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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


スマートステーション

通勤や通学、生活の場としてたくさんの人たちが行き交う鉄道の駅。毎日利用しているとその姿は代わり映えがしないように見えるが、ITなどの進展とともに、改札や案内表示、ホームドアなど利用者にとって使い勝手が良くなるように少しずつその機能を向上させている。JR東日本はこうした技術を集め、一カ所で実験をすることで利用者にとって総合的にどれだけ使いやすい駅になるかを検証する実験棟を建設した。"未来の駅"の姿を少しだけのぞいてみた。

【スマートフォン活用】

JR東日本の研究開発センター(さいたま市北区)。ここに一つの駅舎を丸ごと再現した「スマートステーション実験棟」が7月にオープンした。3階建ての駅舎を模しており、520平方メートルのコンコース、長さ70×幅7メートルのホームのほか、階段、車両、改札機、可動式天井などを備える。施設を歩くと、自分が本当の鉄道駅にいるような感覚になる。

同センターフロンティアサービス研究所課長の丸子竜洋さんによると、「実際に利用されている駅では長期間にわたる調査や思い切った実験は、効率性や安全性を考えると難しい」という。複数の技術を組み合わせ、トータルでの利便性追求を目的にした実証実験を行うためで、無人の駅舎ならそれも可能となるわけだ。

スマートステーション実験棟で充実しているのが、ITを利用した駅案内システム。iPhone(アイフォーン)など人気のスマートフォンを活用したシステムでは、画面に情報を付加するAR(拡張現実)による駅構内の案内を行う。指定の場所にARのマーカーを配置。スマートフォン越しにマーカーを認識すれば、目的とする施設などの位置情報が表示される。

【床に道案内ナビ表示】

JR東日本のスマートステーション実験棟に設置したタッチパネル式の構内案内板。目的地までの道順を教えてくれる

JR東日本のスマートステーション実験棟に設置したタッチパネル式の構内案内板。目的地までの道順を教えてくれる

スマートフォンを使えない人たちには、逆に紙を使った認識システムを使っている場所もある。マーカーの印刷されたパンフレットを持った利用者が所定の位置に立ち、パンフレット上に記された乗り換えやトイレなど必要な情報を指さすと、頭上のカメラがマーカーを認識。床に道案内を投影して目的の場所までのナビゲーションを表示する。直感的に誰でもわかるシステムなので利用者を選ばない利点がある。

車内では列車の運行情報をスマートフォンなどに提供するシステムの研究も行われている。事故や災害時の運行情報などは現在、車内放送などで行われている。それに加え、自分が乗っている電車がいつごろ目的地に到着するかや、振り替え輸送の状況はどうなっているのか、といった具体的な情報も利用者は知りたいからだ。

【ノータッチで改札】

車内で乗客の携帯端末に運行情報などを提供できる

車内で乗客の携帯端末に運行情報などを提供できる

車内の手すりなどに設置したフェリカ対応端末に携帯電話をタッチすれば、必要な情報が入力されるほか、無線LANを通じて提供するシステムも研究されている。個々人に合わせたパーソナルな情報を提供することで、車内での利用者のストレス軽減やトラブル発生の予防にも役立つ。これ以外にも沿線や駅ナカショップのお得情報などの提供も考えられる。

駅を利用する人たちの要求はさまざま。駅員がそばにいれば利用者たちの要求にも応えることはできるが、人数の関係でもちろん難しい。こうしたシステムで代用すれば、「駅員がいなくても個々人に合わせたサービスをわかりやすく提供できる」(丸子さん)という。
 このほか、駅舎には人体が微弱な電気を流す性質を利用した人体通信による改札も置かれている。非接触型のICカードを衣類のポケットやカバンの中に携帯すれば、両手に荷物を持ったままでも改札を通り抜けられる。

もちろん、環境面にも配慮している。窓ガラスにはフィルム状態の太陽電池が張ってあり、発電量の計測をしている。一般的なシリコンなどを使った無機系の太陽電池と違い、今後の主流になると予想される有機系の素材を使っており、コストダウンが期待できる。光を透過するうえ、軽くて折り曲げられるため、ガラスだけでなく壁面や車両などさまざまなシーンでの利用を想定。シリコンなどと比べて発電効率が悪いのが課題だが、「技術の進展でいずれ解消できる」(同)と考えている。

展望・この技術

【ユニークなアイデア、海外にも】

鉄道関連の技術やインフラというと、どうしても新幹線の新型車両など、分かりやすくて目立つものに目を向きがちになる。とはいえ、私たちが毎日のように使っている駅も鉄道を構成する重要な一部。スマートステーションで培われた技術が実用化すれば、派手さはなくても、利用者の使い勝手の改善が期待でき、駅で感じるストレスも確実に減っていくことだろう。

現在、JRグループや日本の車両メーカーなどは米国などへ高速鉄道の売り込みに本腰を入れ始めている。フランスなどライバル国は多いが、もし受注に成功すれば日本のスマートステーションで考え出されたユニークな利用者支援のアイデアが海外にも飛び出すかもしれない。そんな未来もあり得ない話しではないと思う。


掲載日:2010年12月24日

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