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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


炭素繊維自動車

比重は鉄の4分の1、強度は鉄の10倍と軽くて強い炭素繊維―。軽量化に大きく貢献するため、2012年から段階的に始まる欧州での自動車排ガス規制や、電気自動車(EV)などの普及が追い風となり、これからは自動車用途での本格採用が見込まれる。炭素繊維が黒いことから例えられる「黒い自動車」の時代が、すぐそばまで来ている。

【3割軽量化】

車の各部品が炭素繊維に置き換われば、約3割の軽量化が可能とされ、走行性能や燃費性能の向上につながる。ただ、素材が高価なうえ、炭素繊維に樹脂を含浸させた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は成形に時間もかかっていたため、これまで車での本格採用は、レースカーやトヨタ自動車のレクサスブランドのスポーツカー「LFA」など超高級車に限られていた。

そこで東レは、ハイサイクルRTM(レジントランスファーモールディング)成形技術を確立。高速に硬化するエポキシ樹脂の開発などにより、成形時間を従来の160分から約5分にまで短縮可能とした。三菱レイヨンも樹脂を含んだシート状の炭素繊維をもとに、あらかじめ形を整え、金型に入れ熱と圧力をかけるプレス成形により、成形時間を8分にまで縮めた。

【成形時間を大幅短縮】

ルーフに炭素繊維を採用した富士重工業の「インプレッサWRX STI tS」(日刊工業新聞社提供)

ルーフに炭素繊維を採用した富士重工業の「インプレッサWRX STI tS」(日刊工業新聞社提供)

両社が熱硬化性樹脂を採用しているのに対し、帝人は常温では固体だが熱を加えると流動化する熱可塑性樹脂を使い、1分以内でCFRPを成形する技術を確立した。熱硬化性樹脂の方が熱に強いが、帝人グループの東邦テナックスで炭素繊維・複合材料事業本部複合材料営業部門長を務める寳谷恭成さんは「EVになれば熱へのハードルが低くなり、重いバッテリーのため車体を軽くする必要性が高くなる」と時代のニーズを強調。今後4―5年程度で車への採用を目指す。

一方、実際に利用する自動車メーカーも工夫を凝らし、CFRPの採用を拡大しつつある。富士重工業は小型スポーツカー「インプレッサWRX STI」で、ルーフ部分にCFRPを採用した特別仕様車「tS」を追加し、1月に発売した。設計面ではルーフ前後の先端部分の構造を工夫。既存ボディーの変更を最小限に抑え、低コスト化を実現した。

炭素繊維は東レの「T300―3K」。一平方メートル当たり200グラムの平織りクロスを4層にし、1.6ミリメートルの厚さを持たせてスチール製と同等の剛性・強度を確保。仕上がったtSはルーフ部分でスチール製と比べ4キログラムの軽量化を達成した。

【コスト削減が課題】

今後、炭素繊維が普及するための課題の一つが鉄に比べ1ケタ高いコスト。炭素繊維メーカーは量産化によるコスト削減を図る。さらに、軽量化などの特性に加え、複数の部材を一体成形して部品点数を削減できるため、トータルコストで鉄やアルミニウムと競っていけると見ている。

車体骨格に炭素繊維強化プラスチックを使った帝人のコンセプトカー(日刊工業新聞社提供)

車体骨格に炭素繊維強化プラスチックを使った帝人のコンセプトカー(日刊工業新聞社提供)

東レと独ダイムラーが合弁会社を設立して共同開発を進めるなど素材メーカーと自動車メーカーが協力関係を強化し、CFRPの開発を加速させている。これまでのプロペラシャフトに加え、量産車でもルーフやボンネット、そして車体骨格など採用の広がりが見込まれることから、東レ常任理事A&Aセンター所長生産本部(コンポジット生産)担当の須賀康雄さんは、「20年ごろには高級タイプの量産車にも普及が進むだろう」と期待を寄せる。

展望・この技術

蓄電池組み込み型も研究中

どんなに素晴らしい素材でも実用化できなければ意味がない。そこで帝人は、熱可塑性CFRPを車体骨格に使ったコンセプトカーを作製し、顧客にアピール。骨格の重さは47キログラムとスチールボディーと比べ約5分の1の軽さで、市販のリチウムイオンバッテリーを搭載して実際に走行可能とした。顧客の反応も大きく、数多くの問い合わせが来ているという。
 さらに先を行く試みもある。英大学のインペリアル・カレッジ・ロンドンは、車のボディーパネルに埋め込んだ炭素繊維複合材とリチウムイオンを組み合わせ、蓄電池やキャパシターとして使えるEVを研究中。実現すれば、車体の軽量化と電池の容量アップに役立ちそうだ。


掲載日:2011年10月27日

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