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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


東京スカイツリー

2011年12月に世界一高いタワーが東京都墨田区に誕生する。地上610メートルの高さを誇る摩天楼「東京スカイツリー」だ。08年7月に基礎工事が開始され、09年8月には地上100メートルの高さに到達した。現在の東京タワーの333メートルを超える未知の領域での電波塔建設は、地震や風、日照りなど自然との闘いでもある。東京の新名所としても期待される新しいタワーには、どんな先端技術や工夫が盛り込まれるのかを探ってみた。

【空に伸びる「大木」】

関東地方で03年12月に開始された地上デジタル放送。その一方で、都心には200メートル級の超高層ビルが増え、電波を受信できない地域が生まれていた。現在、東京タワーの放送の送信高さは約250メートル。ビル影の影響を受けずに安定した送信環境にするには、600メートル級の新たな電波塔が必要となっていた。

610メートルの新タワーが完成すると、カナダのCNタワー(553メートル)を抜き世界一となる。地上デジタル放送の送信高さは現在の約2倍となり、携帯端末向けデジタル放送サービス「ワンセグ」のエリア拡大も図れる。

東京スカイツリー

東京スカイツリーは空に向かって伸びる大きな木をイメージしてデザインされた。両幅約90メートルの限られた敷地内で、東京タワーの4本脚とは異なり3本脚で立つ。三脚のように最も少ない単位で安定性が得られる合理的な形状により、「周囲への圧迫感や日照問題に配慮した形となっている」とプロジェクトを進める東武タワースカイツリー(東京都墨田区)計画本部課長の今村義人さんは胸を張る。

タワーは脚元から頂点に向かうにつれ、基本構造が三角形から円形へと変化し、断面も正三角形から次第に角が取れて丸みを帯びていく。一つとして同じ断面がない独特の形状は、側面にも変化をもたらし、タワーを眺める角度により反っていたり、膨らんでいるように見える。反っている部分は日本刀の刃のように見える「そり」を、膨らんでいる部分は神社の柱などで見られるという「むくり」をイメージして作られ、伝統的な日本建築の面影を残す。

【階段室が心柱に】

東京スカイツリーの完成予想CG(東武タワースカイツリー提供)

東京スカイツリーの完成予想CG(東武タワースカイツリー提供)

耐震構造では地震に強いといわれる五重塔の「心柱(しんばしら)」による制振システムを採用。五重塔は真ん中を貫く心柱と塔体各層が独立した構造となっており、地震などの揺れに対して、この独立した関係が各層との間に相互作用を産み出し、揺れを抑える役割があると考えられている。新タワーでは中央の階段室を心柱に見立て、外の鉄骨との間で揺れを抑える新たな制振システムも導入した。

タワーを支える鉄骨はトレーラーで運べるサイズを基本に、最大でも直径2.3メートル、高さ4メートルと短い。重さは29トン。パイプというより臼のような形状のこの鉄骨を溶接でつなぎ合わせて、一本の長い鋼管に仕上げる。

こうした一連の建設工事を請け負ったのが大手建設会社の大林組。同社によれば、技術面での壁として立ちはだかったのは、600メートルを超す高さなのに、敷地の制約から足元の幅が約70メートルしかないこと。そのため、地中の基礎部分で地震や強風による負荷をしっかり受け止める必要があり、同社の特殊基礎技術「ナックル・ウォール工法」がスカイツリー受注の最大の決め手となった。

【未知の連続】

着々と工事が進むスカイツリーの建設現場

着々と工事が進むスカイツリーの建設現場

この工法は名前のとおり、壁状に連続した杭に節状の出っ張りを付け、転倒防止と引き抜き・押し込み力に強力に抵抗する仕組み。超高層ビルで数件の実績があったが、スカイツリーの現場では念には念を入れ、事前に実物大で壁の一部分を試験施工し、抵抗力を調べる実証実験も行った。タワー下の地中には、すでに幅約70メートル、深さ約50メートルの連続壁が三角柱状に3枚組み合わさったナックル・ウォールがある。

建設プロジェクトに携わる大林組東京本社技術本部企画推進室専門技師の田村達一さんは「規模が規模だけに使う鋼材の大きさ、300メートルを超す高所での作業と、何から何まで未知の連続」と目を輝かせる。日本の建設技術は世界一と言われるが、こうしたチャレンジがまた新しい建設技術へとつながっていく。

展望・この技術

日本最長のエレベーター開発も

来場者を一気に空の旅へと連れて行くのは、東芝エレベータ(東京都品川区)の大容量エレベーターだ。東京スカイツリーの主要導線として地上から第1展望台(地上350メートル)までを50秒弱で結ぶ。合わせて昇降距離が日本最長464.4メートルの業務用エレベーターも開発する。

同社は台湾の超高層ビル「TAIPEI101」(508メートル)に高速エレベーターを納め、分速1010メートルのギネス記録をたたき出した。このエレベーターでは騒音を抑えるため、乗りかごの上下に流線型のカプセルを取り付け、風をかご室の横と背面に逃がす「整風カプセル」や、強風時の揺れでエレベーターのロープが共振しないようにする挙動解析技術などが盛り込まれた。新タワーでもこうした技術が集約され、空中散歩を影で支えることになる。


掲載日:2009年9月 3日

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