に売られているものと大差ない。地震への備えは、そのコンプレッサーで床下のエアタンクに圧縮空気を満たすだけ。屋内に設置した地震センサー内蔵の制御ユニットが設定レベル以上の地震波を感知すると、エアバルブが開く「プシュー」という作動音とともに瞬時に空気が送られて建物が浮き上がり、地震の揺れを20分の1以下に低減する。
 東日本大震災に見舞われたエア断震住宅はすべてシステムが正常に作動して家自体はもちろん、家具や食器類の破損も一切なかったという。

【自治体担当者も当初は困惑】

斬新奇抜なアイデアだっただけに、ユーザーだけでなく建築確認審査にあたる自治体当局も最初は当惑したらしい。これまでの常識なら、基礎は家をしっかり固定しておくもの。結局、平常時は摩擦抵抗で人工地盤に緊結しているという解釈が認められるようになり、法的な課題は解消した。システム価格は建築面積により300万-500万円。鋼球やローラーなどを利用した戸建て用の機械式免震装置より安価に収まり、費用対効果の高さからも普及が期待できそうだ。

見た目は普通のモデルハウス。地震波を感知すると0.3-0.5秒で約2㎝浮き上がる

見た目は普通のモデルハウス。地震波を感知すると0.3-0.5秒で約2㎝浮き上がる

断震システムの実現には、身近なハイテク機器の普及も一役買っている。地震波の検知には家庭用ゲーム機のコントローラーに使われているものと同種の加速度センサーを利用。震源から最初に届く上下動のP波、次に来る横揺れのS波について、それぞれ作動レベルを設定できる。制御ユニットは家庭用電力をバッテリーに蓄えて動かし、停電時も機能を保つ。
 また、落雷などの影響でデジタル部品の加速度センサーがダメージを受けてしまう事態を想定し、バックアップ用に鉄球の移動で作動スイッチが入るアナログ回路も備えた。 戸建て断震住宅の普及に道筋をつけ、開発者の坂本顧問は積層ゴムなどの免震装置が使われる重量建築物への展開も見据える。すでに鉄筋コンクリート造(RC造)2階建てなら1棟の実績があり、エアに代えてより大きな浮揚力が得られる液体断震も考えているそうだ。


掲載日:2013年5月22日

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