本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード

アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


ダイヤモンド・ライク・カーボン

自然界で一番硬い物質であるダイヤモンドに似た材料をコーティングして、特性を上げる―。人工ダイヤモンドを作る研究の過程で生まれたダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)は、すでに一般的な表面処理技術としてさまざまな部品に使われる。最近は形状を利用した新しい応用が提案され、さらなる進化を遂げつつある。

【人工ダイヤ副産物】

DLCは真空中で高電圧をかけてプラズマを発生し、原料のガスを分解して炭素を主成分とした非晶質の硬質膜を基板上に形成する技術だ。1970年代に発見され、80年代前半から実用化研究が本格化。初めは人工ダイヤモンドの副産物として、目立つ存在ではなかったが、耐摩耗性の高さと低い摩擦係数に関心が集まり、人工ダイヤモンド研究の衰退とともに90年代から再び注目される。硬さと、滑りやすい摺動(しゅうどう)特性を同時に併せ持つことから、機械部品や工具などへの利用が広がっていった。

もうひとつの特徴が環境の変化に強く、酸素を通さないガスバリアー性。現在、飲料メーカーなどがペットボトル向けに展開している。ただDLCは真空状況下で反応させるため設備が大がかりで、製造コストが高くなりがち。慶応義塾大学教授の鈴木哲也さんは、「大気圧DLCであればコストを3分の1ほどまで下げられる」と断言する。鈴木さんらはペットボトル内部を大気圧DLCでコーティングしようと取り組んでいる。

【まるで剣山】

針状DLCの電子顕微鏡写真(大竹東工大教授提供)

針状DLCの電子顕微鏡写真(大竹東工大教授提供)

優れた特性を持つコーティング膜として使われてきたDLCは、より均一に高い密度で成膜する方法が研究の対象になることが多い。しかし、最近は穴をあけたり伸ばしたり、形状に焦点を当てて新しい特性を出そうという研究が始まっている。

まるで剣山のようにそびえ立つ無数のDLC―。東京工業大学教授の大竹尚登さんは、基板同士の距離が近いとDLCが針状に育つことを発見した。基板に穴を開けてプラズマをかけると、直径0.1マイクロ―0.2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、長さ0.5マイクロメートルほどのDLCが基板に対して垂直に伸びる。この「針状DLC」には電子を放出する特性がある。

ここから考えられるのが、フラットパネルディスプレー(FPD)への応用だ。環境耐性が高く大面積化しやすいというメリットがあるが、課題はコストと導電性。大竹さんは「現在のFPDに置き換わるほどのものにするのはなかなか難しい」とうなる。
 このほかに「大容量電極に応用できたら面白いかもしれない」(大竹さん)という。

【処理速度1000倍】

穴の空いたDLC膜をオイルフィルターとして応用しようとするのは、物質・材料研究機構の分離機能材料グループだ。アルミナ基板上に作った厚さ35ナノメートル(ナノは10億分の1)のDLC膜には直径約1ナノメートルの穴が無数にあいており、市販フィルターの約1000倍の速さで有機溶媒を処理できる。

既存の水処理膜は原料であるポリマーが酸やアルカリ、熱に弱く、分解してしまう。また、耐有機溶媒性のセラミックス膜やカーボン膜も開発されているが、高速処理はできなかった。超低硫黄ディーゼル油の製造や、鉱物油を含んだ砂岩の「オイルサンド」から原油を取り出す工程での排水処理などに応用が期待される。

展望・この技術

表面形状の設計手法に注目

これまでは硬さや平滑性、表面の官能基(原子団)が議論の中心だったDLC。東工大の大竹さんは「表面の形状をどう設計するかという点が着目され始めた」と分析する。ただこの傾向は国ごとに異なる。海外などでは、より硬いDLCを目指す研究が目立つという。微細形状を設計するといった繊細な技術は、日本が得意とする分野なのかもしれない。
 今やありふれた技術となったDLCだが、注目される特性の中で導電性・絶縁性が実用化された例は少ない。形状を制御して必要な電気特性を出せるようにする可能性は十分あるだろう。古き良き技術が、新しい側面をみせてくれることを期待したい。


掲載日:2012年3月 8日

関連リンク
  • 支援情報ヘッドライン
    ビジネスに役立つ無料セミナーなど公的機関による支援施策情報が毎日更新されます。
  • ビジネスQ&A
    経営者からのよくある質問に専門家が回答した事例集。

前の記事次の記事



このページの先頭へ