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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


石炭ガス化複合発電

化石燃料の中で、埋蔵量が多く安価な石炭。燃料としての持続性から、石炭火力発電への期待は高い。しかし、温暖化対策が求められる中、二酸化炭素(CO2)削減は避けて通れない。そんな時代のニーズに応える石炭火力の未来像が、石炭ガス化複合発電(IGCC)。燃料を固体から気体に変え、発電効率を追い求めた新しい石炭火力の姿だ。海外勢が先行するIGCCだが、ここに来て国産IGCCの実用化に向けた動きが活発化している。

【CO2、15%抑制】

石炭火力は世界の発電の40%を担う。しかし、液化天然ガス(LNG)を使う火力発電に比べてCO2の排出量は1.6倍(国内実績)。いかにCO2排出量を抑えるかが最大の課題で、その現状を打破する切り札としてIGCCへの期待が高まっている。

石炭ガス化複合発電

IGCCは石炭を高温高圧のガス化炉内でガスにして、まずガスタービンで発電する。その際に出る高温の排ガスを排熱回収ボイラに入れて蒸気を発生させて、蒸気タービンでも発電する。2段階の発電による高効率化で、通常の石炭火力発電に比べてCO2排出量を15%程度抑制できる。

IGCC実用化の取り組みが始まったのは1990年代。現在、米国で二つ、それにオランダ、スペイン、日本の合計五つのIGCCプロジェクトが進行中。海外ではすでに商用運転に入っている。IGCCには酸素で石炭をガス化する酸素吹き方式と、空気で石炭をガス化する空気吹き方式があり、海外では酸素吹き方式が主流。メーカーでは米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンス、三菱重工業が手がけている。

【国内勢の研究加速】

国内では、電力9社とJパワーが出資するクリーンコールパワー研究所(福島県いわき市)と三菱重工業が共同で実証試験を行っている。発電出力は25万キロワットで、発電効率は48%。08年9月に連続運転2000時間に成功、09年は5000時間の連続運転に挑んでいる。  ほかのプロジェクトに比べて最も短期間で2000時間を達成したことが評価され、三菱重工業と三菱商事は豪州で建設されるIGCCプロジェクトを受注した。発電出力が53万キロワットと大規模なIGCCであり、二酸化炭素回収・貯留(CCS)とセットにしたプラントは15年に稼働する予定だ。

Jパワーの若松研究所にあるIGCC実証設備(北九州市若松区)

Jパワーの若松研究所にあるIGCC実証設備(北九州市若松区)

一方、Jパワーも北九州市若松区の技術開発センターで、石炭ガス製造技術の実証研究を行っている。同センター若松研究所所長の後藤秀樹さんはIGCCについて「石炭を使い続けていく上での切り札となる技術」と言い切る。

Jパワーが研究を始めたのが95年。ここでの成果を踏まえ、中国電力と共同で大型実証試験を17年3月から始める予定。実用化への階段を着実に上がっている。

【水素製造源に】

若松研究所で06年度まで行われた実証では、すべての開発目標を達成。石炭の発熱量が生成ガス発熱量に転換した割合を示す冷ガス効率で海外勢を上回る82%となったほか、連続運転も1000時間を超えた。この実績を踏まえ、現在は09年度までの第2ステップに入っている。テーマはCO2分離回収技術の確立だ。

08年11月に分離回収の試験を始めており、技術確立で目指すのは「IGCC+CCS」。発電で発生するCO2を回収、地中などに貯留するゼロエミッション型石炭火力発電だ。この技術の実用化に向けた性能検証を中国電力の大崎発電所(広島県大崎上島町)で行う。

さらに、大型施設での実証プロジェクトを進めるため、Jパワーと中国電力で共同出資会社「大崎クールジェン」を7月29日に設立した。ここではIGCCとCCSの組み合わせのほか、さらに高効率な石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の研究も視野に入れている。

環境に対する規制は今後ますます強化されていく。その時でも石炭は重要な燃料の一つ。

「将来は、IGCCでなければならない世の中になっているかもしれない」(後藤さん)。そんな未来が刻一刻と近づいている。

展望・この技術

ゼロエミ石炭火力の確立へ

主要国の発電電力量に占める石炭火力の割合は日本が27%であるのに対し、米国が50%、中国が80%で、海外諸国は石炭火力の比率が高い。今後、中国は2020年までに955基、米国も110基の新設を計画しており、世界全体での石炭火力の構成比は現状の40%から45%に拡大する見通しだ。
 世界的に拡大する石炭火力だが、発電効率向上によるCO2排出量削減は不可避の課題。国は技術革新を後押しする。IGCCとCCSを組み合わせたCO2排出ゼロのゼロエミッション石炭火力発電の実証研究を官民協力で推進。研究成果の海外展開も見据える。石炭火力の発電効率は日本が世界一で、高効率化はお家芸と言える。ゼロエミ石炭火力の国内での確立、世界展開を通じて環境技術先進国の地位を固める。


掲載日:2009年10月29日

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