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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


抗疲労素材

何かに夢中になっていると、疲れを忘れて時間の経過を早く感じることがある。達成感や意欲で疲労感が覆い隠されるためだ。実際、元気そうに活動していても、心や体はヘトヘトという場合さえある。そうした中、疲労に関する多くの研究プロジェクトが実施され、疲労のメカニズムや疲労解消のための有効成分なども少しずつわかってきた。疲労に打ち勝つ「抗疲労素材」を利用した商品も展開されており、疲労ビジネスにも注目が集まっている。

【23種の成分検証】

疲労のもとは「活性酸素」。運動などによって神経や筋肉細胞中の酸素需要が増加すると、活性酸素が発生し、細胞を傷つけ細胞機能が低下する。その細胞機能の低下が運動能力に影響を与え、そうしたシグナルが脳に伝達されて「疲労」が生じる。

抗疲労素材

疲労に関する国レベルの研究は、厚生労働省の「慢性疲労症候群研究班」(1991―99年度)から本格的に始まった。続いて文部科学省の「疲労研究班」(95―2005年度)、「産官学連携疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」(03―06年度)、「21世紀COEプログラム疲労最先端研究拠点の形成」(05―09年度)など次々に実施されている。

特定保健用食品(特保)の開発や評価試験を行っている総合医科学研究所は、このうち産学官連携のプロジェクトに参加。疲労を定量的に測定する手法の開発や、そうした手法を用いて抗疲労効果を持つと見られる成分の評価、同成分を利用した商品開発などを進めてきた。さまざまな共同研究を通し、23種類の抗疲労成分を検証。その中で抗疲労効果を持つとみられるものが6つあり、さらにそのうち人に摂取可能な量で効果を発揮できたものが4つあった。

【ジペプチドに着目】

その成果として、人や動物の骨格筋に多く含まれるイミダゾールジペプチド(カルノシン、アンセリン)に着目。商品としては日本ハム中央研究所と共同で抗疲労のドリンク剤「イミダペプチド」を開発し、総医研グループの日本予防医薬が3月に発売した。細胞機能低下に関与する活性酸素を除去する働きを持つとされるイミダゾールジペプチドを配合した「CBEX―Dr」成分を同中央研究所などで開発し、応用した。

実はこれらの成分は30年ほど前から、運動に関与していると言われてきた。食品メーカーである日本ハムの研究所だけあって、こうした効果を「食生活へ利用する(食べる事で蓄積する)ことはできないだろうか」という発想から研究を進めてきた。

日本ハム中央研究所では、運動に対する効果なども調べた。30秒間の全力ペダリング運動を行った場合のパワーとカルノシン濃度の関係を調べると、カルノシン濃度の高い人ほど、運動時に疲れにくくなっていた。また、トレーニングによりカルノシンの濃度は増加し、増加するほど、パワーも増加するという関係がわかった。

同中央研究所はこれらの成分の脳に対する効果も検証している。マウス実験では、学習能力向上効果の可能性を示唆する結果を得ている。運動パフォーマンスへの効果だけでなく、精神的な面での抗疲労効果も発揮できる可能性がでてきた。

【関連ビジネス続々?】

抗疲労食メニューを提供する社員食堂も出現。大阪市役所食堂の活性気御膳(いきいきごぜん)

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疲労の多くは、酸化ストレスに関連していると見られる。このため、抗酸化物質によって細胞を傷つけないことが重要となる。ただ、細胞の修復物質などの解明はこれからの課題。現在の研究では睡眠時に活性酸素濃度が低くなり、細胞を修復していると見られている。抗疲労素材などをうまく活用して昼間の疲労を軽く抑えることができれば、睡眠時の疲労回復を早くできる可能性もあるというわけだ。

また、抗疲労に関する研究開発は食品だけにとどまらず、長時間座り続ける自動車のシートデザインなど、生活にかかわるさまざまな切り口からの研究が進められている。「疲労しにくい生活環境づくり」となれば、それこそ広がりは大きい。今後も抗疲労に関するさまざまなビジネス展開が期待される。

展望・この技術

休むことなく翼を動かし続ける「渡り鳥」の筋肉(特に胸肉)部分には抗酸化作用を持つ「イミダゾールジペプチド」が多く含まれている。細胞を傷つける原因物質の1つである「活性酸素」を除去する働きを持つ。

この成分は休息時にも泳ぎ続けるカツオやマグロの尾部分にも多く存在する。このように疲れを知らないかのように動き続ける生物のメカニズム解明から、抗疲労研究が進んできた。

抗疲労向けドリンク剤「イミダペプチド」のほかにも、大阪市立大学の渡辺恭良教授らが産学連携で開発した抗疲労向けランチを限定提供するといった動きもある。こうした抗疲労食材が一般的になり、知識も広まっていけば、消費者自身で、今以上に疲労軽減に配慮した生活を送る時代が来るかもしれない。


掲載日:2009年7月 2日

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