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特定補助金活用事例

父から受け継いだ「ねじの商社」から
高度医療機器向けねじの開発へ

橋本螺子株式会社

 工業製品に不可欠な基本部品「ねじ」。創業社長である父親が興した「ねじの商社」として浜松で経営を続ける橋本螺子(はしもとらし)は、約10年前から大きな業態転換に挑戦している。医療機器事業を設立し、医療用のねじや手術用器具の開発・制作に取り組んでいる。二代目として、会社の存続をかけた新事業を構想し続けてきた、橋本秀比呂(はしもとひでひろ)社長にお話を伺った。

Q:ねじは多くの人にとって身近な部品であり、工業製品を組み立てる際に必要不可欠な存在です。
橋本社長:ねじは工業製品の基礎部品で、産業界を内側から支えてきた必需品です。ねじの重要性を例えとして「鉄鋼」が産業の「米」であるなら「ねじ」は産業の「塩」と呼ばれています。ですから私はこの塩である「ねじ」を活かして次世代をどう味付けするかが、私の使命と考えています。
 先代が始めた「一般規格ねじ」の商社事業では、2500~3000種類のねじを扱っています。月間の総出荷数は250~300万個。現在、約300社のお客様とお取引をさせていただいています。
Q:事業は安定しているように思えますが、なぜ、医療分野に進出をしたのでしょうか。
橋本社長:平成元年に社長に就任した時「このままでいいのだろうか」と考えました。必要不可欠な部品ではありますが、ねじは価格低下が著しい。競争が激しすぎて、明るい未来を描くのが難しい分野です。
 その頃、金属チタンに興味を持ち勉強していました。チタンは、軽くて、強くて、錆ません。これを使って何かできないだろうか? と考え始めたのがきっかけです。私たちは従業員十数名の小さな会社です。当初は当社が医療機器産業に参入できるとは思いもしませんでしたが、ある展示会にチタンの部品を出品してみたところ、たまたま医療機器メーカーさんからお声がけいただきました。
 医療用のねじは海外製が多いのですが、欧米人の体型に合わせているので、日本人にとっては、やや大きすぎる。お声がけいただいたメーカーさんの発想と規格設計で、試作の製作からはじめました。
Q:新分野への進出はスムーズでしたか?
橋本社長:いやいや、大変でしたよ。そもそも工業用と医療用では大きく規格が違います。医療用部品は体の中に入っていくため、表面仕上げを最重視されます。また、医療用の部品を作るためには、薬事法に基づく医療製造業の許可を取る必要がありました。全く不案内な分野でしたが、静岡県庁の薬事室の方が丁寧に教えて下さったので、ひとつひとつ、手続きしていきました。
 まずは、医療用ねじの表示・梱包製造業から始めて、製造用の機械を導入し、一般医療機器の製造を始めました。最初は、この本社と同じ敷地内に工場を作ろうとしたのですが、ここは住宅地なので工場を作ることができず、しかたなく別の場所に作りました。
 当社の現状(資金面・技術力)を踏まえ、全て自社での完結は困難と判断し、自社では開発と試作に集中するとしました。量産化する際は設備・技術力のある会社さんにお願いし検査は自社で行う。父の代からねじ商社をやっていましたから、すべてを自社で抱え込むのではなく、設備と技術のある企業との連携で進めることの抵抗はなく、得意分野により分担していく、という発想を取りました。
Q:医療機器向けのねじ、という新分野を立ち上げるにあたり、補助金制度などを活用されています。
橋本社長:ねじの検査装置を購入する際、500万円の補助金をいただきました。お話しました通り、医療用のねじは産業用のねじと比べて精密に作る必要があります。我が社では試作品を作った上で、全数検査を行っていますが、そこで使っているのが高度な測定機能を有する検査装置です。
 また、平成18年に医療機器事業部を設立した際は、静岡県・浜松市・中小機構が運営するインキュベーション施設Hi-Cube (Hamamatsu Innovation Cube: 浜松新事業創出型事業施設)に 入居しました。入居中に医療機器製造業の許可とISO13485(医療マネジメント)認証を取ることができ、お客様からも高評価をいただきました。
 補助金申請の手続きなど、最初は大変でしたが、金融関係の方に見ていただいたりして、段々、慣れてきました。医療分野に進出する際は、県庁の関係部門の方に一から教えていただきましたし「これをやりたい」という強い思いで、できることに全て取り組んできました。
Q:立ち上げから10年、医療機器事業は順調に伸びていますか。
橋本社長:現在、売り上げの2割が医療向けになりました。介護・福祉含めた医療向けを売り上げの半分程度まで、拡大したいと考えています。
Q:営利事業だけでなく、ねじを使った教育・啓蒙活動にも取り組んでいらっしゃいます。
橋本社長:この「ねじブロック」を、是非、多くの方に知っていただきたいです。ねじには、多くの部品があり、数えきれないほどの組み合わせが可能です。自由な発想で立体造形を楽しんでいただき、色々なものを作っていただくという試みです。キリン、リスなどの動物、クレーンなどの機械といった具合に、作る方の創造力で広がっていくのが楽しいでしょう。
 現在、ねじブロック専用のウェブサイトを開設し(http://neji-block.com/)こちらを通じて販売を行っています。単に、売って終わりではなく、実際に展示会や各種イベントに参加してワークショップを開催させていただき、ねじについて知っていただいたり、ねじの重要性を学んでいただいたりする、やり取りを大事にしたいと思っています。
 これまで、学校などで「ねじブロック講座」を開かせていただきました。嬉しいことに「ねじブロック」は、昨年度、第10回キッズデザイン賞TEPIA特別賞「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」で受賞しました。
Q:社長が本当に、ねじを愛していらっしゃることが伝わってきます。
橋本社長:父が創業社長でしたから、子どもの頃から後を継ぐと思っていました。大学卒業後、1年間、ねじ製造メーカーで「ねじ」の製造と検査を学んだ後、3年間、大阪の問屋さんで販売の勉強をさせていただきました。今も常に、ねじの新たな活用法のことを考えています。大好きなねじに多くの方が関心を持ち、好きになってくれたら、嬉しいです。

活用したSBIR支援措置

  • 平成26年度(補正) ものづくり商業・サービス革新事業
    テーマ「機械化製造工程を核とした、手術用鋼製器具の高度な製品実現プロセスの構築」
  • 平成25年度(補正) 中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業
    テーマ「測定技術の高度化による医療機器業界向け高度品質保証体制の確立」
会社概要
会社名:
橋本螺子株式会社
設立年月日:
1955年12月
資本金:
1100万円
本社所在地:
静岡県浜松市東区神立町124-11
会社サイト:
http://www.hashimoto-neji.co.jp/
http://neji-block.com/

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