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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


違法コピー動画検知

インターネット上には違法なコピー動画が氾濫(はんらん)している。映画館で盗撮したり、テレビ放映のアニメに翻訳した字幕を加えたりして改変し、ネット上の動画共有サイトに投稿するユーザーがいるためだ。これは著作権の侵害に当たる違法な行為だが、一度削除しても、また新たなユーザーが次々と投稿するという、いたちごっこが起きている。こうしたなか、コピー動画を自動で検知する技術がついに開発された。「サイバー警察」とも表現されるこの技術、世界標準規格の採用というお墨付きも得て、ネット内外で反響を呼んでいる。

【特定領域の輝度比較】

開発したのは、NECの中央研究所にある情報・メディアプロセッシング研究所だ。NECが展開するクラウド・コンピューティング・サービスを下支えする情報処理技術の開発部隊である。

約2秒の短い動画シーンでも検知が可能で、映像の一部に不正なコピー利用があった場合も見逃さない。従来は数分間のシーンを照合する必要があった。だが、最大の特徴は、単純なコピーだけでなく、オリジナル画像に字幕を重ねたり、ディスプレーの映像をビデオカメラで撮影したり、複雑なデータ改変を伴うコピー動画でも検知できるようになったことだ。
 映像の識別には「ビデオシグネチャ」と呼ぶ映像指紋情報を使う。利用者は事前にオリジナル(またはコピー)のコンテンツを登録しておく。サイバー警察が動画共有サイト内を巡回し、登録済みコンテンツと照合する。この際に、ビデオシグネチャを使って判定を行う仕組みだ。
 ビデオシグネチャは2枚の画像のある領域の輝度を比べ、その差分を数値列で表して生成する。画像1枚当たりのビデオシグネチャ容量は76バイトと軽いため、家庭用パソコン程度の能力でも、1秒間に約1000時間分の動画をチェックできるという。

【検出率96%】

今年4月、国際標準化機構(ISO)などが、映像識別に関する国際標準規格「MPEG-7」にこのNEC技術を認定した。9月ごろに正式な規格案が出される。標準規格を選定する技術コンペティションで、NECのコピー動画の検出率は平均96%で世界トップの成績だった。映像指紋技術を利用したほかの研究機関と比べても、20%程度性能を上回ったという。
 この技術を使えば、ネット上にコピー動画を発見した時に自動で非公開にして管理者に警告したり、ネット上に投稿された時点で検知し、配信を未然に防いだりできる。ほぼリアルタイムで検知するため、「生放送をカメラで撮影してネット上で実況中継するなどの違法行為も瞬時に分かる」(主任の岩元浩太さん)という。動画配信業者や放送局などによる実用化を目指す。

動画コピー検知の一例。オリジナル映像(右)に字幕を載せて加工した映像(左)も検知することが可能(NEC)

動画コピー検知の一例。オリジナル映像(右)に字幕を載せて加工した映像(左)も検知することが可能(NEC)

【光相関で高速処理】

映像識別の標準化作業はNECの技術がベースになるが、その一部に三菱電機の技術が採用される見込みだ。世界最速の三菱の画像検索技術は、画像全体を扱いながら、NECより小さい64バイト容量で特徴量を抜き出し、1秒当たり10万枚の画像を照合する。「画像に圧縮や回転などの加工が施されていても、94%以上の確率で同一画像と判定できる」(メディア伝送技術チームリーダーの西川博文さん)といい、既に静止画向けの標準規格に採用されている。
 一方、大学や研究所では次世代に向けた研究が進む。日本女子大学の小舘香椎子名誉教授らは、動画と静止画の識別システム「FReCs」を開発中だ。光相関と呼ぶ光技術を応用し、毎秒100ギガビット(ギガは10億)以上で高速演算する。「大容量データの高速処理に向く省エネ型システムになる」(小舘さん)。ソフトは実用化済みで、2012年ごろに本格運用に乗り出す。光検索用ディスクの標準化も狙いたいという。国立情報学研究所もシャープと共同で、映画の盗撮を防ぐ技術にめどをつけている。
 世界標準への採用実績を見ても分かるように、日本は動画検索に関する研究で世界の先頭に立つ。この技術はアニメなど日本の文化を保護する役割としてはもちろん、著作権を尊重した本来のコンテンツの流通体系に是正を促す推進力となるに違いない。

展望・この技術

イノベーションの成功例

違法コピー動画の検知技術には、ほかの用途も考えられる。基本的に二つの映像(画像)を比べて類似度を判定する技術なので、まず、静止画の検索に使える。また、映像データとテキストデータを組み合わせることで、新しいサービスの創出も可能だ。
 例えば、街頭モニターやデジタルサイネージ(電子看板)、電車の中づり広告などを携帯電話のカメラで撮影すると、その画像と関連する情報を自動的にメールで送信するなどのプロモーション活動が想定できる。これは、あらかじめ登録しておいた映像と同じシーンが見つかった時に、サービスを開始するという動画検知の応用例である。
 同様にして、リアルタイムの視聴率調査やCM放映の自動確認などの利用も考えられるだろう。一つの技術が暮らしを変える、イノベーション(技術革新)の成功例と言えるのではないか。


掲載日:2010年9月16日

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