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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


太陽熱発電

「太陽で電気を作り出す」と言えば、すぐに思い浮かぶのが太陽光発電だ。補助金が復活した日本では太陽光発電の設置が急激に増えている。一方、中東や米国に目を向けると、太陽エネルギーを活用したもう一つの発電にも注目が集まる。それが太陽熱発電。日本ではほとんど知られていないが、太陽光発電に比べると仕組みは簡単。鏡を上手に使って太陽光を集め、その高い熱で電気を作り出す。この技術を利用して、何もない砂漠が大規模発電所に生まれ変わろうとしている。

【中東・米で続々建設】

太陽光発電と太陽熱発電。「光」と「熱」の違いはあっても、化石資源を使わずに発電する点では一緒。太陽光発電がクリーンエネルギーの代表選手として成長しているように、中東や米国などで太陽熱発電所の建設計画がめじろ押し。

基本的な仕組みは屋根の上にある太陽温水器と同じ。太陽熱発電は太陽の熱で水を沸騰させ、蒸気を発生させる。その後は火力発電所と同じで、蒸気でタービンを回して発電する。

もちろんタービンを回すには大量の蒸気が必要。そのためにたくさんの鏡が使われるのだ。太陽熱発電には二つの方式がある。三井造船機械・システム事業本部主管の江澤一明さんによれば、最近、増えているのが「タワートップ式」。

タワートップ式は地面に敷き詰めたたくさんの鏡で太陽光を反射させ、タワー(塔)1カ所に集光。米カリフォルニア州の「ソーラー2」と呼ばれる太陽熱発電所は鏡2000枚を使い、太陽光を塔に集めている。

【塔に蓄熱材】

大量の反射鏡を使った大規模集光式太陽熱発電所(米ブライトソース・エナジーのHPから)

大量の反射鏡を使った大規模集光式太陽熱発電所(米ブライトソース・エナジーのHPから)

塔の中には流体の蓄熱材が流れていて、集めた太陽熱で蓄熱材を沸騰させる。蓄熱材はグツグツと煮えたまま塔の下へと流れ、水と触れる。すると今度は水が沸騰し、蒸気が大量に発生。蓄熱材の熱は水に移り、蓄熱材は冷やされて塔に戻る。

ちなみにソーラー2は1万世帯もの電力を賄う能力があるという。太陽熱発電は大規模発電に向いているのだ。さらに、東京工業大学教授の玉浦裕さんは太陽光発電との大きな違いについて、「24時間発電できることが最大の強み」と説明する。蓄熱材を煮えている状態にしておけば、夜でも発電可能なのだ。

最近では、「タワートップ式の発展型」と呼べる方式も登場。東工大の玉浦さんが考案した方式で、三井造船、コスモ石油、コニカミノルタオプト(東京都八王子市)がチームを組んで新方式の実験を始める計画だ。

新方式は塔にも鏡を取り付けたのが特徴。まず地面の鏡からの反射光を塔の鏡に集め、次に塔の鏡で再反射させて、地面にある蓄熱材に太陽熱を集める。「ビームダウン式」と呼ばれているが、技術的なハードルは高く、実用化されていない。

【コストメリット】

東工大のビームダウン式の完成イメージ

東工大のビームダウン式の完成イメージ

タワートップ式と比べたメリットは発電コストの安さ。タワートップ式で大規模なものは塔の高さが90メートルにもなる。このため、高い場所まで蓄熱材を送る動力に大きな電力を使う。これがビームダウン式だと、蓄熱材をくみあげる動力が不要で、発電コストを抑えられる。ただし、「2回反射するため、鏡の配置を正確にしないと反射率が落ちる」(玉浦さん)。

また、塔側の鏡は高い耐熱性が必要。太陽光を集めた塔の鏡の温度は200度−300度Cにも上がり、ガラス製の鏡なら溶け出してしまう。

そこでコニカミノルタオプトは誘電体多層膜を使った鏡を開発した。光を反射する膜を何層も重ねた構造で、膜1枚の厚さは数十ナノから数百ナノメートル(ナノは10億分の1)。反射率は95%以上と高く、太陽光のほとんどを反射し、熱が鏡にたまらない。

太陽熱発電所の建設は、太陽光がたくさん降り注ぐ赤道直下が最適と思いがちだが、実は違う。というのも「赤道直下は雨がよく降る熱帯雨林が多いから」(江澤さん)。米中部から西南部、アフリカ北部、中東、豪州などが適地とされている。

そうした理由もあり、新しいビームダウン式の実験場所はアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ。実証実験は2010年初めにスタートし、夏には結果が出る。

展望・この技術

プラント建設計画が目白押し

太陽光発電に比べ、日本ではあまりなじみのない太陽熱発電。しかし、中東や米国に目を向けると、太陽熱発電の取り組みが予想以上に活発だ。タービンを回して発電する構造は、火力や原子力などと同じ仕組みで、大規模発電に向く。蓄熱財を使えば夜間の発電も可能なため、注目が集まっている。中東や米国のほか、世界各国で発電能力数百メガワットクラスのプラント建設計画がめじろ押しだ。将来的には、原子力を上回る発電システムになるという見方もある。


掲載日:2009年12月11日

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