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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


次世代超音速旅客機

音速の2倍(マッハ2)の速度で、米国や欧州に6時間以内でひとっ飛び。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、こんな次世代超音速旅客機(SST)の研究開発を進めている。飛行時に地上で聞こえる爆音(ソニックブーム)やエンジン音を大幅に抑える機体を開発する。2020年度以降に商用化を目指すというが、果たして実用化しても旅客需要は見込めるのか―。

【エコノミー症候群なし】

SSTの開発競争は米国、英国、仏、旧ソ連によって60年前後に始まったが、実用化できたのは76年に登場したコンコルドだけ。JAXAは09年度からSSTの研究に本格的に着手。14年度をめどに基盤技術の確立を目指しているが、その時点で想定するSSTは30人から50人乗りの小型機。実現すれば、20年度以降に見据える中型(100―150人)・大型(250人前後)の実用化に道を開くことになる。

次世代SSTの開発の狙いは米欧に現在の約半分の6時間以内で飛ぶことだ。その時間内ならエコノミー症候群を発症することもない。

【ドアのノック音程度】

だが、開発にはコンコルドが抱えた「経済性」と「環境性」の二つの技術課題がある。コンコルドはマッハ2で100人の乗客を乗せ、大西洋を4時間足らずで飛んだ。00年の墜落事故の影響もあり、03年には27年間の運行を終え、姿を消した。乗客一人当たりに換算して燃料1リットルで約5.5キロメートルしか飛べず、運航費でボーイングのジャンボ旅客機「747」の約3.5倍かかっていたという事情がある。

JAXAが開発を進める小型超音速旅客機のイメージ図(JAXA提供)

JAXAが開発を進める小型超音速旅客機のイメージ図(JAXA提供)

とくにソニックブームをどこまで低減できるかは大きな課題だ。そのため、地上に到達する衝撃波による圧力上昇量を引き下げなければならない。目標はコンコルドの4分の1に相当する約24パスカル(大気圧の約4000分の1)以下で、ドアのノック音レベル。JAXAは機体の胴体、翼などあらゆるところから発生する衝撃波を減らすため、コンピューターで最適な機体設計を進めている。

【NOX削減も課題】

また、オゾン層破壊への懸念となる排ガス中の窒素酸化物(NOX)もコンコルドの5分の1以下にする必要があるという。

JAXAは14年度までに40億円の予算を投じてマッハ1.6、圧力上昇量24パスカルレベルの基盤技術確立に向け、13年夏にはソニックブームの本格実験に入る。実験は高度30キロメートルの上空に実験飛行体を取り付けた気球を上げ、真下に向けて同飛行体を切り離す。途中で機体の姿勢を起こし、高度8キロ地点、傾斜角50度、マッハ1.3の速度に達したところで発生したソニックブームを計測する。

この衝撃波については、国際民間航空機関(ICAO)が16年をめどに国際基準値を策定する計画だ。超音速機チーム長の吉田憲司さんによれば、JAXAの気球による実験評価は「ICAOの基準値策定に大きな影響をおよぼす」とみられている。

JAXAは衝撃波の研究を米航空宇宙局(NASA)と一部で共同研究を進めているが、その多くの技術はJAXAの独自技術。NASAは20年に小型・中型SSTを、30年に大型SSTを実用化しようとしている。JAXAはそうしたNASAの開発をにらみながら技術をさらに磨き、「国内航空機産業に技術移転できる体制を整える」(吉田さん)構え。開発競争がスタートしておよそ半世紀になるSST。次世代機の研究開発は着実に前進している。

展望・この技術

【国際共同開発で負担軽減を】

次世代超音速旅客機(SST)の実用化への大きなハードルは巨額な開発費だ。小型SSTの実用化には約5000億円の開発費(エンジンを含めると8000億円)が必要。大型SSTとなると、約2兆円はかかるといわれる。
 得意とする日本の環境技術や宇宙航空技術を生かし、SSTの基盤技術を確立できたとしても、財政難を背景にこうした開発費は重くのしかかる。日本単独で開発費を負担するのは難しく、米欧などとの国際共同開発による負担軽減が自然な流れだ。一方で、次世代SSTの研究開発で蓄えた知的財産を日本の航空機産業に円滑に技術移転させることも、JAXAの大きな役割となる。


掲載日:2011年10月20日

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