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ロボ・ステーション


新たなロボット像を示す 最新!システムインテグレート
人・ロボ協調システムによりインパネの組み付け工程を省人化【IHI】

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IHIが開発しているハンドガイド装置でロボットを操作して組み付け作業をするシステム

(株)IHI
代表取締役社長 釡 和明

〒135-8710
東京都江東区豊洲3-1-1
http://www.ihi.co.jp/

生産現場における大物ワークや重量物の搬送や組み付け工程に対し、自動化や省人化へのニーズは高い。しかしながら、扱う対象物が大きいために寸法誤差が大きいうえ、位置決めには高度なセンシングや制御技術が要求されることから、一向に進展していない。特に自動車の組立工程では、ライン上を移動する車体に対し組み付け作業を行うため、より一層難しくさせている。

これに対し1つの解となり得るのが、ロボットによる自動作業と作業者の繊細かつ臨機応変な作業を組み合わせた「半自動化」である。IHIでは、1人の作業者がハンドガイド装置でロボットを操作して、自動車のインスツルメントパネル(インパネ)の組み付け作業ができるシステムを開発している。社内の試験システムで検証したところ、移動する車体に対し、おおむね10秒以内で組み付け作業ができた。通常2人1組でなされる組み付け工程の省人化が期待される。

写真1:IHIが開発しているハンドガイド装置でロボットを操作して組み付け作業をするシステム

写真1:IHIが開発しているハンドガイド装置でロボットを操作して組み付け作業をするシステム

協働作業により10秒以内で組み付けを可能に

インパネの組み付け作業をアシストするシステムは、トヨタ自動車が2000年に実用化している。モータの駆動力により水平方向の移動をパワーアシストすることで、作業負荷の軽減を達成している。IHIのシステムは、ロボットと作業者それぞれの特徴を融合することで作業負荷の軽減による省人化に加え、技能のサポートも狙っている。

開発中のシステムは、ロボットによる自動作業と作業者との協働作業に切り換えて作業を進める。その検証を目的に構築した試験システムは、おもに6軸多関節ロボットとインパネの把持機構、ハンドガイド装置から構成。ハンドガイド装置にはイネーブルスイッチと力覚センサを用いた操作卓が搭載してあり、イネーブルスイッチを押しながら操作卓に力を加えることでロボットを操作する。

図1:構築した試験システムの構成

図1:構築した試験システムの構成

組み付け作業は、以下のような手順で進める。まず、ロボットが供給されたインパネを把持して車体の組み付け位置の近くまで搬送する。次に、作業者との協働作業に切り換え、作業者がロボットの手先に取り付けたハンドガイド装置を用いて操作し、インパネを車体に組み付ける。そして、作業者がロボットから離れた後、再び自動作業に切り換えてロボットが次のインパネの把持に向かう。
 協働作業時のハンドガイド装置の操作は、安全性を考慮して制限速度内でロボットを動かすようにしている。また、作業者が進入できるエリアを設けることで作業者とロボットが接触しないよう監視をしたり、作業者が開始ボタンと終了ボタンを操作することで協働作業や自動作業に切り換えたりすることができる。

図2:システムの配置と組み付け作業の手順

図2:システムの配置と組み付け作業の手順

システムの動作検証は、毎秒5m移動する車にインパネ(いずれもモックアップ)を組み付ける動作で実施した。組み付け動作は実際の作業と同様、作業者はインパネを車体側面板の間に入れ、インパネの位置決めピンを車体側の穴に挿入して行う。また、インパネと車体の位置許容差と姿勢許容差もそれぞれ約5mmと約0.1度と、実際の組み付けを参考に設定した。

予備試験の段階では、作業者がロボットの位置および姿勢の6軸を同時に操作して組み付けるのが難しいうえ、搬送ライン自体に歪みがあり、搬送中にインパネの姿勢がずれるといった問題があった。そこで、ラインの姿勢をあらかじめ計測し、ロボットがそれをもとに手先姿勢をラインに合わせて自動補正する機能を搭載したところ、XYZの3軸の並進操作のみで手先位置の制御が可能になった。操作ミスの低減ならびに操作時間の短縮につながり、おおむね10秒以内での組み付け作業ができた。最短では約7秒で組み付けられる例もあったという。
 一般に、インパネの組み付けにかかるスループットは50~60秒とされる。ロボットの自動搬送や作業者の退避時間などを差し引くと、この程度の時間であれば実際のラインで使える可能性が十分にあるといえよう。

現時点では研究開発以外では使えない

ただし現状では、ハンドガイド装置の操作時にインパネが車体の目標位置を行き過ぎたり、上下に揺れながらアプローチしたりするなど不必要な移動が発生している。その際は、作業者による調整が必要となり、作業者に負担がかかることになる。今後、操作支援方法の改善により、このようなムダの低減につなげる。

また、非常に重い課題であるが、実用化に向けては安全法規のダブルスタンダートの解消・改正が求められる。産業用ロボットの国際規格「ISO 10218」では減速条件下で作業者との相対位置がモニタリングできていれば運転できるのに対し、「労働安全衛生規則」では作業者とロボットが接触しないように規定している。現時点では、研究開発以外では運用することができない。提案したシステムのリスクの洗い出し、ならびにその対応により安全なシステムとして国内外に提案し、ダブルスダンダードの解消に向け働きかけたいとしている。


掲載日:2011年10月11日

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