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ロボ・ステーション


新たなロボット像を示す 最新!システムインテグレート
大出力機器に応用可能なバイラテラル制御実装システム【マンマシンシナジーエフェクタズ】

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MMSEのシステム例。右腕のパワーを最大1,000倍まで増幅できる「パワーエフェクタ」。マシュマロを摘む程度の力で缶を潰したり、重量物を移動したりすることができる。

マンマシンシナジーエフェクタズ
代表取締役 金岡克弥(立命館大学 チェアプロフェッサー)

〒525-8577
滋賀県草津市野路東 1-1-1 立命館大学 テクノコンプレクス
http://www.mmse.jp/inc/

福島原発事故の発生以来、遠隔地にいながら複雑な作業が行えるロボットシステムの開発に関心が集まっている。そして、こうした作業を可能にするコア技術の1つとして、古くから「バイラテラル制御」が知られている。

バイラテラル制御とは、遠隔地にいるロボット(スレーブ)が受けた力を操作者(マスタ)に力提示したり、操作者がマスタに入力した力と同様の力で、スレーブが環境側に力を及ぼしたりできる制御である。「対称型」「力逆送型」「力帰還型」の3タイプのバイラテラル制御があり、それぞれに特徴を有するが、いずれも高い操作性で、かつ大出力を発揮する用途には適さない。これに向け、マンマシンシナジーエフェクタズの代表取締役を務める立命館大学の金岡克弥チェアプロフェッサーは「力順送型バイラテラル制御」という新たな方式を提案している(写真1、2)。

画像1:力順送型バイラテラル制御を実装したマスタ・スレーブシステム 画像2:スレーブは、金岡チェアプロフェッサーが開発したロボットキット3体を用いて製作。マスタには福井大学の川井研究室のミニロボを使用した。

写真1:力順送型バイラテラル制御を実装したマスタ・スレーブシステム(写真左)。スレーブは、金岡チェアプロフェッサーが開発したロボットキット3体を用いて製作。マスタには福井大学の川井研究室のミニロボを使用した(写真2・右)。

スレーブをロバストなハードウエア構成に

上述した各タイプの特徴を述べておくと、「対称型」ではマスタとスレーブ双方の変位誤差から、これを修正する方向に駆動力を発揮するように制御を行う。スレーブ側が受けた力(反力)を伝えるための力センサが不要で、かつ比較的安定した系(=まとまりや仕組み)を構成することができる。ただし、システムの慣性力や摩擦力の影響を受けるため操作感が重い。

「力逆送型」はスレーブを位置サーボで構成し、スレーブに配置した力センサで計測した反力をマスタに伝える。スレーブ側の反力がマスタによく伝達されるが、マスタの機構の影響を受けるため、このタイプも操作感が重い。そして、「力帰還型」は力逆送型の欠点を補うべく考案されたタイプで、マスタとスレーブそれぞれに力センサを配置し、マスタにも力サーボ系を構成する。スレーブ側の反力がマスタによく伝達されるうえマスタの操作感が軽い。良好な特性を備えるが、損傷しやすい力センサを配置するため、スレーブのハードウエア構成をロバストにできない。

金岡チェアプロフェッサーが提案する「力順送型」では、マスタに力センサを配置し、その入力情報をスレーブ側に投射する構成とする。スレーブには力センサを配置せず、マスタをスレーブとの変位誤差を修正するように駆動する(いわゆる「変位誤差サーボ」)ことでスレーブ側のダイナミクス(=動力学)を伝える。力逆送型と逆の構成となることから力順送型と名付けた。

過酷条件にさらされるスレーブに力センサを配置しないため、スレーブのハードウエア構成をロバストにすることができる。ゆえに、後述する「MMSE(Man-Machine Synergy Effecter、人間機械相乗効果器)」のような大出力アクチュエータの搭載に耐える構成にできる。また、マスタ側のハードウエアの影響を可能な限り消しつつスレーブのダイナミクスを感じられる構成となっているため、高い操作性を実現できる(詳細は動画を参照)。

動画:金岡チェアプロフェッサーによる力順送型バイラテラル制御の説明

金岡チェアプロフェッサーは、自身が開発した教育・研究向けロボットキットの応用例として、同制御を実装した試作機を開発している(写真1、2)。昨年12月の福井大学での集中講義に向け開発したもので、マスタには同大学の川井研究室が開発したミニロボを、スレーブには3つのロボットキット(「MMSEUnits」という)を使用。それぞれ3軸構成となっており、横方向の入力でスレーブの第1軸を、前後方向の入力で第2軸を、手先部の入力で第3軸を操作することができる。また、第1軸と第3軸を500倍に、第2軸を1,000倍にパワー増幅して駆動している。

試作機ではマスタには力センサを配置していないため、厳密な意味での力順送型バイラテラル制御のシステム構成となっていない。力センサの代わりに、トルク制御しているモータの制御力を擬似的に入力情報として使用することで、バイラテラル制御を可能にしている。また、マスタのハードウエアのバックラッシ(ガタ)などの影響により高ゲイン(=関節の固さ)にできていないため、繊細な感覚を伝えるのは難しい。

しかし、急遽開発した試作機でありながらも、ある程度の感覚でスレーブ側のダイナミクスを伝えることに成功しており、建設現場や危険地所などでの利用が期待されるパワー増幅ロボットシステムへの応用が見込まれる。

人の能力を拡張するMMSE(人間機械相乗効果器)とは

金岡チェアプロフェッサーは、「人間のみ、あるいは機械(ロボット)のみでは実現できない機能を、人間とロボットの相乗効果によって実現する効果器」の実現を目指しており、これを「MMSE」と表現している(写真3)。パワー増幅ロボットシステムを実現する概念であり、フィロソフィーでもある。

併せて、人の操作力を増幅する脚部の「パワー増幅制御」と、足関節トルクを操作して自律的にバランスをとる「オートバランス制御」を組み合わせた歩行技術も提案している。昨年2月に、自由民主党の若手議員がTwitter(ツイッター)上で「搭乗型2足歩行ロボット」の開発をつぶやいたことが話題になったが、彼らが注目している技術がこれである。

MMSEでは操作者の身体スキルをパワー増幅したうえでパワー増幅ロボットシステムのダイナミクスに投射することを要求しており、ここで紹介した力順送型バイラテラル制御は、それに合致する制御方法として新たに考案し、提案した。

写真3:MMSEのシステム例。右腕のパワーを最大1,000倍まで増幅できる「パワーエフェクタ」。マシュマロを摘む程度の力で缶を潰したり、重量物を移動したりすることができる。

写真3:MMSEのシステム例。右腕のパワーを最大1,000倍まで増幅できる「パワーエフェクタ」。マシュマロを摘む程度の力で缶を潰したり、重量物を移動したりすることができる。


掲載日:2012年1月17日

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