本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード

アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


リニアモーターカー

「東京から大阪まで約1時間で移動するのに有効な乗り物は?」 こんな質問に多くの人は「飛行機」と答えるだろう。確かに正解だ。だが、近い将来、さらに別の正解が加わることになる。それがリニアモーターカー。正確に言えばJR東海が開発を進める「超電導リニア」。浮上して時速500kmの超高速で走る鉄道車両だ。実用化が待たれている超電導リニアについて、開発担当者に技術や開発状況などを聞いた。

【磁気浮上式】

まず、リニアモーターカーに対する一般的な誤解から。そのすべてが軌道の上を浮上し、超高速で走るものではない。リニアモーターカーは、あくまでもリニアモーターで駆動する鉄道車両のことで、その種類は「磁気浮上式」と「鉄輪式」に分かれる。ちなみに、レールと車輪で走る鉄輪式のリニアモーターカーはすでに全国の地下鉄で実用化されており、時速も数十kmで超高速ではない。
 今回は磁気浮上式の超電導リニアを紹介する。

なぜ超電導リニアは浮上し走ることができるのか。これを理解するにはまず、「超電導磁石」、「推進コイル」、「浮上・案内コイル」といった中核技術を知っておく必要がある。
 まず、超電導磁石は車両に搭載され、電気抵抗がなく、一度電気を流すと永久に電流が流れ続ける。つぎに、推進コイルは車両を前進させるために必要で、こちらは地上側に設置される。そして、浮上・案内コイルは車両を浮上、安定させる役目があり、車両が通るU字形の軌道の側壁両側に取り付けられる。

そもそもリニアモーターは、従来の鉄道車両の回転型モーターを直線上に引きのばしたものだ。超電導リニアでは、リニアモーターの内側の回転子が車両に搭載する超電導磁石に、外側の固定子が地上に配置される推進コイルに、それぞれ相当する。

【時速150kmまで「車輪」】

時速500kmで走る磁気浮上式の超電導リニア

時速500kmで走る磁気浮上式の超電導リニア

超電導リニアの原理はこうだ。まず、超電導リニアは時速約150kmまで車輪で走る。すると、車両の超電導磁石が軌道の浮上・案内コイルを高速で通過することとなり、浮上・案内コイルに電流が流れて浮上・案内コイルは電磁石となる。電磁石となった浮上・案内コイルと車両の超電導磁石が反応し、軌道の側壁両面で車両を押し上げる力と引き上げる力が発生。この力で車両が浮上する。

つぎに前進。地上の推進コイルに外部から電流を流すことで磁界ができ、車両の超電導磁石のN極とS極との間で引力と反発力が発生する。これを利用して車両が前進する仕組みだ。車両の加速、減速は推進コイルに流す電気の周波数で制御する。

車両が中心からどちらか一方にずれると、どうなるか。その場合も浮上・案内コイルが働く。車両の遠ざかった側に吸引力、近づいた側に反発力が生じ、車両を常に中央に戻す。開発担当の一人であるJR東海 東海道新幹線21世紀対策本部担当課長の後藤康之さんは、「吸引力、反発力は車両が高速であればあるほど強くなる。超高速で走る超電導リニアの安定性は高い」と話す。

【ギネスブック認定】

リニアモーターは、円筒状のモーターを線状に展開したもので、車両に搭載する超電導磁石が回転子に、地上に配置される推進コイル(軌道)が固定子に相当する

リニアモーターは、円筒状のモーターを線状に展開したもので、車両に搭載する超電導磁石が回転子に、地上に配置される推進コイル(軌道)が固定子に相当する

走行速度は2003年に時速581kmを記録。鉄道車両の世界最速記録でギネスブックにも認定され、いまだに破られていない。リニアの走行には摩擦が生じないため、理論上はいくらでも速く走れる。ただ高速になればなるほど多くの電気が必要となりコスト高になるほか、空気抵抗による安全面の問題もあり、今のところ時速500kmでの走行を目安に試験を行っている。
 JR東海では試験を充実するため、山梨県の実験線の距離を13年度までに、現在の18.4kmから42.8kmに延伸する予定。実用化を見据え、12両編成で数々の試験を繰り返し行っていく考えだ。

ところで、超電導リニアは実際にどの区間を走ることになるのか?それが首都圏と近畿圏を結ぶ新たな鉄道路線「中央新幹線」だ。具体的なルートや建設計画などは今後決まるが、JR東海が公表している計画によると、まず25年に首都圏−中京圏間で先行開業の予定。超電導リニアの運行により、首都圏−中京圏は約40分、首都圏−近畿圏は約1時間でつながるようになるという。

超電導リニアの実用化は夢ではない。研究開始から60年以上の長い年月を経て、ようやくその雄姿が見られそう。期待は膨らむばかりだ。

展望・この技術

2025年の実用化に向けて安全性に磨き

取材を通じ、一つ気になったことがある。それは超電導リニアの乗り心地だ。時速500km で走る車両となると、素人では騒音や振動などが大きいのではないかと想像してしまう。
 現在は実施していないが、JR東海は2007年まで超電導リニアの試乗会を実施していた。試乗経験者の感想で多いのは「非常に安定して静か」というものだったという。遊園地のジェットコースターのような乗り物だと期待していた人にとってはがっかりだったかもしれないが、同社にとってはほっとする期待通りの感想といえる。
 やはり人の命を預かる乗り物だけに、超電導リニアには高い安全性が求められる。今後、2025年の実用化に向けて、安全性により磨きがかかっていくことを願うばかりだ。


掲載日:2009年8月13日

関連リンク
  • 支援情報ヘッドライン
    ビジネスに役立つ無料セミナーなど公的機関による支援施策情報が毎日更新されます。
  • ビジネスQ&A
    経営者からのよくある質問に専門家が回答した事例集。

前の記事次の記事



このページの先頭へ