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アイデアを刺激する 最新科学技術キーワード


糖質ゼロ

「糖質ゼロ」のアルコール飲料が市場を席巻している。07年3月にアサヒビールが糖質ゼロの発泡酒「スタイルフリー」を発売。続いてキリンビールが「麒麟ゼロ」を投入し、各社が追随した。発泡酒だけではない。08年9月には月桂冠(京都市伏見区)が初の糖質ゼロ製品を発売し日本酒にも波及している。なぜブームになったのか?技術的ポイントは?素朴な質問を各社の担当者にぶつけてみた。

【全部の糖を分解】

発泡酒などビール類の製造方法は大麦を発芽させた麦芽をかゆ状にし、麦芽のでんぷんを糖に分解。この工程が「仕込み(糖化)」で、ろ過したものが「麦汁」だ。次の発酵段階で酵母が麦汁中の糖分をアルコールと二酸化炭素(CO2)に分解。1週間ほど発酵させると若ビールとなり、これを熟成・ろ過してめでたく完成!となる。

糖質ゼロ

糖質ゼロのポイントは二つ。まず仕込段階で酵母が作用しやすい大きさに糖分を分解すること。麦芽中のでんぷんは糖が鎖状に連なった高分子。そこで麦芽中の成分などの働きででんぷんの鎖を切り、酵母が分解しやすいサイズにする。最終的に糖三つ以下のサイズになるよう、温度管理などの条件を模索し、糖質ゼロにするための麦汁を作り上げた。

二つ目は、発酵段階で酵母にすべての糖分をアルコールへ変換させること。そこで「数百種類の酵母の中から糖をアルコールに分解する能力が最も高い酵母を選抜した」(アサヒビール酒類研究開発本部酒類開発研究所ビール開発部主任の多鹿陽介さん)という。

糖質ゼロのポイントは酵母選びと発酵の制御技術にある

糖質ゼロのポイントは酵母選びと発酵の制御技術にある

ただし、酵母はアミノ酸がないと糖をアルコールできない。そのため、たんぱく質を分解してできるアミノ酸と糖のバランスも重要。またアルコールへの変換と逆に「酵母が糖質に分解されるものをつくることもある」(キリンビールマーケティング部商品開発研究所新商品開発グループの板倉健人さん)。

この反応を抑えるため、発酵段階で原料の配合比率や温度管理を徹底している。

一方、日本酒でも日本盛の糖質70%オフや、黄桜の糖質50%オフなどが発売されてはいた。だが糖質ゼロは月桂冠が初めて。続いて2月には白鶴酒造も「白鶴サケパック糖質ゼロ」を発売。日本酒の糖質ゼロ市場が少しずつ広がりを見せている。

【独自の製法】

月桂冠で日本酒の糖質ゼロを実現したのが、独自の「スーパーダイジェスト製法」。製法確立の上で大事だったのは、やはり酵母の選び方だ。月桂冠には1000種以上の酵母のコレクションがある。その中から約20種を選出。それぞれビーカーの中で実際に発酵させ、発酵過程の酒を少量取り出して糖の組成やアルコール生成度を分析する。その結果をもとに温度管理し、酵母の発酵力を最大限に引き出す。さらに酵母数種を選抜し、5リットル大の瓶の中で酒を仕込む。こうした作業の繰り返しで糖質ゼロにふさわしい元気な酵母を発見した。

発酵工程は約30日間。当初は計画通り発酵が終わらなかったが、月桂冠醸造部一号原料発酵グループグループリーダーの平井堅二さんによれば、「最近ようやく落ち着いてきた」と言う。このように苦心して完成させた糖質ゼロのアルコール飲料だが、肝心の香りや味の面での苦労も多い。

【香りと色合い】

左:キリンビール/麒麟ゼロ 右:アサヒビール/スタイルフリー

左:キリンビール/麒麟ゼロ
右:アサヒビール/スタイルフリー

アサヒ、キリンの両社は「糖質ゼロは味が薄くなる。味わいを出すのは糖質ゼロに劣らず難しかった」と口をそろえる。アサヒは厳選したホップと酵母によるビールらしい香りと、糖質ゼロでは高めのアルコール度数4%にこだわった。キリンは仕込段階でアミノ酸と糖を含む原料の一部を加熱してコクを出した。「色合いにも役立つ」と板倉さんは話す。

また、日本酒は酵母で香りが決まるため、月桂冠でも香りの良い酵母を厳選。アミノ酸や有機酸のバランスに工夫を凝らしたという。

この分野でも、品質向上に向けたたゆみない技術開発と、製品のリニューアルがカギを握る。

展望・この技術

ほかの酒類に広がる可能性も

糖質ゼロのアルコール飲料は、健康意識の高まりを受けて、発泡酒や日本酒以外の酒類にも広がっていく可能性がある。ただ、「ゼロブーム」だった08年の盛り上がりに比べると、09年は正念場の年とも見られている。

微妙なのが発泡酒。先発のアサヒ、キリンに続いてサッポロビール、サントリーホールディングスが参入したが、後発2社は追加生産せず事実上撤退の方向。ビール飲料の場合、悩ましいのは糖質をゼロにすると味の幅が出しにくいこと。特徴を出そうとするとアルコール度を上げるか、糖質・カロリーを増やすしかない。

それでも、アサヒはアルコール度を高く、キリンは徹底的にカロリー控えめという明確なビジョンを持ち、これら先行2社の売り上げは上昇中。消費者をうならせるべくメーカーの努力は続く。


掲載日:2009年5月29日

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