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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


エネファーム

5月1日から予約販売が始まった家庭用燃料電池システムの「エネファーム」。実は特定メーカーのブランドではなく、業界での統一ネーミング(愛称)。都市ガスなどで発電と給湯がまかなえる上、エネルギー効率が高く、二酸化炭素(CO2)排出量も少ない―。こんな特徴から新エネルギーの本命と見なされている燃料電池が、マイホームの発電システムとして、世界に先駆けて実用化される。

【エネ利用率80%】

水に電気を通すと水素と酸素に分解する。これがいわゆる電気分解。逆に水素と酸素が化学反応すると水と電気が生じる。エネファームは電気分解と逆の原理で発電をしつつ、化学反応で生じた水も発電で生じる熱で温める。ガスを使った「発電機+給湯器」と考えればいい。

エネファーム

従来の火力発電所の電力を使う場合、排熱や送電ロスによりエネルギー利用率は35-40%にとどまる。一方、エネファームは利用率が70-80%。電気を使う場所で発電し、その熱まで有効活用することで高い利用率を実現した。

エネルギーの利用効率が高いことは、環境負荷の低減につながる。同じ電力量の発電は、火力発電よりも燃料の使用量が減り、CO2排出量も少なくなる。エネファームだと年間のCO2排出量をこれまでより約1.16トン削減。これは約2150平方メートルの森林が1年間に吸収する量に匹敵する。「環境にやさしい」と評される理由はここにある。

燃料となるのは、家庭に供給される都市ガス、プロパンガス(LPG)や灯油。燃料によって、製造・販売会社は異なるが、燃料から改質という手順を経て水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて電気を作る仕組みは同じだ。

都市ガスを燃料とするものは東京ガスを筆頭に各都市ガス会社が販売する。都市ガス会社のリーダーである東ガスは87年に燃料電池開発に着手。技術戦略部FCチームリーダー(TL)の大村俊哉さんは「コジェネレーション(熱電併給)の発電効率の高いものに取り組みたかった」と開発の経緯を説明する。

まず業務用の燃料電池の開発から始め、10年をかけて技術を確立。98年に次の展開として家庭用に狙いを定めた。03年にはパナソニック、荏原バラード(東京都大田区)との共同開発体制を構築した。

一方、LPGや灯油を燃料とするものは、主に新日本石油が三洋電機と08年04月に共同で設立した「エネオスセルテック」が生産する。エネオスセルテックではこのほど三洋電機東京製作所(群馬県大泉町)内に新工場を立ち上げ、量産体制を確立した。

【触媒で改質】

石油会社がいわば“家電”であるエネファームの生産に参入したのは、「石油精製の触媒技術を生かせる」(新日石新エネルギーシステム事業本部FC・ソーラー事業部副部長の渡辺宣彦さん)ため。LPGや灯油は改質の邪魔になる硫黄分が多く、これを取り除く「脱硫」が重要になる。同社は石油精製技術を生かして、脱硫触媒を開発し、LPGや灯油でも効率よく改質できるシステムを実現した。

【利点が弱点!?】

エネファームの装置外観

エネファームの装置外観

だが、課題はある。その最大のものは価格。発売当初の価格はどのメーカーでも300万円台前半。予想では、一般家庭でエネファームを導入して削減できる電気代は年間5万-6万円ほど。経済産業省が補助金を最大140万円まで出す予定だが、それでも初期投資を回収するのに約20年かかる。本格普及の目安となる出費費用は、10年で初期投資の回収ができる50万円程度と目されており、部品点数の削減や触媒に用いる高価な白金の使用量を減らすなど、越えるべき障壁は高い。

原理上、必ず生じるお湯の使い道も地味ながら無視できない問題だ。発電と同時にお湯ができる利点の裏返しで、お湯が満杯になると発電できない弱点も持つ。たまったお湯は給湯だけではなく、床暖房にまわすなど、新たな用途を探ることも普及を進める上でのポイントになりそうだ。

展望・この技術

業界の期待を背負い、外販が始まった「エネファーム」。その矢先に、荏原バラードが撤退を表明した。パナソニックと荏原バラードから供給を受けていた東京ガスは今後、パナソニック一本に絞る。プレーヤーの脱退で影を落としたようだが、滑り出しは順調そのものといえる。

東京ガスは5月末で約350台を成約。新築用のハウスメーカー向けに加え、既設住宅でも顧客を獲得。大阪ガスも5月末で380台の予約を獲得。新築ルートで台数を伸ばしている。一方、LPガス対応を手がける新日本石油の予約見込み数は約500台にのぼる。

各社は販売に先立ち、社員教育やハウスメーカーの営業社員向け説明会などを実施していた。確かな準備が販売台数に結びついている。


掲載日:2009年6月26日

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