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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


P2Pネットワーク

ネットワーク上の端末同士を直接接続してファイル共有を可能とするピア・ツー・ピア(P2P)技術。定義はさまざまだが、一般には「Winny(ウィニー)」として知られ、その特徴の1つである匿名性が情報漏えいや著作権侵害の温床ともなり、社会問題となった。P2Pの本来の姿は動画などを手軽にやりとりする仕組みであり、匿名性は必須ではないものの、そうした仕掛けが実装しやすいのも事実だ。P2Pの光と影を追う。

【根深いセキュリティーの問題】

P2Pは通常のインターネット網の上にもう一層別のネットワークを作り上げることから、オーバーレイネットワーク(OLN)とも呼ばれる。「カギとなるのは通信プロトコルだ」と語るNTTデータSIアーキテクチャ開発センタ・シニアエキスパートの宮本久仁男さんは、国際的に規定されたP2Pプロトコル「RFC2518」に目を付け、2001年ごろに日本語環境で使えることを検証した。

しかし、「秘密分散アルゴリズムなど、P2Pを制御する仕組みは少しずつ出てきているが、まだ安全性の議論は尽くされていない」(宮本さん)との理由から、研究レベルにとどめている。

P2Pネットワーク

P2Pネットワークでは、公開されたデータは検索可能なキャッシュ情報を持つ端末が存在する限り、データは公開され続ける。これに匿名性を加えて、違法なコンテンツを公開した者を隠ぺいできるようにしたのが、ウィニー事件の元凶。解析技術によってインターネット・プロトコル(IP)アドレスを特定することは可能だが、映画などのコンテンツがいったんネットに"放流"されれば回収することは事実上困難になる。

セキュリティー問題の根も深い。P2Pネットワークでは関係するすべての端末がファイル共有などに関して同等の権限を持つ。裏を返せばセキュリティーに関する責任や権限は、あいまいになりがち。トレンドマイクロでコアテクノロジーサポートグループマネージャーを務める平原伸昭さんは「利用者が知らず知らずのうちに情報漏えいの"加害者"になってしまう」と警鐘を鳴らす。

【サーバを使わず大量のデータを効率配信】

Einy(アイニー)を使えば、安価に動画を配信できる(「世界コスプレサミット」公式サイトより):ブラザー工業提供

Einy(アイニー)を使えば、安価に動画を配信できる(「世界コスプレサミット」公式サイトより):ブラザー工業提供

ではなぜ、P2Pが注目されるのか。利点は既存のクライアント/サーバ(C/S)方式と比較すると分かりやすい。C/S方式では、端末数が膨大になったときにサーバの処理能力や回線が限界に達してしまうが、P2Pはサーバを使わないため、端末数が膨大になっても回線帯域などに余裕がある限り通信が可能。

動画など情報量の大きなデータを配信する場合でも「特定のサーバや回線に負荷をかけずに大量のデータを配信できる」(宮本さん)。これに対してC/S方式は数多くの端末に対応するには太い回線が必要となり、配信先の端末が増えれば増えるほどコスト高となってしまう。

P2Pの普及ではこうした利点を生かしつつ、セキュリティー問題などを解消することが必須となる。その解のひとつがブラザー工業の展開するP2P技術「Einy(アイニー)」だ。

【安全な環境整備で新たなポテンシャル】

各端末に断片化したデータを持たせ、ユーザーがその断片を集め、完全な情報にするのはP2Pならではの仕組み。さらにアイニーではネットワーク内の最も近い端末から断片化した情報を自動で集めたり、人気の高い情報をネットワーク内に自動的に多く残すようにプログラムされており、配信負荷を全体に均等化する機能を持たせている。

残念なのはP2Pを巡る是非論では匿名性の弊害のみがクローズアップされ、本質的な利点まで否定されてしまったため、現状は日陰の技術という印象が強いこと。P2Pの研究者は風当たりが強く、表に出にくいのが実情だ。

「P2Pはネットワークの向こう側に無尽蔵にある分散ファイルシステムのようなもの」とNTTデータの宮本さんは言う。逆にいえば、安全に使いこなす環境が整えば従来とは異なる"場のビジネス"が成り立つ。次世代ネットワーク(NGN)が本格普及する中、コンテンツ流通などでP2Pに新たな光が当たる可能性もある。

展望・この技術

法改正で違法性を抑止

違法コンテンツのウィニーに代表されるファイル交換ソフトによる情報流出が後を絶たない。ウィニーについては社会問題となり、利用は沈静化したかにも見えたが、利用者は増えているのが実態だ。

しかし歯止めがかかる可能性が出てきた。著作者に無断で配信された映像や音楽のダウンロードを違法とする著作権法改正案が今国会で成立し、2010年1月に施行される運びとなったためだ。これまで違法コンテンツの配信者らが逮捕されたケースはあったが、ダウンロード自体を制限する規定はなかった。改正法はここにメスを入れたもので、抑止力としての効果も期待される。ただ、対象とするコンテンツは映像と音楽にとどまり、ゲームなどのコンピューターソフトは圏外との解釈。これについてさらに議論を深める必要がある。


掲載日:2009年7月16日

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