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特定補助金活用事例

介護施設の利用者家族ニーズを汲み取り
新しいビジネスモデルで自社製品を開発

株式会社エスアイエス

 中小企業の多くは、大手IT企業から継続して仕事を請け負うことで経営を安定させる。いったん基盤を築いたら、次のステップは、自社独自の製品を開発すること。オリジナル製品を持つことで、市場で存在感を発揮し、価格交渉力も持てるようになり、経営の自由度が増す。設立10年余りのITベンチャー・エスアイエスで、介護分野における自社製品開発と拡販に取り組む執行役員の秋庭孝治さんにお話をうかがった。

Q:自社として得意分野でもある医療分野、とりわけ介護の分野で自社独自の製品を開発しました。
秋庭執行役員:平成27年度の新連携補助金をいただいて、介護電子カルテのシステム「ケアサポートみまもり」を開発しました。介護施設に入所している方の情報を、パソコンやタブレット入力できるようにしたものです。
 例えば入浴を終えたかどうかなど、介護施設のスタッフが、その場でタブレット入力していきます。これまでは、紙のカルテに記入した後、事務所に戻ってパソコン入力している施設が多く、作業をしたその場で入力することで、業務の効率化や記入もれや間違いを防ぐことができます。
Q:特に工夫した点はどういった点でしょうか。
秋庭執行役員:自由記入形式ではなく、選択式を増やすことで、忙しい介護スタッフの負担を軽減できるように心がけました。当社が支店を持つ沖縄県にある介護施設からご協力をいただき、現場でテストをしながら開発していきました。
 実は、既存の介護電子カルテのシステムは、ある程度、入力項目は決まっています。当社の「ケアサポートみまもり」の新規性は2点あり、いずれも、入所者のご家族に関連しています。
Q:それは、どういうことでしょうか。
秋庭執行役員:1つ目に、介護スタッフが入力した入所者情報を、ご家族が見られるようにしたことです。近年、介護施設における虐待が問題になることが増えています。入所者情報をご家族に共有することで施設側は透明性をアピールすることができるでしょう。また、遠隔地に暮らすご家族にとって、入所者の様子を知ることができることは、安心材料になると考えました。
 2つ目に、入所者のご家族からシステムの月額利用料をいただく、というビジネスモデルを考案したことがあります。例えば、月額1000円いただいた場合、100床の施設で月10万円になります。介護施設から当社がいただくシステムの月額利用料を8万円に設定することで、計算上は施設側の負担をゼロにできます。この仕組みはビジネスモデル特許を申請中です。
 通常、新しいシステムを導入すると500万円程度かかってきますから、介護施設の方々にとっても、負担がなく(少なく)良い仕組みになると思っています。
Q:御社の主要な事業はIT分野です。介護分野に進出しようと考えたきっかけを教えてください。
秋庭執行役員:医療系の電子カルテシステムの構築経験があることと、介護業界自体、高齢化が進み市場が拡大していく中で医療系電子カルテシステムの経験を生かして展開できないかと考えました。また、もともと当社の売り上げの多くは大企業からの受託開発が占めています。経営の安定を考えますと、自社製品が欲しい、という気持ちがありました。
 実は、先ほどお話したビジネスモデルを考案したものの、自社製品の開発実績がない我々のような中小企業が民間の金融機関から融資を受けるのは大変難しい状況です。
Q:そういう状況で、補助金は役に立ちましたか。
秋庭執行役員:はい。大変、助かりました。ソフトウェア開発の場合、必要費用のほとんどは労務費です。中小企業を対象にした補助金は様々なものがありますが、労務費が対象になるものは珍しく、大変ありがたかったです。
 開発の1年目に1400万円、2年目に900万円、合計2300万円の補助金をいただいています。総開発費は3600万円で、そのほとんどがシステムエンジニアの人件費でした。
Q:念願の自社製品が完成し、次に目指しているのはどんなことでしょうか。
秋庭執行役員:やはり、営業と販売です。すでに、引き合いはいただいており、沖縄のある施設からテストの依頼をいただきました。また、ある機能を付け加えたら導入したい、というお話もいただいております。
 ご関心をお持ちいただいた介護施設に伺ってデモをお見せしたり、ダイレクト・メールを活用して認知を高めるなどの施策を、今後取っていきたいと思っています。
 また、日本と同様に高齢化問題を抱える海外でも販売をできないか、現在台湾にて市場調査を実施しており、調査結果によってはシステムを多言語対応する機能を導入し販売していきたいと考えております。
Q:NECと共同開発の形になっています。
秋庭執行役員:もともと、当社に多くの受託開発を依頼いただいているのがNECグループさんです。ソフトウェアは当社、サーバなどのインフラはNECグループさんという形で役割分担をしております。

活用したSBIR支援措置

  • 平成27年度 商業・サービス競争力強化連携支援事業
    テーマ「福祉業界向けクラウド版介護カルテ情報の管理と家族向け介護記録提供サービスの新規開発及び事業化」
会社概要
会社名:
株式会社エスアイエス
代表取締役:
吉田貴子
設立年月日:
2005年9月
資本金:
2000万円
本社所在地:
横浜市中区元浜町3-21-2ヘリオス関内ビル2F
会社サイト:
https://www.si-system.co.jp/

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