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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


直流給電

交流から直流へ―。いま、電気の世界が大きく変わろうとしている。キーワードは「直流給電」。一般家庭からサーバコンピューターの設置されたデータセンターまで、電気の供給方式をこれまでの交流から直流に替えてしまおうということだ。「なぜそんな面倒なことを?」と思うかも知れないが、大きな理由は地球温暖化対策にある。直流に替えるだけで、省エネ効果が10〜30%生じるという試算さえある。さらに太陽光発電など再生可能エネルギーの台頭も直流を主役の座に押し上げている。

【シャープが口火】

2007年夏、シャープの片山幹雄社長から「DCエコハウス」構想が初めて語られた。DCエコハウスとは、太陽電池などで発電した直流の電気をそのまま電気製品へ供給し、家庭からの二酸化炭素(CO2)の排出を大きく削減しようという構想だ。

直流給電

家庭の電源は100Vか200Vの交流であり、家電製品もすべてが交流対応である。それなのになぜ直流給電なのか。実は照明以外の家電製品の多くが、機器内で交流を直流に変換している。つまり、家電製品に直流を給電すれば、交流から変換する際のロスを避けられる。

照明もそう。次世代の発光ダイオード(LED)照明は直流で動作するので、そこに直流で発電する太陽電池などを組み合わせるわけだ。

シャープではあらゆる電気製品を直流化するとともに、住宅メーカーや建材メーカーなどとも連携し、究極の省エネ住宅を目指している。たとえば、太陽電池に蓄電池を組み合わせれば、再生可能エネルギーの利用効率は格段に高まる。その一環として、大型リチウムイオン電池を研究開発する慶応義塾大学発ベンチャーのエリーパワーにも出資した。

【2010年に実験住宅】

実際、こうした直流給電の実験住宅が来年(2010年)にはお目見えしそうだ。パナソニック電工は本社の敷地内で09年度に実証実験の準備を進め、10年度に着手の予定。交流給電の住宅と比べて10%以上の省エネ効果のあることを実証するのが狙いだ。

現在、さまざまな機器に直流配線できる直流分電盤を開発中。同社は家庭での直流給電の実現に向け、この分電盤と従来の交流分電盤を共存させる「AC/DCハイブリッド配線システム」(仮称)の完成を目指す。

パナソニック電工が利用するのは直流48Vの電圧。「各国の安全電圧基準以下に設定した」(同社 先行技術開発研究所長の藤岡透さん)と海外での使用も視野に入れる。開発する分電盤には交流電力を直流に変換するコンバーターや蓄電池も内蔵する。太陽電池が稼働しない夜などは交流電力や蓄電池を電力源として直流対応の機器を動作させる。

【NTTは全面移行】

NTTグループの研究所内に設置された直流給電システムの実験施設

NTTグループの研究所内に設置された直流給電システムの実験施設

直流給電が脚光を浴びているのは家庭の中だけではない。データ通信量の増加に伴い、企業の需要が増え続けているデータセンターでもその重要性が再認識されている。

NTTグループは昨年6月、グループ内で運用しているデータセンターや情報システムなどの電力供給方式を、省エネ効果の高い直流給電にすべて移行すると発表した。地球温暖化の防止を目的に取り組む環境活動「グリーンNTT」の一環だ。直流給電への移行で、消費電力の約15%削減を目指している。

もともと直流給電は通信キャリアが得意としてきた技術。これまで加入者電話などの設備で採用し、豊富な運用実績を持つ。08年3月末に商用化した次世代ネットワーク(NGN)の設備もすべて48Vの直流給電。その背景には「何があっても通信を途切れさせてはいけない」(NTT 研究企画部門 グリーンICTプロデュースチーム チーフプロデューサの鳥越史郎さん)という電電公社時代からの"DNA"がある。

直流給電は48Vが主流だが、現在、NTTの研究所やNTTファシリティーズが中心となって、400Vまで高電圧化する新しい直流給電システムの開発を進める。これは「10年秋をめどに完成させ、主要事業会社に順次導入する」(鳥越さん)計画。今後は直流対応設備の安全性向上と、海外での適用をにらんだ標準化活動に取り組み、直流給電の普及・拡大を図る構えだ。

展望・この技術

普及への課題山積だが確実に成果を

テレビ、パソコン、プリンター、携帯電話、固定電話、ゲーム機、携帯音楽プレーヤー…。意外にも、私たちの身の回りにある家電や機器は直流で稼働するものばかり。省エネの観点から、直流への切り替えを推進する動きが活発化しつつあるものの、直流給電を家庭やオフィスに普及させるのは簡単ではない。「必ずしもすべてが直流に置き換わる必要はない」(NTTの鳥越さん)との声があるのも事実だ。直流給電に対応する家電や機器がない、コンセントやプラグの標準化が進んでいない、感電や漏電に対する安全性が確保できてない、など実用化への課題は山積みだ。課題に対して、直流給電に取り組む家電メーカーやエネルギー各社、通信事業者が業種・業界の枠を超えて連携を深め、一つひとつ着実に成果を上げる。それが普及に向けた最大の近道となる。


掲載日:2009年8月 6日

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