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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


超解像技術

薄型テレビなどで「超解像」技術を売り物にしたモデルが相次ぎ登場している。「超解像」というのはDVDレベルの標準画像や、低解像度の映像を、その場で高解像の緻密(ちみつ)な映像に再現してみせる技術。「大画面でさらにキレイな映像を鑑賞したい」という消費者のぜいたくな要求にこたえるものだ。まるで魔法のような話だが、そんな「超解像」はどのような仕組みなのか、今後、どう進化していくのか。東芝のテレビ商品企画や半導体開発に携わるエンジニアに話を聞いてみた。

【著しいパネルの進化】

そもそも超解像技術が必要になった背景には、液晶パネルの進化がある。実はパネルで映し出せる画素数に放送信号が追いついていないのだ。

地上デジタルハイビジョン放送で採用されているフォーマットは1440×1080画素(約156万画素)。それに対し、薄型テレビで採用されるフルハイビジョン(HD)液晶パネルの解像度は1920×1080画素(約207万画素)もある。このため、通常はテレビ側で放送信号をフルHDの画素数に引き伸ばして再現している。

超解像はそのような映像の画素情報を補って、映像の持つオリジナルの解像度を超える解像度で表示する技術。「失われたディティールを再現している」(東芝テレビ事業部TV商品企画部参事の阿部裕俊さん)ことが超解像の本質といえそうだ。

東芝の液晶テレビ「レグザ」で採用されている超解像技術は「再構成法」と呼ばれる。その仕組みは、映像をまず細かい模様などのテクスチャ部、輪郭などのエッジ部、背景などの平坦(へいたん)部の三つに分け、「それぞれの部分に最も適した処理を施す」(コアテクノロジーセンターAV技術開発部主査の浪岡利幸さん)。とくに超解像技術が生かされるのは細かい模様が連続しているテクスチャ部。たとえば木の枝にとまる小鳥に焦点を当てた映像ならば、輪郭の部分を除いた小鳥や枝の映像が超解像の対象。背景の空には適用されない。

【映像の差から復元】

超解像機能を搭載した東芝の液晶テレビ「レグザ」

超解像機能を搭載した東芝の液晶テレビ「レグザ」

テクスチャ部の処理は以下の手順だ。オリジナルの入力映像から従来のアップコンバート(高解像度映像への変換)処理で仮のフルHD高解像度映像をつくる。

アップコンバートされた仮映像を今度は「撮像モデル関数」という数式を使ってダウンコンバート(低解像度映像への変換)し、再び1440×1080画素の映像をつくる。「撮像モデル関数」とはカメラが撮像素子の情報を映像信号に変換するのと同じ計算を再現するもの。オリジナル映像とダウンコンバート映像の差分を検出することで、アップコンバートの不自然な部分を突き止め、その差分からフルHDが本来持っているはずの部分を復元し、理想状態に近づけていく。

(左)超解像の処理前、(右)処理後。ガラスの凹凸、レンガの質感などが鮮明になっている

(左)超解像の処理前、(右)処理後。ガラスの凹凸、レンガの質感などが鮮明になっている

【将来は「4K2K」】

最終的にオリジナル映像から高解像度と低解像度の2種類の映像をつくり、理想に近い状態の映像を出力する。こうした処理によって、人の肌や建物のレンガの質感がより出て、緻密になった印象を受ける。ちなみに、この復元のための計算は繰り返せば繰り返すほど精度が向上するが、東芝の場合は1回だけ。「何回も計算すると映像の遅延が起きてしまう」(浪岡さん)ためだ。

超解像を可能にしているのは半導体の技術。東芝はテレビへの実装を目標に専用LSIを開発した。液晶テレビに初めて搭載したのは2008年9月発売の秋モデル。超解像技術は「レゾリューションプラス」と呼び、09年春モデルからは初代の技術を発展させた「レゾリューションプラス2」を採用した。新バージョンでは細かく画質を判別できるようになり、不自然なアップコンバート映像に対しても超解像処理を施すことができる。

現在LSIの開発で取り組んでいるのは、インターネットのコンテンツを高解像度化する技術。さらに次の開発テーマもある。次世代の地デジ放送では4K2K(4000×2000画素以上)映像を取り扱うことが検討されている。こうした動向を踏まえ、「フルHD映像を4K2Kパネルに合うように高解像度化する技術開発も進めている」(同)という。

展望・この技術

【大手家電メーカーが本腰入れる】

超解像の技術は進化を続けている。東芝は一般のパソコン用プロセッサーの10倍の処理性能をもつ超高性能プロセッサー「セル」を搭載した液晶テレビを2009年内に発売する。従来は超解像を施せなかったインターネットの映像まで高精細化を可能にした。

新しい超解像技術では、低解像度のネット映像特有の圧縮ノイズを検出、分離して補正を行っている。また、ネット映像を大画面に映すと解像度の不足や圧縮ノイズからぼやけた画像になってしまうが、大画面に合わせた精細感のあるクリアな映像に再現する。

「セル」を搭載した液晶テレビは年内に1機種だけだが、東芝は今後「セル」を普及価格帯の機種にも展開する考え。超解像技術はソニーや三菱電機など大手家電メーカーも力を入れだした。どんな映像も高精細に再現してくれるテレビが身近になってきそうだ。


掲載日:2009年12月24日

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