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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


個人を識別するデジタルカメラ

デジタルカメラがどんどん人間の目に近づいている。今や人の顔をカメラ側が認識するのは当たり前。それどころか、あらかじめ登録しておいた個人の顔を識別するまでに進化を遂げている。運動会で自分の子どもをきれいに撮りたいお父さん、お母さんや、人込みの中で大切な人の一瞬の表情を逃さず撮影したい、といったニーズにマッチする機能だ。一方で、こうした顔認識の技術はカメラ以外にも応用され、新たな広がりも見せている。

【人の目により近く】

とあるパーティー会場。カメラを構える人の前にはたくさんのパーティー参加者。○○さんはどこに?でも大丈夫。カメラに記憶させておいた友達や恋人の顔に自動的にピントが合い、あとはシャッターを切るだけ。ざっと言って、これが個人の顔認識機能の付いたカメラの特徴だ。

さらに、その顔を最優先して肌の色調整など画像処理を行い、きれいな表情を撮影できる機能まである。人間の目が意識しないで行っている動作を、デジカメで再現できるようになったわけだ。

個人を識別するデジタルカメラ

こうした個人認識は、顔認識技術の進化の結果とも言える。ただ、顔認識技術はデジタルカメラ各社で違う。「ぼんやりと見て、顔かなと判断する」。ソニーのデジタルイメージング事業本部パーソナルイメージング事業部商品企画部商品企画課の越智龍さんは認識方法をこう説明する。

越智さんによれば、顔認識機能が普及し始めたころは、目や鼻、口の特徴で判断することが多かった。現在はソニーの海外拠点で集めた世界各国の膨大な数の顔データを集めた辞書のようなものをもとに、顔を総合的に見て判断しているという。ちなみに、ソニーのカメラで顔を記憶できるのは一人だけだが、技術的には複数対応も可能だ。

【「写真管理」に転用】

デジカメに記憶させておいた個人の顔を検出している様子(ソニー)

デジカメに記憶させておいた個人の顔を検出している様子(ソニー)

同じく個人認識機能搭載のデジカメを手掛けるパナソニックは同じ技術を付属ソフトに転用。他社製のカメラも含め、過去に撮影した写真を人物別に整理することもできる。米アップルも同様の機能を写真管理ソフト「iPhoto(アイフォト)」で実現している。

パナソニックではもともと、セキュリティー用途で進めていた個人認識技術の研究がベース。「人の顔は表情が変わる。笑ったら目が細くなるし、ほおも上がる。そんな変動要因をどう吸収するかが課題だった」と、先行開発グループ先行システム開発チーム主幹技師の宮崎桂一さんはデジカメならではの難しさを説明する。

一方で、顔認識機能が上位機種だけでなく標準搭載されている現状からすると、個人認識機能もほかのメーカーが追随する可能性は高い。

デジカメ各社は顔認識技術を応用し特色のある機能を打ち出している。笑顔を検出して自動でシャッターを切るソニーの「スマイルシャッター」は有名だが、ほかにも富士フイルムの「恋するタイマー」はユニーク。カップルなど二人の顔が接近すると、カウントダウンが始まり、自動で撮影される。

【マーケティングにも】

個人認識機能の付いたコンパクトデジカメ(パナソニック)

個人認識機能の付いたコンパクトデジカメ(パナソニック)

顔認識技術の応用範囲は何もデジカメだけではない。遠隔地からのデータ通信により広告などの表示内容を変更できる電子看板(デジタルサイネージ)との技術融合も期待される分野だ。

顔の認識は画像中の(1)顔の位置検出(2)輪郭や目鼻の形など数十カ所の特徴点検出(3)特徴点の分布からの個人識別―といった三段階で認識する仕組み。特に個人識別では、性別や年代といった個人の属性情報の推定が可能だ。

技術的な課題もある。通常、検知できるのは正面を向いた顔。角度が変わると、それだけ属性の推定が難しくなる。また、画面から離れた人ほど特徴点の検出は困難。現在では複数のカメラを使うことで、看板の前にいる人の顔をあらゆる角度から検知する方法が考えられているが、データ処理を高速化するシステム開発が不可欠となる。

顔認識技術はデジタルサイネージのほか、自動車やセキュリティー分野への応用も見込まれ、たとえば運転手の顔から眠気が強い状態を検知して注意を促すシステムや、現金自動預払機(ATM)の個人認証などが想定される。

展望・この技術

機能的には頭打ちか

デジタルカメラ各社は新機能を次々盛り込むことで、販売価格の下落を防ぐとともに需要喚起を図ってきた。個人認識もその試みの一つで、「撮影者の失敗を防ぐための機能だ」(ソニーの越智さん)。デジカメの普及とともに、専門知識がなくてもいかにきれいに撮影できるかが各社の最重要開発テーマとなっていた。

「半年ごとに新しい機能を入れている」(パナソニックコンパクト企画チームの高松傑さん)との言葉通り、手ブレ補正や撮影設定の自動化、そして個人認識にまで行き着いた。機能の精度向上の余地は残るものの、機能的には頭打ちの感もある。逆風はほかにもあり、デジカメが普及期に入った1990年代後半から順調に拡大してきた世界市場が09年には初めて前年割れする見通しだ。

シャッターボタンの一押しでどこまでできるか。さらなる技術革新が需要低迷を吹き飛ばすのを期待したい。


掲載日:2009年8月27日

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