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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


アルマ望遠鏡

2013年、天文学史上最大の国際プロジェクトである「アルマ望遠鏡」の本格運用が始まる。南米チリのアタカマ砂漠にある標高5000メートルの高原がその舞台だ。構想から約30年。建設におよそ7年をかけた壮大なプロジェクトでは、日米欧が共同で宇宙誕生の謎解きを目指す。しかもこの望遠鏡、日本の最先端のモノづくり技術を結集させた世界最高性能の鋭い“眼力”を持つのだ。

【直径18kmに相当】

チリに建設が進むアルマ望遠鏡は「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計」の略称だ。アルマとはチリの公用語であるスペイン語で“魂”の意味を持つ。世界20カ国・地域が魂を込めて開発した望遠鏡で、未知の宇宙を仰ぐ。まさに人類全体の挑戦となる。

光ではなく、電波の一種である「ミリ波」を使って観測する電波望遠鏡で、解像度は米ハワイ州にあるすばる望遠鏡の約10倍を誇る。これは「大阪にある1円玉を東京から見分けられる解像度」(国立天文台)に相当し、人間の視力に換算すると6000にもなるという。光では見えない宇宙空間のちりやガスを観測し、惑星の起源や生命誕生の鍵を見つけ出そうとしている。

電波をとらえるパラボラアンテナは大型化するほど解像度が増す。アルマ望遠鏡は66台のアンテナを組み合わせる干渉計方式で作り、1台の仮想的な巨大望遠鏡を実現する。これで直径18.5キロメートルの大型アンテナに相当する解像度を得ようというわけだ。

【日本の技術結集】

日の丸技術の結晶ともいえるアルマ望遠鏡のパラボラアンテナ(三菱電機提供)

日の丸技術の結晶ともいえるアルマ望遠鏡のパラボラアンテナ(三菱電機提供)

66台のうち日本は16台を受け持つ。直径12メートルのアンテナ4台と同7メートルのアンテナ12台を組み合わせた16台の日の丸ユニット(ACA、日本名「いざよい」)は、広い範囲の天体観測に向く。アンテナの開発は、すばる望遠鏡などで実績のある三菱電機が担う。

約100トンのアンテナは巨大な精密機械であり、操縦には高度な制御技術が求められる。望遠鏡の回転軸上の0.1ミリメートルの誤差も、1光年先では約4億キロメートルの誤差に広がるからだ。三菱電機は産業用ロボット開発で培ったモーター技術を駆使し、0.001ミリメートルの精度で回転を高速に制御する望遠鏡を完成させた。

開発の舞台裏には80社に及ぶ関西の中小企業の協力もある。「日本の威信をかけてるんや、頼むから協力してくれ」「よっしゃ、いいもん作ろうや」。リーダーを務めた三菱電機通信機製作所(兵庫県尼崎市)観測システム課長の大島丈治さんは「町工場の力も借り、世界と互角に渡り合う性能を達成した」と万感の思いだ。9月にはアンテナの初期運転も始まった。

【テラヘルツ受信機】

専用移動台車を使ったチリ現地でのアンテナ輸送(三菱電機提供)

専用移動台車を使ったチリ現地でのアンテナ輸送(三菱電機提供)

アンテナに搭載する受信機は国立天文台が自ら開発した。アンテナから出た信号は富士通製の専用スーパーコンピューターシステム(相関器)で処理する。「標高5000メートル、0.5気圧という過酷な環境下で稼働させる条件はとても厳しいものだった」と富士通アドバンストエンジニアリング開発統括部主幹の三石俊二さんは振り返る。

効率的な冷却方法をひねり出し、汎用(はんよう)チップでコストを抑えつつ、毎秒約120兆回で高速計算する相関器を作った。宇宙観測の発展は常に望遠鏡の開発とともにある。日の丸技術に彩られたアルマ望遠鏡が、これから人類の宇宙観測の歴史に新たな1ページを加える。

展望・この技術

砂漠を延々1週間かけ搬送

チリへは長い旅路だ。日本からは飛行機を3回乗り継ぎ、40時間もかかる。人の移動も大変だが、特に高さが20メートル近いアンテナを地球の裏側、標高5000メートルの地まで運ぶのには苦労したよう。可動式アンテナのため、専用の移動台車まで開発した。「何から何まで初めての経験だった」と三菱電機の大島さん。

日本の道路は2車線をつぶし、警察の先導車をつけてアンテナを運んだ。チリへは神戸港から船に積んで出航。チリに着くと砂漠の中を400キロメートル、約1週間かけて搬送した。交通渋滞はもちろん、途中で送電線に当たり、チリの街が停電したことも。モノづくりだけではない、「運ぶ」技術も試された。


掲載日:2012年3月22日

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