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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


脳インターフェース

頭の中でイメージするだけで、その通りロボットが動く—。そんなSFのような技術が実現されようとしている。その名も脳インターフェース(ブレーン・マシン・インターフェース=BMI)。実は、脳波などによる装置類の制御ばかりでなく、逆の利用法も実用化が進む。機器から直接、脳に刺激を与えることで、けがや病気で失われた感覚や運動機能を置き換えようという試みだ。ともあれ、BMIにつながった記者の脳みそで模型の列車がうまく動いてくれるかどうか。

【日米間で実験成功】

京都府精華町にある国際電気通信基礎技術研究所(ATR)。ここの脳情報研究所ではBMIを使って、ロボットの動作機能を高める研究を進めている。

脳インターフェース

08年1月には、世界的に注目される実験が日米間で行われた。米デューク大学(ノースカロライナ州)と共同で、サルを2足歩行させた際の脳活動データをインターネットを介して米国から日本に送り、日本にある人型ロボット「CB-i」をリアルタイムで制御することに成功した。そのほか、CB-iに対して人間が自分の動きを教え込み、それを再現する技術なども確立している。

サルの脳活動データを基に動く等身大人型ロボット「CB-i」(ATR)

サルの脳活動データを基に動く等身大人型ロボット「CB-i」(ATR)

研究を主導したATR脳情報研究所所長の川人光男さんは、「脳に直接信号を送る人工内耳が製品化され、世界で30万〜40万人の利用者がいる。技術や倫理面でのハードルはそれほど高くはない」と話し、BMIの進展に期待を示す。

ネット上の仮想世界として有名になった「セカンドライフ(SL)」を脳に直結しようという研究もある。

慶応義塾大学理工学部講師の牛場潤一さんは、SL内でアバターと呼ばれる自分の分身を脳波で思い通りに動かす装置を開発した。電極がついた帽子を頭にかぶり、体を動かすイメージをすることで、画面内のキャラクターが左右に曲がったり、まっすぐ歩いたりする。

【血流の変化読む】

日立製作所は「光トポグラフィ」を使ってBMIの研究を行っている。被験者がかぶる帽子から脳に向けて赤外光を当て、血流量の変化から脳の働いている部分を読み取る仕組みだ。

光トポグラフィを使って脳の活動を読み取り、おもちゃの列車を動かす実験(日立製作所)

光トポグラフィを使って脳の活動を読み取り、おもちゃの列車を動かす実験(日立製作所)

そこで記者も挑戦。脳の血流量を測定し、考えただけで鉄道模型の列車を走らせる実験をやらせてもらった。単純な足し算をして脳をよく働かせてみたところ・・・ちゃんと列車が動いた。でもその後、何も考えないと列車は止まってしまう。

列車を走らせる、止めるというスイッチの役割を脳が行う。とはいえ、スピードの調整や逆走など複雑な動作は行えず、「それができたらノーベル賞級です」(日立製作所主管研究員の牧敦さん)。最近では、脳波と血流量という2種類の脳の信号の測定技術を組み込んだBMIも登場した。

【リハビリに応用】

ホンダとATR、島津製作所は3月31日、脳波と脳血流量を測定し、ロボットを制御する技術を開発したと発表。右手や左手など四つの部位をそれぞれ動かすイメージをすることで、個人の脳の信号パターンを4種類に区別する。

2種類の信号抽出で、人間の思考をより正確にロボットに伝えられる。将来、複数のロボットに家事を手伝わせたり、話をせずに人間同士で意思疎通をすることが可能になるかもしれない。

一方で、医療分野への適用も期待されている。冒頭のATR脳情報研究所でも、脳が思い描く通りスムーズに機器を動かす技術の確立が目的。脊椎(せきつい)損傷や脳卒中により、体の機能を損なった人の不自由を軽減するロボットや装具の開発を目指している。

慶大の牛場さんも、まひして物を握れなくなった患者の手にモーターを取り付け、脳で手を握るイメージをすることで機械が脳波を感じ取り、モーターを動かす「ハンズ」と呼ばれる装置を開発した。

慶大教授の里宇明元さんは、SLやハンズの技術を患者のリハビリテーションに応用している。「人の歩くメカニズムは深く分かってはいない。BMIを使って脳のデータをとっておけば、リハビリもやりやすい」(里宇さん)という。

展望・この技術

幅広い分野の協力カギに

BMIは電極、脳波の解析、制御システム、小型集積回路などのさまざまな技術の集大成。脳の研究のために技術者だけでなくBMI利用者や医療関係者の協力が不可欠だ。

実用化には利用者に負担をかけないことも大切。日立製作所の光トポグラフィ技術は装置自体を小型化し帽子をかぶるという手軽さで脳の活動の測定を可能にした。磁気共鳴断層撮影装置(MRI)のような大規模な装置の中でじっとするといった窮屈さはない。慶大の里宇教授は「数十年後には着けていることがわからない違和感のないBMIを作りたい」と患者のニーズに沿った技術を追求する考えでいる。

今後は、BMIで操作する機器の情報を利用者にフィードバックし、さらになめらかな操作ができる技術の研究が進むだろう。


掲載日:2009年5月29日

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